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2006年8月号 外食産業と比較した建設業の経営改善課題

当社はかねてより、外食産業についての業績改のコンサルティングに携わってきました。 業績改善が必要な企業と金融機関の間に立つなど、事業計画の作成・達成支援を通し、月次モニタリングやシステム提案、その他業務改善を行って参りました。

そこで、今回は「外食産業と比較した建設業の経営改善課題」として、外食産業のコンサルタントの視点から、建設企業に役立つと思われる業務改善のヒントをお伝えしたいと思います。

(1)損益計画設定の難しさ

まず、業績改善を実施するためには、どんな会社であっても自社の目標とする損益計画を設定します。 近年、外食産業は厳しい競争環境にあり、より明確な損益目標設定と、それに向けた業務改善が必要になってきているためです。

外食企業における主な損益計画の策定方法を紹介すると、以下のようになります。

外食企業ではまず全店舗を業態、立地、客層、人材など、自社独自の観点から店舗をグループ分けし、各グループに目標単価と来客数を前年実績や直近の状況を考慮して損益の目標を設定します。 街道沿い、駅ビル、様々なエリアにはそれぞれの客層があり、集客力や座席の回転率が違うからです。

次に、店舗を既存店と新規店に分けます。 これは、開店から数年が経過した既存店と、開店から1年以内の新店とでは開店特需の有無などの面から条件が違うためです。

このように、自社独自の観点から細かく分析することで計画の精度が向上するのです。

これに対し、建設業においてはいまだに損益重視よりも売上重視といった傾向が見受けられました。

また、建設業は受注1件当たりの単価が巨額である上に、受注件数も見通しが立ち難いという理由から、損益計画を立てていない、もしくは立てても目標として活用していないようです。

損益計画の設定が難しい建設業においても、業績改善のために工事の種類別、納期別、受注タイプ別、担当者など独自の観点で自社の損益予測を実施することで、改善の目標数値が設定されるのではないでしょうか。

(2)目標の細分化手法

外食産業では目標の細分化は、多くの企業で独自の方法で行なわれています。 年間目標を月次レベルに落とし込み、計画と実績の乖離を確認しながら年間目標の達成を目指します。 企業によっては週次・日次管理を行い、より細かい確認を行っています。 更に、曜日別、業態別など詳細の分析を通し、足元の改善や現場に対する指導も行なっています。 このように一定期間ごとに損益を確認し、細かい管理を実践しなければ、原材料費や人件費、光熱費などのムリ・ムダの削減ができません。

建設業における目標の細分化は先述の通り、不確定要素が多く難しいものですが、それは売上の計上に完成基準(もしくは進行基準)を採用しており、算出された売上を期間配分したとしても、実態を反映していないことが多いからです。 このように全社損益に正確性を持てない場合、自社独自の管理手法として、想定される総売上を月配分し、外注費と人件費などの主要コストの推移を期間配分し、実績を確認することでより効果的な業績改善が可能なのではないでしょうか。

(3)組織内のコミュニケーション

外食業の運営において特に重要なことは、現場のコミュニケーションです。 従業員相互のコミュニケーションを持つことで現場のモチベーションが高まり、結果として問題発見・改善、オペレーションの効率化など様々な効果に繋がるからです。 外食産業において、コミュニケーションが取れた店舗には必ずと言っていいほど活気があり、細部まで清掃が行き届いているものです。

建設企業において今回私が感じたことは、このコミュニケーション不足が会社の問題となっていることです。

遠隔地への直行直帰が多く、現場に担当者が張り付いて数ヶ月に渡り作業を進めなければならないなど、全社の一員としての意識が薄れ、営業と現場、住宅建設部門と土木建設部門、ベテランと若手社員など、組織内でのコミュニケーションが取り難くなっているのです。

コミュニケーションが不足すれば新しい改善提案も生まれませんし、現場のモチベーションも高まりません。 定期的に連携を持つ機会を設定し、部門を問わず横断的に意見交換できる組織の活性化が大切であると感じています。 集合研修の実施や、委員会の設立など、組織を横断的に機能させるなどの方法を検討されては如何でしょうか。

(4)意思決定に対する感度

経営陣の意思決定が現場に浸透し、効果が現れるまでの感度が高いことも外食産業の特徴の1つです。

短期間の季節食材イベントや、新しいサービスなど、経営者もしくは経営陣が新たな施策を決定してから、実行し結果が出るまでそれほど時間を要しません。 また、最近ではより早い意思決定と行動を取るために、システムを活用する企業も増えています。

一概に比較は難しいものの、建設業では多くの場合、新たな意思決定と指導の改善策の効果が出るまで時間を要してしまうケースが見受けられます。

社内の問題解決と、消費者のニーズに素早く対応するためには、意思決定に対する感度を上げなければなりません。 そのためには先述のコミュ二ケーションが大切であり、目標数値の設定が欠かせません。

外食産業において繁盛店を生み出す企業には、これらの要素が全て揃っています。 建設業と外食産業は大きく特性は違うものの、現場重視の産業である点では共通でしょう。 以上、業務改善策を述べさせて頂きましたが、建設業の皆様方の業務改善の参考になれば幸いです。

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