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パート社員とのトラブル防止のために

社会保険労務士法人みらいコンサルティング代表社員
特定社会保険労務士
森田穣治


先日、ある会社から「パート社員を雇う予定だけど、雇用契約書って必要ですか?」という質問を受けました。「雇用契約は口頭でも成立しますが、トラブル防止のためにも作成してください。」という回答をしました。
最近は、準社員・契約社員・パート社員・嘱託社員など、さまざまな名称による雇用形態があります。上記はどれも「非正規雇用社員(以下、パート社員)」として、正規雇用社員(以下、正社員)とは身分や処遇を区別され、雇用期間を定めて雇用されていることが多いようですが、就業規則も作成されず、労働条件が曖昧なまま雇用されているケースが目立っています。


雇い止め(契約を更新せずに退職となること)によるトラブルの増加

契約期間を定めた雇用ということは、普通に考えれば契約期間の最終日をもって退職となりますが、一般的には「働きのよい方にはもっと長く働いてもらいたい」というのが雇う側の考え方です。したがって、複数のパート社員が働いている場合でも、契約を更新される人とされない人が発生してきます。雇われている側からすれば、「普通に働いていれば、私も契約が更新されるだろう。」と、契約更新に対する期待が生まれ、いざ更新されなかったときにトラブルとなるわけです。


パート社員とのトラブル防止のポイント
(1)パート社員に適用する就業規則を作成する

正社員を対象とした就業規則は作成していても、パート社員を対象とした就業規則を作成していない会社に多く出会います。通常、パート社員と正社員では、賞与や退職金の支給の有無、有給休暇の付与日数など、労働条件が異なることが一般的です。雇用契約書で個別に労働条件を明示しているから大丈夫と考えられていることが多いのですが、いざというときに具体的な取り扱いが決まっていなかったということがトラブルの原因となることがあります。


(2)雇用契約書を作成し、労働条件を明示する

雇用契約はもちろん口頭でも成立しますが、労基法第15条において、労働条件は書面で明示することが義務付けられています。これは「言った、言わない」といったトラブルを防止する意味から義務付けられているものです。賃金及び契約更新の有無や契約更新をするかしないかの判断基準については、特にトラブルの原因となりやすい事項ですので、雇用契約書を作成し、きちんと明示しておくことが大切です。


(3)きちんと雇用契約の更新手続きをする

雇用契約書を作成していても、自動更新のように契約期間満了時にきちんとした手続きを経ずに契約が更新されているようでは意味がありません。契約更新時期が近づいてきたら、少なくとも2ヶ月前くらいには、面談等を通じて本人の意向を確認することが重要です。仮に契約の更新をしない場合には、この面談を通じて会社の意向を伝えることで「そんなに急に言われても・・。」というトラブルの芽を摘みやすくなります。なお、法令の定めでは、一定の要件に該当するパート社員に対しては、少なくとも契約満了日の30日前までには更新しない旨の予告をしなければならないとされています。

パート社員に代表される非正規雇用社員は、企業における重要な戦力です。自社でパート社員を雇用している場合、また、これからパート社員を活用しようと考えている場合、正社員の就業規則と合わせてパート社員就業規則や雇用契約書等の帳票類の整備・見直しを検討してみてはいかがでしょうか。