みらいコンサルティングHOME> 企業情報> 書籍・雑誌掲載> 建設業しんこう> 2007年2月号 人材の定着と引き止めのポイント
2007年2月号 人材の定着と引き止めのポイント
現在、多くの企業にとって、今いる人材を如何にして自社へ定着させ、外部への流出を防いでいくかは、人事施策上の大きな関心事となっています。特に専門的な技術・知識が業務遂行に不可欠な業種においては、人材の「替え」が簡単にはきかないこともあり、人材の流出が生産性の低下や品質の低下などに直結し、経営にとって看過できない損失を招くことも大いにありえます。
今回は、そうした問題を未然に防ぐための人事施策上のポイントについて紹介していきます。
1.人材の定着・引き止め施策の重要性
建設業などでは、近年の厳しい市場環境のなか、各企業が余剰人員の削減や賃上げの抑制など、組織の合理化に努力を重ねてきました。
これを人事管理上の観点でみれば、人が減るなかで高い生産性を求められ、今まで以上に社員一人ひとりの役割が重くなることで、社員が離職した場合の影響もまた大きいものになってきています。さらに、団塊世代の大量退職を迎えているにも関わらず、その替わりになるはずの新卒者採用も、若年者人口の減少、採用競争の激化などによって思うように進みません。
こうした状況で一層の経営改善を進め、市場での競争力をさらに高めていくためには、今在籍し、業務を支えている社員を出来る限り自社に定着させ、引き止め、その力を活用していく他ありません。
そのためには、従来のように社員の離職傾向が顕在化してから慌てて個別の説得に当たったり特例的な措置を講じたりする受身の対応ではなく、先手を打って社員の定着率を向上させ、会社に長くいたいと思わせるような人事施策を検討し、積極的に取り組んでいくことが求められます。
2.ターゲットとなる人材は?
人材の定着・引き止め施策の実施に当たっては、まずは企業それぞれの事情に応じて、ターゲット(対象となる範囲、層)を明確にしていきます。ここでいうターゲットとは、現状における人材の定着率や将来の人材戦略上の要求などからみて、定着率を上げたい社員層や、今後とも自社に留まってもらいたい対象者のことを意味します。
もし、若手営業マンの定着率が思わしくないとの実態があるならば、それらの社員層をターゲットとした上で、彼らのモチベーションを上げるのに効果的な施策を取ることが求められるでしょうし、優秀な人材に限って辞めてしまうという問題がある場合には、彼らの優秀さに見合った処遇を実現するための施策を検討することになります。いずれにしても、自社の現状や将来的な戦略を踏まえて適切なターゲットの絞り込みを行なうことが、その後の施策を有効なものとする上で欠かせません。
3.コーポレート・レピュテーションと内部統制システムとの関連性
特定したターゲットに対する定着・引きとめの具体的な施策としては、大きく次の二つの側面からの対応が考えられます。(1)経営のハード面、即ち人事管理施策と、(2)経営のソフト面、即ち各施策の運用です。
1.人事管理施策
人事管理施策としてまず思い浮かぶのは、「金銭的報酬」です。これには、給与テーブルの見直し、業績賞与やインセンティブ手当の導入、福利厚生に関わる各種手当の充実などが挙げられます。
先に挙げた若手営業マンの定着率が悪いというような場合でも、業績連動型の賞与を導入することなどで仕事へのモチベーションが高まり、一定の引き止め効果が期待できるかも知れません。但し、これら「金銭的報酬」の施策を取る場合には、ある程度の予算、費用が必要となる点に注意が必要です。
上記とは別に「非金銭的報酬」としての施策も注目されるようになっています。どんなに高報酬であっても、仕事へのやりがいや働きやすさを実感できなければ、人はその職場でキャリアを全うしようとは考えにくいものです。「非金銭的報酬」としての施策には、こうした見地に立って金銭面以外の処遇を見直し、社員の仕事への意欲を高めることで人材の定着・引き止めを図ろうという目的があります。代表的な施策としては、労働時間の拘束を緩和するフレックスタイム制、裁量労働制の導入や、リフレッシュ休暇の付与などの他、建設業について言えば宿泊施設の生活環境を充実させることなどが考えられるでしょう。
2.人事管理施策の運用ポイント
もう一つの側面として忘れてはならないのが、上記各施策の運用による人材の定着・引き止めへの日常的な取り組みです。
社員各人の目指すキャリアイメージを受け止めて、その方向性に合った経験を積ませることや、若手社員に対して仕事を積極的に任せて成長を促し、仕事へのやりがいを感じてもらうなどがこれに該当します。
また、職場での人間関係への配慮や、日常的な助言やメンタル面のフォローなどによって、働きやすい環境作りを進めることもこうした取り組みの一環と言えます。
もちろん、これら取り組みに当たっては、何よりも管理者のマネジメント力がその前提として要求されることになります。
4.おわりに
以上に紹介した各種の施策が上手く機能するかどうかは、ひとえに自社の現状や将来戦略に即したターゲットの特定ができているか、またそのターゲットが会社や仕事に対し何を求めているのかを的確に把握できているかにかかっています。そのためには、日頃からのコミュニケーションや定期的な意識調査・ヒアリングなどの手間を惜しまず、社員の思いを汲み取る努力を継続しておくことが不可欠と言えるでしょう。
ビジネスニュースレター
税務・労務・法務関連ニュース
株式上場(IPO)の現場から






