社会保険労務士法人みらいコンサルティング代表社員
特定社会保険労務士
岡田烈司
労務管理の理論や制度は数多く存在します。それらのうち、今後も発展的に成熟するものもあれば、時代の流れに取り残されているものもあります。労務管理の歴史を見ても、現在有効とされている労務管理の手法も、あと数年後には時代にそぐわないものとなるものも多くあることは容易に想像できます。
このように、労務管理には「このとおり行なえば完璧」というものがなく、その時代背景や従業員の気質、法律などに応じて、常に変化していくことが求められています。
したがって、適切な労務管理を行うために、経営者や人事担当者は、下記の時代背景を頭に入れて対処する必要があるのです。

企業側が従業員に対して、サービス残業や法定の年次有給休暇を与えないというような対応をすると、すぐに、法律違反であると行政官庁に訴えられる時代です。従業員が過度に権利意識を持つのは問題ですが、企業が労働法を理解し、きちんと法律に基づいた対応をとることができるならば、問題になることはありません。
労働法というとアレルギー反応のように嫌悪感を抱く企業関係者も少なくありませんが、実は労働法は踏み込んで理解し、運用することで、権利意識の塊のような従業員から企業を守ってくれるという、ありがたいものでもあるのです。
このような時代だからこそ、法律を会社のために働かせる労務管理という考え方が求められるのです。

現在は、定年まで同じ企業という考えを持つ従業員は少なくなってきています。企業によっては、同じ企業でずっと働きたいと思っている人材など採用したくないと考えているケースすらある状況です。
このような状況下では、自分をより評価してくれる企業に人材は流れていきます。つまり、人事評価制度にて正しく従業員を評価し、それを処遇に反映させるシステムがない企業では、従業員はやる気を出さないどころか、できる人材から退職して、他の企業に転職していくことになってしまいます。できる人材を確保するための労務管理が、企業生き残りのために必要なのは言うまでもありません。

高度に情報化されている現在では、従業員は自在に自分が求める情報を収集することができます。したがって、(1)の労働法についての知識、(2)の他社へ転職するための情報なども、大量に見ることができるのです。
そして、この情報化社会において、企業が最も注意しなければならないのは、内部告発の危険性についてです。インターネット上においても、自由に自社の人事制度や処遇について公表できる環境は整っているため、法律違反に対して厳重に注意を払った労務管理をしなければ、思いがけないトラブルに発展する可能性があるのです。
これらのポイントを理解せずに労務管理をしていては、残念ながら企業として隙だらけの状態といえます。脇の甘い労務管理は、たとえるなら体に脂肪がついていくかのように、無駄なトラブル、出費、時間を取られることになってしまいます。もっと、引き締まった筋肉質の体にしくことが、企業の成長にはかかせないと感じます。