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2007年4月号 社員の能力開発のポイント

企業にとって、日々の業務を滞りなく進めていくためには、その業務を遂行するに値する一定レベル以上の業務遂行能力を持った人材が必要であることは言うまでもありません。

企業がそうした人材を確保するためには、大括りに分類して、①「一定レベル以上の業務遂行能力を既に持っている人材を採用し、即戦力として現場で活用する。」②「現在、企業内にいる人材(社員)を一定レベル以上の業務遂行能力レベルまで引き上げるために能力開発を行う。」の2つの方法が考えられます。

能力レベルまで引き上げるために能力開発を行う。」の2つの方法が考えられます。
今回は、そのうち(2)の能力開発の観点について、いかに効率的かつ効果的なものにしていくか、そのポイントを紹介していきます。

1.社員の能力開発の必要性

さて、戦後最長の好景気といわれる今日の状況においても、建設業界の各企業がなお厳しい経営環境に置かれていることは周知のとおりです。

こうした環境の中、いかに現有の人的資源が持つ能力をアップさせ、企業業績向上に効果的に結び付けていくか、そのための施策が企業における能力開発ということになります。また、能力開発には、本誌07年2月号の本欄で紹介した「人材の定着と引き止め」策に含まれる「社員のモチベーション施策」としての側面もあります。

一概に「能力開発」といっても、そこには諸々の要素が含まれています。世間一般の「能力開発」のイメージは、いわゆる「教育・研修」の類のものでしょう。しかし、より詳細に見ていくと、この「教育・研修」の中だけでもいくつかに分類できますし、一方で「教育・研修」には属さないもの(例えば「人事ローテーション」や「キャリア開発」のようなもの)も「能力開発」の一種と言えます。

それでは、建設業における人材開発という視点から、特に「教育・研修」の一環としてのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング:上司・先輩による部下・後輩に対する実際の業務経験を通した教育)に焦点を絞り、留意すべきポイントについて説明をしていきます。

2.OJTを組織的・効率的に行うには

建設業における現場業務で、特に重要なのは例えば建設現場における作業員の配置や工事の進捗管理などの諸々の現場管理業務でしょう。 

それでは、建設業界におけるOJTを想定し、それをより効果的に実施していくために留意すべき2つのポイントについて考えます。

一概に「能力開発」といっても、そこには諸々の要素が含まれています。世間一般の「能力開発」のイメージは、いわゆる「教育・研修」の類のものでしょう。しかし、より詳細に見ていくと、この「教育・研修」の中だけでもいくつかに分類できますし、一方で「教育・研修」には属さないもの(例えば「人事ローテーション」や「キャリア開発」のようなもの)も「能力開発」の一種と言えます。

第一のポイントは、OJTにより修得させるべき内容をいかに組織的・効率的に蓄積し、伝えていくかということです。 

従来OJTは、現場において上司・先輩から部下・後輩へとその教え継がれるべき内容が暗黙知(口頭や手取り足取りで個別に伝えられ、文書等により標準化・定式化されて伝えられてはいないこと)として脈々と受け継がれるケースが殆どでした。そこでは伝える側・伝えられる側によりまちまちの形でその内容が頭の中に蓄積され、伝えられるタイミングも一様ではありませんでした。

OJTによって教え伝えられる内容は、いわば「要領よく仕事をしていくためのコツ」を集約したものであり、暗黙知として個別バラバラにではなく、それを標準化・定式化して組織的に伝えていくことができれば、より効率的に組織内の人材のスキル水準底上げを図ることができます。例えば、今まで個別に口頭で伝えていた現場作業の進捗管理の方法や人員管理において留意すべき点などについて、項目別に文書化またはデータベース化し、組織内の誰もが必要なときに参照すべき事項を閲覧できるようにすれば、伝達したい内容が時期を逸することなくより的確に伝えられるものと考えられます。

3.OJTによるキャリア開発とは

OJTをより効果的なものにするための第二のポイントは、OJTを通じて教わった本人にとって自己啓発意欲の喚起や自身のキャリア・イメージ明確化につなげることができるか、という点です。

これは具体的には、例えばOJTで仕事を教えてくれる先輩社員の姿勢を見て、「自分も何年か後には○○さんのように仕事ができるようになりたい。」などと思えるように誘導していく、ということです。つまり、OJTを通じて、教える側の上司や先輩の仕事への取り組み方や生き様、また仕事内容そのものの意義・やり甲斐などを意識的に伝えていくことによって、本人が自ら仕事における課題を考え、解決していく自己啓発意欲を引き出したり、自らの職業人生について明確なキャリア・イメージを描くための道標になる、という効果が見込めるということです。ある意味で「教育・研修」としてのOJTの側面に留まらない、「キャリア開発」としての側面に着目したポイントと言えるでしょう。

こうした効果を見込んでOJTを行うには、部下や後輩の個々の特徴や適性を見極め、個人ごとに異なる伝え方をとっていく必要があり、その意味では第一のポイント「伝達内容の標準化・定式化」と相反する面があるようにも思われます。しかし、注意すべきなのは、「伝えるべき内容は標準化・定式化」してもその具体的な伝え方やどの時点・段階で伝えるべきか等は部下・後輩の特徴や適性に応じて工夫しなくてはならない、という点です。

更に言えば、部下や後輩の特徴や適性をいかに的確に把握し、中期的な育成の観点も踏まえていかに本人にとって意味のある上司・先輩を引き合わせるか、本人にとって成長の糧となり得る有意義な仕事を提供できるか、それらを出来る限り意識的に仕掛けていくことこそが重要になってきます。OJTの成否をある程度長期的な視点で見るならば、そうした仕掛けがどれだけうまく機能したかによる、と言っても過言ではありません。

3.OJTによるキャリア開発とは

建設業における「社員の能力開発」について、特にOJTに視点を絞って述べてきましたが、これらでご理解いただけるようにOJTは単なる「現場における仕事内容の正確な伝達」に留まるものではありません。それは本人のキャリア開発支援にまで及ぶ、総合的な「能力開発」施策の一つとさえ言えるものです。

OJTはこうした大きな可能性を秘めたものではありますが、それを日常的に機能させるための第一歩は、2月の「人材の定着と引き止めのポイント」と同様、日頃からの部下・後輩とのコミュニケーションによる信頼感の醸成に他なりません。人材を活性化し、組織の活性化につなげていくあらゆる施策の出発点は、一方的ではない「双方向の日常的コミュニケーション」と心掛けることが必要でしょう。

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