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2007年6月号 新しいまちづくり「コンパクトシティ」~改正「まちづくり三法」と建設業~
「まちづくり」のあり方が大きく変わろうとしています。これからの「まちづくり」で中心となる構想は、機能を都市中心部に集約させた「コンパクトシティ」です。
ンパクトと称しても、エリアを縮小するという意味ではありません。高度成長期を通じて生じていた都市の拡張を防止することで環境を保護し、高齢者が暮らしやすい機能的な「まちづくり」を目指すというものです。これに伴い都市計画法、中心市街地活性化法、大規模小売店舗立地法のいわゆる「まちづくり三法」の改正が行われています。
まちづくりに深くかかわる建設業においても、今回の法改正は大きな意味を持つことになります。建設業としてこのような外部環境の変化をとらえ、事業機会の獲得に結びつけるポイントを解説します。
1.中小企業の資金調達環境
「まちづくり三法」は、1998年の大規模小売店法(大店法)廃止を受け、中心市街地の空洞化対策として整備された法律群です。しかしながら「まちづくり三法」制定以降も空洞化は解消されていないため、抜本的な見直しが行われることになりました。
現在(2007年4月1日時点)の改正状況は次のとおりです。
2006年5月に改正「都市計画法」と改正「中心市街地活性化法」が施行されました。また、改正「大規模小売店舗立地法」は今秋、施行される予定です。なお今回の改正にともない「中心市街地活性化法」はその名称が「中心市街地における市街地の整備改善及び商店等の活性化の一体的推進に関する法律」から「中心市街地の活性化に関する法律」へ変更になりました。
2.改正法の内容
「まちづくり三法」のなかで、既に改正法が施行されている都市計画法と中心市街地活性化法について紹介します。
(1)改正「都市計画法」
改正のポイントは二点です。一点目は、都市の構造改革を目的としたものであるということです。つまり、従来の都市計画を踏襲するのではなく、方針から抜本的に見直しをはかる方向転換であることを意味しています。
もう一点は、大規模集客施設の立地が原則禁止となることです。従来ほとんどの地域で立地可能でしたが今後、大規模集客施設の立地は一旦、原則禁止となります。新規立地については、地域住民等が参画する都市計画の手続きを経て地域の判断により適正性を検討、確保することが求められます。また、公共公益施設の立地についても開発許可が必要となります。
改正の背景をもう少し詳しく述べます。
中心市街地の空洞化を論じる際、よくその原因としてあげられるのが郊外の大規模集客施設です。国土交通省の資料によると、昭和50年代(1975 年~1984年)以降、中心市街地の居住人口、事業所数、従業者数は、都市の人口規模にかかわらず一様に減少しています。また、大規模集客施設の郊外建設が多くみられるようになったのは1990年以降のことです。
つまり、大規模集客施設が建設される以前から、人・モノが郊外へ拡散するという構造的な問題が底辺にあったことになります。したがって、都市の構造改革自体を目的として改正が行われることになったわけです。
(2)改正「中心市街地活性化法」(正式名称:中心市街地の活性化に関する法律)
改正のポイントは、国による選択と集中の仕組みが導入されたことです。地域に「まちづくり」への意欲があり、その効果が十分見込める地域が作成した基本計画を国が選択し、それらの地域には集中的に国からの支援を行うというものです。
具体的には、内閣総理大臣を本部長とする「中心市街地活性化本部」を創設し、各地域が作成した基本計画を認定します。このように、今回の改正は地域が主体となった取り組みを促すものです。
以下、国土交通省の支援策をいくつか紹介します。
(3)改正「中心市街地活性化法」(正式名称:中心市街地の活性化に関する法律)
繰返しになりますが、銀行の最大の関心事は融資資金の確実な回収です。そのため、返済計画の合理性については融資判断において最重要視される事項の一つとなります。後述する、事業計画書の内容とも矛盾しないように、実行可能性の高い返済計画を提示する必要があります。
銀行にとって返済計画を補完するものが担保です。銀行は財務基盤が脆弱な企業であるほど、返済計画が頓挫した場合の備えとして、担保提供を求めます。しかし、最近の傾向として、実行可能性の高い返済計画そのものを担保と考える銀行が増えています。つまり、それほど最近の銀行は返済計画(事業計画)を重視しているのです。
◆まちづくり交付金
市町村が作成した、交付期間が概ね3~5年の都市再生整備計画に基づき実施される事業の費用に充当するために、国費(事業費の概ね4割)を交付する制度です。交付対象は道路、公園、公営住宅等の公共事業と、市町村の提案事業であり、その対象の広さが特徴です。
◆暮らし・にぎわい再生事業
都市機能の集積促進を目的とする事業です。都市機能のまちなか立地や空きビルの再生、及びこれらに関連する賑わい空間施設整備や計画作成、コーディネートに要する費用を総合的に支援します。
◆街なか居住再生ファンド
街なか居住の推進を目的とした事業です。市町村が定める地域に50戸程度の賃貸マンションを建てる場合、総事業費の3割を上限として出資します。
3.これからの建設業
「まちづくり」のあり方が大きく変化していることがお分かりいただけたと思います。それでは、建設業として今回の改正をどのように受け止めればよいのでしょうか?そのために、もう一度「まちづくり三法」改正のポイントをおさらいしてみましょう。大きく三点のポイントがありました。
まずは、都市の構造改革を目的としたものであることでした。人口増加社会での拡散型都市から人口減少社会での集約型都市への社会構造変化をふまえた根本的な政策転換です。これが、これからの「まちづくり」の大前提となります。この事業領域に対しどのようにアプローチをするのかが、今後、事業機会を獲得するうえで重要になります。そして、そのヒントは残り二つのポイントに示されています。
次のポイントは、「まちづくり」は地域が主体となり取り組む必要があるということでした。地域住民の参画が少ない計画、実現性や効果の少ない計画は淘汰されることになります。建設業においても地域活動に積極的に関与し、地元地域との連携を強めていくことが重要になります。
そして最後のポイントは、意欲のある「まちづくり」に対する国からの支援措置が拡充されたということでした。例えば、まちづくり交付金の対象は、公共事業である基幹事業と市町村からの提案事業です。そこで、公共事業や郊外開発だけでなく、地元地域へのまちづくりの提案を事業機会とすることはできないでしょうか?「まちづくり」を具体化するには建設業の関与が不可欠です。
地域との結びつきを強め、ニーズを把握し、あるべき「まちづくり」の具体化を提案する、そのような提案営業力がこれからの建設業にはより一層求められるでしょう。
(参考文献)
- 第164回 国会(常会)提出法律案http://www.mlit.go.jp/policy/file000003.html

- 中小企業庁編「2005年版 中小企業白書」
- 財)都市計画協会編「コンパクトなまちづくり 改正まちづくり三法による都市構造改革」株式会社ぎょうせい、2007年
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