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2006年10月号 子会社・関連会社の連結の範囲はどのようにして決まるのか

1.はじめに

「親会社」は、原則としてすべての「子会社」を連結の範囲に含めなければならないとされています。

その連結の範囲の対象となる「子会社」の判定は、議決権の所有割合(議決権の過半数)以外の要素を加味した「支配力基準」および他の会社の意思決定機関を支配しているかどうかという実質的な観点から判定をしていくことになります。

また、「関連会社」の判定にあたっては、「影響力基準(後述)」により他の会社の財務・営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができるかどうかという観点から判定をしていくことになります。

さらに、「子会社」および「関連会社」の範囲には、会社のほか、会社に準ずる事業体、いわゆる、SPC(特別目的会社)や投資事業組合なども含まれることになります。

その投資事業組合については、今年の初めにライブドア社が「連結の範囲」の決定方法を悪用し、投資事業組合を利用した会計操作等が刑事事件として取り上げられたことから再び、「連結の範囲」が注目されるようになりました。

2.「子会社」の範囲の決定

連結制度においては、まず支配従属関係にある連結グループの範囲を決定する必要があり、この決定のために親子間の取り扱いが次のように定められています。

「親会社」とは、"他の会社等"の財務および営業または事業の方針を決定する機関(以下「意思決定機関」という。)を支配している会社をいい、「子会社」とは、意思決定機関を支配されている当該"他の会社等"のことをいいます。

また、親会社が直接支配しているだけでなく子会社を通して他の会社等の意思決定機関を支配している場合、いわゆる間接支配においても、「親会社」の「子会社」とみなされることがあります。
その具体的な例として、以下のようなケースが考えられます。

1 親会社と子会社が一体となって他の会社を支配している場合
2 子会社1社で他の会社を支配している場合
3 複数の子会社がいったいとなって他の会社を支配している場合

意思決定機関とは、株主総会および取締役会などの法的な機関をいい、経営会議等の任意の機関は含まれません。そこで、他の会社等の意思決定機関を支配している場合の「支配力基準」の要件をまとめると以下のとおりになります。

  • 議決権の50%超を所有
  • 議決権の40%以上、50%以下を所有、かつ以下のいずれかの要件に該当する場合
    1 「緊密な者」及び「同意している者」の議決権と合算して50%超
    2 自己の役員・従業員(現在又は過去)が取締役会等の構成員の過半数を占める
    3 財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等の存在
    4 資金調達額の総額の過半について融資・債務保証・担保提供
    5 他の会社等の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在する
  • 議決権の所有は15%未満であるが、「緊密な者」及び「同意している者」の議決権と合算して20%以上、かつ上記1.から5.までのいずれかの要件に該当する場合

議決権の所有割合の算定は、事業年度末の所有株式に基づく株主総会での議決権の数により、次の算式によって算定されます。
所有する議決権の数/行使し得る議決権の総数 ×100%

「緊密な者」と「同意している者」についてですが、まず「緊密な者」とは、出資、人事、資金、技術、取引等における両者の関係状況からみて、自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者をいいます。

その緊密な関係の有無については、両者の関係に至った経緯、関係状況の内容、過去の議決権の行使状況、自己の商号との類似性を踏まえ、実質的な判断を行うこととされています

その「緊密な者」に該当する具体例としては、以下に掲げる者が考えられます。

1 議決権の20%以上を所有している会社等
2 役員又は役員が議決権の過半数を所有している会社等
3 役員・使用人、これらであった者が取締役会等の構成員の過半数を占めている当該他の会社等
4 役員・使用人、これらであった者を、代表権のある役員として派遣し、かつ、取締役会等の構成員の相当数(過半数に満たない場合を含む)を占めている当該他の会社等
5 資金調達額の総額の過半について融資・債務保証・担保提供を行っている会社等
6 自己の技術援助契約等が、相手の事業の継続に重要な影響を及ぼすこととなる会社等
7 自己に対する営業取引上の事業依存度が著しく大きい会社等、又は自己に対するフランチャイズ契約等により著しく事業上の拘束を受ける会社等

次に、「同意している者」とは、役員の選任や定款の変更等、他の会社の財務・営業または事業方針の決定に関する議決権の行使にあたって、契約、合意等により、自己の意思と同一内容の議決権を行使することに同意していると認められる者をいいます。

なお、議決権の所有割合の算定においては、分子に「緊密な者」・「同意している者」の所有する議決権を加えた算式によって算定されます。

3.「関連会社」の範囲の決定

「関連会社」とは、会社(当該会社が「子会社」を有する場合には、当該「子会社」を含む)が出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務・営業または事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該"他の会社等"をいう、とされています。

「子会社」以外の他の会社等の財務・営業または事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合の「影響力基準」の要件をまとめると以下のとおりになります。

  • 議決権の20%以上を所有
  • 議決権の15%以上、20%未満を所有、かつ以下のいずれかの要件に該当する場合
    1 役員・使用人(現在または過去)が代表取締役等に就任
    2 重要な融資
    3 重要な技術の提供
    4 重要な販売、仕入れ等の営業上・事業上の取引
    5 重要な影響を与えることが推測される事実が存在する
  • 議決権の所有は15%未満であるが、「緊密な者」及び「同意している者」の議決権と合算して20%以上、かつ上記1.から5.までのいずれかの要件に該当する場合

議決権の所有割合の算定は、「子会社」の範囲の決定における算式と同じく「子会社」以外の"他の会社等"の議決権の所有割合を算定することになります。

4.連結の範囲から除かれる「子会社」及び「関連会社」

1 支配(影響)が一時的であると認められる場合
2 利害関係人の判断を著しく誤らせるおそれがある場合
3 重要性が乏しい場合

5.最後に

投資事業組合に係る不適切な会計処理が問題になったことから、金融庁より平成18年3月期以降の有価証券報告書提出会社を対象に投資事業組合等に係る連結状況について重点審査を実施するとの発表がありました。

この問題をめぐって連結の範囲に係る判断基準を明確化する目的から、「支配力基準」及び「影響力基準」の適用に関して見直しが行われており、今後はより適切な情報開示をする必要があります。

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