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2007年1月号
いまさら聞けない内部統制・J-SOX法のポイント
最近何かと「内部統制」や「J-SOX法」といった言葉が氾濫して、書店でも関連書籍が平積みにされており、関心の高さがうかがえます。
「内部統制」というと、経営者の方にとっては、管理コストの増大を招く一方で利益を食いつぶすだけ、といった認識があるかもしれません。しかし、本来、「内部統制」は、企業の利益を最大化するために不可欠なものなのです。
本稿では、J-SOX法の概要を見ていくとともに、「内部統制の概念」を再度認識し、その意義について考察していきたいと思います。
1.「内部統制」とは
まず、「内部統制」とは何か。端的に言えば、企業活動を適正に行う仕組みのことと言えます。
米国エンロン、ワールドコムの巨額粉飾事件、大和銀行ニューヨーク支店での不正取引、ライブドアの粉飾決算事件など、最近の国内外での企業不祥事は記憶に新しいことかと思いますが、こうした事件を契機に「内部統制」の整備・運用が法的に義務付けられるようになりました。
企業活動を行ううえでは、当然法律は守らなければなりません。そのうえで、効果的・効率的な業務を行う必要があります。そして、活動の結果を正確に財務報告としてまとめなければなりません。こうした要求を満たす仕組みが「内部統制」であり、企業の文化・風土といった大きなものから社内の備品使用ルールといった小さなものに至るまでの全てが、その仕組みのひとつであると言えます。
2.「J-SOX法」とは
「J-SOX法」とは通称であり、金融商品取引法を指してこう呼ばれており、上場会社及び政令で定める会社を対象とし、2009年3月期からの適用が予定されています。一方、会社法でも「内部統制」を義務付けており、業務の適正を確保するよう要求しています。
「J-SOX法」すなわち金融商品取引法では、財務報告の信頼性を確保することを目的としており、経営者に対して、「財務報告に係る内部統制」を構築することを要求しています。さらに、経営者は、構築した「内部統制」が有効に運用されているかを自ら評価して、「内部統制報告書」を作成しなければなりません。そして、経営者が自己評価した結果は、外部監査人(監査法人・公認会計士)が第三者として監査し、適正か否か意見をまとまめます。適正であると評価されれば、その企業の「財務報告に係る内部統制」は有効に構築・運用されており、財務報告が適正であることが保証されるのです。
当たり前のことですが、会社という組織体は、様々な活動から成り立っています。営業マンが得意先を駆け回る、研究開発を重ねる、取引先と交渉する、日々の伝票を処理する、次の経営戦略を練る・・。これらの活動は全て、財務諸表という形で最終的には数字となって集約されます。特に上場会社は、不特定多数の利害関係者が財務諸表を利用するのですから、財務報告の適正さが保証されることは非常に重要なことは言うまでもありません。
3.「J-SOX法」対応の実際
それでは、実際に「J-SOX法」で求められている「内部統制を構築する」とはどういったことなのでしょうか。
前述のとおり、企業は様々な活動から成り立っています。そして、その活動は常にリスクに晒されているといっても過言ではありません。
財務報告が適正に作成されるためには、まず、財務報告を構成する数字がどのようにして集約されてくるのか、そこにどのようなリスクがあるかを把握しなければなりません。そこで、様々な企業活動をひとつひとつ洗い出す作業が必要となります。「財務報告だから経理部の仕事」と思われるかもしれませんが、特定の部署だけでは、他部署の活動は分からないですし、経理は数字の取りまとめ役でしかないのです。
企業によって様々ですが、社内横断的にプロジェクトチームを設けるなどして全社的に対応することは必要不可欠です。目に見えない業務を文書化しリスクを洗い出していく過程は、「J-SOX法」に対応した「財務報告にかかる内部統制」を構築するだけでなく、業務の見直し・改善を図っていくことにもつながっていくことにもなります。当然、コストと手間はかかりますが、形式的な法律対策を実施するのではなく、本当に有効な仕組みを作っていくことが「内部統制を構築する」ことへとつながるのです。
4.中堅中小企業での内部統制
中堅中小企業では、「内部統制」に対していかなる対応をとれば良いのでしょうか。中小規模の会社の場合、間接部門に人員を割くことは、容易ではないでしょうし、「J-SOX法」で上場会社が対応しているような膨大な文書を作成することは必ずしも効果的ではありませんし、法的にも要求されていません。
しかし、大企業であれ、中小企業であれリスクに晒されていることには変わりはないため、自社の経営リスクを洗い出し、そのリスクが顕在化した場合の重要性を認識することは重要です。重要性が高いリスクから、コントロールの有無を確認し、対応を考えなければなりません。
例えば、リスクがコンプライアンス(法令遵守)に係るものであれば、行動規範を作成し社員に浸透させることもコントロールのひとつでしょう。ミスや不正がないよう社員教育を徹底することも重要です。また、牽制が働くような組織体制を構築する必要もあります。
さらに、将来株式上場を目指している企業であれば、「J-SOX法」対応も必要になりますし、上場審査でも内部統制は厳格な審査項目のひとつとなっています。今のうちに「内部統制」を整備することは、どのような規模の会社であっても不利益となることはないはずです。
5.おわりに
どんなに高性能のスポーツカーであっても、アクセルを踏んでいるだけではカーブは曲がりきれません。適切にブレーキを利かせることも重要です。
企業経営においても、どんなことをしてでも利益を稼げればいい、といった考えだけではいずれは市場から淘汰されてしまうでしょう。有効な「内部統制」を構築し、適切に内部牽制を働かせることも重要な側面を持っているのです。
すでにお気づきのことかと思いますが、「内部統制」は、今になって始まったことではありません。どんな会社であっても「内部統制」は何らかの形で存在し、機能しているはずです。ただ、この機会に自社の内部統制機能を点検し、改善していくことが今後の成長基盤を強固なものにするためにも重要なのではないでしょうか。
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