みらいコンサルティングHOME> 企業情報> 書籍・雑誌掲載> 建設業しんこう> 2006年7月号 会社法と内部統制について
2006年7月号 会社法と内部統制について
はじめに
会社法では、法令や定款等に対するコンプライアンスや業務の適正性確保のため、以下1.から7.に記載する内部統制の整備を求めており、大会社においてはその構築・維持と事業報告による株主への開示が義務付けられています。 体制の整備といった「形」だけの整備にとどまらず、法令違反や甘いリスク管理による企業不祥事をおこさない企業風土の定着が求められているといえます。
| 1 | : | 取締役の職務執行に係る情報の保存及び管理に関する体制 議事録・稟議書等の文書の作成、保存、管理に関する社内規定の整備・運用が必要となります。 |
|---|---|---|
| 2 | : | 損失の危険の管理に関する規定その他の体制 リスクの発生を未然に防止する手続・リスクの管理・発生したリスクへの対処方法・是正手段等を検討のうえ、リスク管理規程の整備及び運用が必要となります。 |
| 3 | : | 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制 職務分掌規程の制定、決裁規程の制定、その他業務の合理化、電子化に向けた取り組みが必要となります。 |
| 4 | : | 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制 典型的な法令違反行為の予防措置、法令定款違反行為が発見された場合における対処方法、是正手段などに関するコンプライアンス規定の整備・運用が必要となります。 |
| 5 | : | 株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制 グループ全体でのリスク管理体制・コンプライアンス体制・子会社との連携体制の確立、子会社に対する不当な取引の要求等を防止するための体制等の整備・運用が必要となります。 |
| 6 | : | 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する体制並びにその使用人の取締役からの独立性に関する事項
監査役は、その善管注意義務の一内容として、取締役による内部統制システムの構築・運用について監査すべき義務を負いますが、これをサポートする従業員が必要な場合には、会社に対して求めることができます。この場合、当該従業員の取締役からの独立性を確保するため、取締役の指揮命令は受けない体制とする必要があります。 |
| 7 | : | 取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制、その他の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制 会社になにか問題が生じたときに、経営者によって悪い情報が握りつぶされないよう直接・間接に監査役へ情報が報告される仕組みの整備が必要となります。 |
内部統制構築上の留意点
わが国の企業では、悪い情報が上層部まで届いておらず、内部告発者の保護も不十分で、また、上層部の意識も組織下部に浸透していないことが少なくないと言われています。
そのために、企業不祥事の特徴として、大規模な不祥事を起こした会社の社長が記者会見の席で「私は聞いていない」と発言して失笑を買うこともありますが、わが国の企業体質をよく現した出来事といえます。
企業の内部統制のガイドラインの策定に関する経済産業省の報告書である「リスク新時代の内部統制-リスクマネジメントと一体になって機能する内部統制」(平成15年)などにおいても、組織内に通常の業務経路とは別の報告経路(ヘルプライン等)を構築することが重要であることを挙げていますが、内部通報制度は内部統制の内容の一部として重要性を増してきています。 このため、従業員などが社内のコンプライアンス違反を経営トップに通報する通報相談窓口(ヘルプライン等)の設置を行う企業が増えています。
しかし、内部統制といえども万能ではなく、内部統制システムを運用する経営者自らの不正行為に対しては効果に乏しいといわれています。 内部統制を「絵に画いた餅」に陥らせないためには、経営者に対する規律付けであるコーポレート・ガバナンスの充実・強化も必要となります。
これらが揃ったとき、経営者にはもはや「知りませんでした」という言い訳は許されなくなるでしょう。
社内飲食費の取扱い
社内飲食費については、上述のとおり金額にかかわらず損金不算入になりました。
ただし、会議費及び福利厚生費等については、通常要する費用として認められる限り、たとえ1人当たり5,000円超であったとしても、交際費等の範囲から取り除かれることとなっています。
改正前の実務上の取扱いとしては、一定の金額基準で判断することも認められていました。 しかし、今後は、社内飲食費のうち会議費・福利厚生費等に該当することを証明できなければ、金額に関わらずその費用は交際費等に該当し、損金性を否認されることとなるので、会社としての取組みが重要になってきました。
今後の課題
大会社に限らず、会社規模がある程度以上大きくなれば、権限の委譲、職務分担が必要となり、従業員の行動のすべてを正確に把握することは不可能となります。 このような場合、健全な会社運営を行っていくためにも、会社の業務、事業の規模、特性に応じたリスクの管理をはじめ、業務が効率的かつ適切に行われるようチェック、管理する社内体制の構築が必要不可欠となります。
また、会社法の施行に伴い、法令の遵守と適切なリスクマネジメントがますます求められることとなるでしょう。 こうした経営環境のなか、企業が持続的で安定的な成長を遂げていくためにも、積極的な攻めの経営を可能とするためにも、その足場固めとして、内部統制システムの構築を真剣に検討すべきときが来ているといえます。
お客様においても、リスクマネジメントやコンプライアンス、業務の効率性に関する内部統制の構築を検討されてみてはいかがでしょうか?
ビジネスニュースレター
税務・労務・法務関連ニュース
株式上場(IPO)の現場から






