みらいコンサルティングHOME> 企業情報> 書籍・雑誌掲載> 建設業しんこう> 2007年11月号 新「信託法」と不動産
2007年11月号 新「信託法」と不動産
1.はじめに
信託法」は大正11年に制定されて以来、84年に渡り、実質的な改正がありませんでしたが、近年の経済活動の変化に対応するために全面的に見直しが図られ、改正された信託法(以下「新信託法」と呼びます)が平成18年12月8日に可決成立されました。
この新信託法は平成19年9月30日(自己信託のみ平成20年9月30日)に施行されました。また、これらに合わせて税制も改正され、新信託法施行日以後に効力が生じる信託等から適用されることになりました。
そこで今回は「信託の基本」と「不動産にまつわる信託(不動産の信託と不動産投資信託)」について取り上げたいと思います。
2.信託の仕組み
まず、信託の仕組みと信託のメリット、デメリットについて考えてみましょう。
|
信託は委託者(財産の所有者)が信託行為(信託契約又は遺言など)で受託者(信託会社等)に対して自己の財産を移転し、受託者に手数料を支払い、受託者は信託目的に従って受益者(利益の享受者)のために運用・管理・処分等を行い、その利益等を受益者が享受するという仕組みになっています。
信託の大きな特徴は、財産の所有権、管理処分の権限を受託者に帰属させる「形式」と、受託者の固有財産と区別し、信託財産が最終的に受益者の財産になるという「実質」にズレが生じているという所にあり、これにより得られる信託のメリットとしては次のようなメリットがあります。
(1)財産管理機能
財産の管理・処分する権利が受託者に与えられ、これにより信託財産は委託者の意思を長期間尊重し拘束することになり信託設定時の意向を貫くことができます。
(2)転換機能
信託財産が信託受益権という権利になり、信託の目的に応じた形に転換ができ、この機能を応用する事により事業承継や相続対策などに大きな威力を発揮できます。
(3)倒産隔離機能
信託財産は委託者・受託者の倒産の影響を受けることがなく、信託財産は受託者の名義になりますが、その信託財産は受託者の固有財産からも分別管理され、受託者がたとえ倒産したとしても、信託財産は破産財団等には属しません。
3.事業計画書の作成
次に新信託法の改正ポイントについて考えます。
新信託法においては、受益者の義務等の合理化や受益者の権利行使の実効性等を高める為の法律整備が行われたほか、信託を多様な形で利用するニーズに応えるため、次のような信託が創設されています。
(1)受益証券発行信託
従来は特別法がある場合に限定されていた、信託受益権の証券化が一般的に認められました。受益証券を発行することにより権利の移転が容易になり、市場からの資金調達も可能になりました。
(2)限定責任信託
受託者の履行責任が信託財産に限定される信託が創設されました。あわせて債権者保護も整備されました。限定責任信託は不動産などの資産の流動化での利用などが期待されています。
(3)目的信託
従来は公益信託を除いて認められていなかった受益者の定めのない信託が認められました。ただし、一定の弊害防止措置を規定しています。
(4)倒産隔離機能
委託者が自己を受託者とする信託が認められました。これにあわせて濫用を防止する為の措置を規定しています。
4.不動産の信託
不動産の信託とは信託される財産が土地や建物の不動産であるときの信託をいいます。
例えば土地信託とは、委託者である地主がその土地を信託契約により信託銀行に託し、信託銀行がその土地を賃貸等して管理運用し、その利益を受益者に対して配当し、信託終了時に信託財産を全て受益者に給付し、財産の所有権を受益者に移転する、といった具合です。
|
信託される財産が土地・建物の不動産である信託には、不動産の管理を目的とした不動産管理信託、土地所有者が信託銀行等に土地を信託し信託銀行等が信託の定めに従って所要資金の調達、建物の建設、建物の賃貸及び保守、テナントの募集管理等を行い、その成果として信託配当を土地所有者に交付する土地信託などがあります。
5.不動産投資信託(REIT)
|
不動産投資信託とは日本ではJ-REITと呼ばれるもので、投資家から資金を集め、不動産で運用し、賃貸収益や売却益などを配当として分配するものをいいます。
形態としては投資信託型と投資法人型がありますが、日本では主に投資法人型となります。投資信託型とは信託銀行の信託勘定を利用した不動産投資信託です。投資法人型は不動産など特定資産に対する投資として資産を運用することを目的として設立された投資法人を利用した不動産投資信託をいいます。
不動産投資信託の特徴は次の通りです。
| (1) | : | 証券取引所に上場しているため、換金性があります。 |
|---|---|---|
| (2) | : | 少額で不動産投資を行う事が可能です。 |
| (3) | : | 専門家が不動産を運用します。 |
| (4) | : | 複数の不動産に投資しているため、空室などのリスクが分散されます。 |
| (5) | : | 市場取引により価格変動の影響を受けます。 |
| (6) | : | テナントの減少等により配当額が減少するリスクがあります。 |
ビジネスニュースレター
税務・労務・法務関連ニュース
株式上場(IPO)の現場から






