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2007年3月号 月次決算を早期化するには?
1.月次決算の本当の役割は?
会社は会社法・証券取引法・税法などの会計法規が規程するルールによってその営業活動の結果を年1回または半年・四半期に1回決算することが義務付けられています。これに対して「月次決算」の実施は、法的義務ではありません。月次決算とは、会社が、主として内部管理のために、独自に月を単位として行う決算のことです。
月次決算は、次の2つの目的を持っています。
| (1) | : | 目標利益達成をコントロールし、収益や利益の拡大を図り、業績を伸ばすために役立つ情報を提供します。 |
|---|---|---|
| (2) | : | 正確かつ迅速な年度決算に結びつけることができます。 |
このように、月次決算を行う最大の目的は目標達成のための経営管理にあります。
経営管理とはP(Plan)-D(Do)-C(Check)-A(Action)のマネジメント・サイクルを回すことです。年1回の決算だけでは会社内部や外部の環境の変化に迅速に対応していくことは困難です。予算・目標・標準(P)に対して月次決算によって実績(Dがどうであったかをいち早くつかまえ、原因や問題点を明らかにし(C)、問題解決の対策を立てて実行していくこと(Aが大切です。このP-D-C-Aが月次決算を通じて有効に機能することで、目標利益達成のための効率的な企業経営が可能となり、業績の向上に結びつくのです。月次決算の実施によって、次のような具体的な効果が期待できます。
| (1) | : | 成り行きまかせの経営」から「計数を中心とした経営」へ転換できます。 |
|---|---|---|
| (2) | : | 各部門の月次の経営状況の問題点と改善点を明らかにします。 |
| (3) | : | 全社一丸となった合理化を推進できます。 |
また、月次決算を積み重ねることで、スムーズに年度決算に結びつける事ができます。毎月の月次決算によって会計処理などのチェックが十分になされていれば、正確で迅速な年度決算が可能となります。そこで、月次決算に法的な規制はないものの、ある程度年度決算と同一のルールによる処理や表示の形式で行う必要があります。
2.月次決算は迅速性が優先される
月次決算は、正確であることも必要ですが、迅速性が優先されなければなりません。かりに会計法規に準拠した完璧な月次決算を行ったとしても、それが1ヶ月以上もたってようやく実績が把握できるようでは、遅すぎます。見積りや概算数値を活用しながら、翌月10日までに作成できる体制を作る必要があります。現状では、締め日から2、3営業日以内に完了している会社も増加しています。
3.遅らせている原因
一般的には、次のような事項が月次決算を遅くしている要因であると考えられます。
- 取引先からの請求書の到着が遅い。
- 在庫の集計報告が遅い。
- 売上にかかる請求書発行日以後月末までの売上の報告が遅い。
- 伝票をまとめて起票している。
- 上級管理者が不在の場合が多く、処理に対する許可をもらうのが遅くなる。
- (事務手続が複雑にからみあい、また重複などにより人員と時間を費やしている。
以上のように組織自体の不経済や事務手続きの不合理性などいろいろなことが原因となりえます。月次決算を早期化するためにはそれぞれの原因解決のための対策をたて、それを実行し、そのうえで実施可能なタイムスケジュールを作成する必要があります。
5.おわりに
(1)経理部門以外の部門の業務改善
経理部門は月次決算に必要な情報を受ける立場にあるため、経理部門の業務改善や努力だけでは早期化は実現できません。まず、情報を発信する部門の業務改善を行います。例えば、営業部門は請求業務と売上計上業務を区分して管理できる体制を整備します。購買部門は、納品ベースで仕入計上を行い請求書は事後チェックの体制とします。倉庫部門は、在庫の継続受払記録を実施し、月末と同時に在庫金額が帳簿上で把握できるようにします。
(2)業務の標準化
社内で使用する勘定科目や伝票・報告書類のフォーマットが統一されていないため、事務作業に多くの時間がかかっているケースをよく見かけます。効率よく作業を進めるためには、勘定科目マニュアルの作成、伝票・報告書類のフォーマットの統一、全社統合システムの導入などが考えられます。
また、社内標準の業務の流れ(業務フロー)を作り、社内に浸透させていくことも必要です。
(3)業務の分散化
経理業務は通常、月末・月初に繁忙期を迎える場合が多いので、請求・支払の締め日を繁忙期から外したり、月に1回のものを複数回にすることで、業務負荷軽減を図ることができます。また、日常処理をまとめて行うことはせずに、日々完結させることが必要です。
(4)見積もりによる計上・現金主義計上
取引先からの請求書の到着が遅い場合は、取引先に協力を要請するのは当然ですが、それでも請求書の到着が早くならない場合には合理的な金額を見積もり計上し、月次決算を締め、請求書が到着した時点で見積もりと実際金額との差額を翌月度分として計上します。また、金額的重要性の低いものについては、月次決算では未払計上せず支払った月の費用として処理(現金主義)し、年度決算において未払金を洗替処理することも一つの方法です。
5.おわりに
月次決算を経営管理のツールとして生かすためにも、月次決算業務を一度見直してみてはいかがでしょうか?
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