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2006年5月号 知っておきたい"銀行"とのつきあい方
資金の調達方法が多様化してきた現在では、銀行とのつきあい方もむかしのような濃いものではなくなりつつあります。 しかし、中小企業にとってまだまだ銀行は大切な取引先であり、その支援は不可欠です。 あらかじめ、銀行の基本的な考え方を知っておけば、銀行と上手につき合っていくことができます。 ここでは、融資に対する銀行の基本的なスタンスと銀行取引への対応を述べたいと思います。
1.変わる"銀行"
ここ数年で銀行は合併を繰り返し、人件費の圧縮、業務の効率化のために支店の統廃合を進めてきました。 これによって、営業の担当者の人数は減少し、残った担当者の負担が増加した結果、これまで取引先にこまめに顔を出していた担当者もいなくなってしまいました。 後任は誰かすらわからないといった状況も多く見られます。
また、銀行自体が生き残りのための激しい競争の中にいるため、「いざというときはメインの○○銀行が助けてくれる」という考えは幻想となったと言っていいでしょう。 従来のように担当者がつき、メインバンクとしてこまめに営業しにくる関係は、一部優良企業に限られ、一般的には銀行との関係はますますビジネスライクで事務的な関係になっていくと思われます。
リスクの洗い出し
1.審査方法の変化
現在の銀行では、金融庁の指導や審査の効率化、支店間の審査基準の統一化を目的として、会社の定量評価と定性評価を数値化した信用格付制度が重視されています。 近年、多くの銀行がビジネスローンという商品を開発、拡販し、中小企業向貸出残高を伸ばそうとしてきましたが、このビジネスローンなどは信用格付に基づく画一的な審査による商品の典型です。 信用格付を基準として、決められた貸出条件、金利設定がなされてます。
信用格付制度の内容については各銀行毎に独自の基準を作成しており、その内容は明らかにされていませんが、定量評価、定性評価の対象となる一般的な項目を挙げていきます。
2.定量評価
一般的に定量評価の対象となるのは、安全性、収益性、成長性、返済能力といった財務分析項目です。具体的な項目としては以下のとおりです。
- 安全性
自己資本比率、固定比率、流動比率、借入金対比月商 - 収益性
売上高経常利益率 - 成長性
売上高増加率、利益増加率 - 返済能力
キャッシュ・フロー額(営業利益+減価償却費)
借入償還年数(有利子負債÷キャッシュ・フロー額)
インタレスト・カバレッジ・レシオ
(〔営業利益+受取利息配当金〕÷支払利息割引料)
また、直接格付には反映されませんが、銀行が建設業の案件を審査する際に重視する指標としては、
- 安全性
未成工事支出金回転率(完成工事高÷未成工事支出金) - 生産性
従業員一人当たり完成工事高
などがあります。
3.定性評価
銀行の審査において定性評価の部分があるといっても、実務においては定量評価が大部分を占めていました。 そんな中、平成14年6月に金融庁から「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」が出され、中小企業の審査における定性評価の重要性が示されました。 この"別冊"では、中小企業の返済能力や経営実態を判断するには、企業の財務状況による定量評価のみならず、企業の技術力や役員報酬の支払状況、代表者等の収入・資産状況等を総合的に勘案することが必要だと述べられています。
これを受け、銀行の審査方法においても上述の他、業界動向、市場規模、競合会社の状況、後継者の有無等が以前に増して勘案されるようになりました。
リスク対策
1.審査方法への対応
自社の格付を上げるには、当然のことながら、定量評価、定性評価それぞれを上げることが必要ですが、経営者は定量評価を上げることばかりに目を奪われ、定性評価を上げることがおろそかになっている傾向にあります。
定性評価を上げる近道としては、自分の会社を銀行にもっとよく知ってもらえるよう努力することです。 経営者の中には、「銀行の担当者は会社のことは既に知っている」「前任者に話したことはすべて引き継ぎがなされている」とお考えになる方がいますが、まったくの誤解です。 銀行は意外と取引している会社の情報を持っていません。 また、業界情報についてはまったくの"素人"です。 よって、業界動向のわかる資料や会社の技術・販売面における強みを表す資料、さらには、競合他社の情報などを準備し、銀行の担当者を"教育"していくことが、融資を引き出す上で有効な手段になると思われます。
2.必要のない取引はしない
一方で、銀行取引全般において"必要のない取引はしない"ことをおすすめします。 銀行からの"お願い"にいくら応えても、その行為は今後の銀行の支援方針を約束するものではありません。 今後、銀行側の対応はますますビジネスライクに徹したものになっていくと予想されますので、「銀行との取引を小さくすると今後何かあったときに支援してもらえなくなる」とは考えず、銀行のビジネスライクな対応に合わせて会社も銀行との新しい関係を構築していくことが求められます。
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