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2007年7月号 企業価値を高める“評判”(コーポレート・レピュテーション)づくり

ここ数年、企業の事故や不祥事が多発しています。長年にわたり確固たる地位を築きあげてきた企業が一夜にして崩れ落ちてしまうことも珍しくありません。このような社会の風潮を契機として全社的なコンプライアンス体制の強化や、内部統制システムの構築等に取り組む企業も増えています。同時に“コーポレート・レピュテーション”などという言葉もよく耳にします。

レピュテーションとは、一般には、評判、世評、うわさなどといった意味で使われますが、現在はコーポレート・レピュテーションというものが企業価値として認識されてきているからです。
今回は、このコーポレート・レピュテーションが重視されてきている理由及び良いコーポレート・レピュテーションを形成するためのポイントを、内部統制システムと絡めてお話したいと思います。

1.今なぜ“レピュテーション”が注目されているのか?

典型的な判例としては昨今の事故や不祥事に起因した企業の失墜があります。そこには多くの利害関係者が発言し、かつ連鎖するようになっていること及びインターネットの浸透により情報伝達の環境が大きく変化していること、という2つの要素が含まれています。

これまでは、多くの企業は消費者、取引先、地域住民、従業員等という利害関係者を各々別個に考え、個別的に対応してきたのではないでしょうか?消費者に対しては店舗窓口、取引先に対しては営業部、地域住民に対しては総務部、従業員に対しては人事部がそれぞれ担当するというようにです。

しかし、実際には何か不祥事が生じた場合には、情報は取引先から消費者、地域住民、従業員へと次々につながり、それぞれの発言が“悪い”レピュテーションを生んだ場合には、これが最終的に企業価値に致命的な打撃を与えることも多くあるのです。

そしてこのような利害関係者間の連鎖には、インターネットの発達が後押ししています。ブログやSNSを利用したネット空間での口コミ効果の拡大は、利害関係者と企業間及び利害関係者間のコミュニケーション環境を変化させ、特に利害関係者に対する情報の伝達、発言の場の提供及び発言の迅速な拡散といったレピュテーション形成の諸要素を助長していると言えるのです。

もちろん“悪い” レピュテーションだけではありません。利害関係者と良好な関係を構築した結果生じる“良い” レピュテーションは、他社との差別化を図る「資産」ともなり得ます。コーポレート・レピュテーションを“企業価値創造のドライバー”として最も重要な資産の一つと位置付けている企業もあるのです。

2.コーポレート・レピュテーションにとって重要なコミュニケーション

コーポレート・レピュテーションには、企業を取り巻く多くの利害関係者とのコミュニケーションが大きな影響を与えることは容易に想像がつくのではないでしょうか?そこで重要となってくるのが、各利害関係者と直接コミュニケーションを行う担当部門及びそれらをまとめてコーポレート・レピュテーションとしての維持・向上を担う部門とのコミュニケーションの充実です。

といってもすぐに社内外のコミュニケーションを活発化させ、レピュテーション向上に結びつけるのは難しく、そこには工夫が必要だと思います。

まずは、すべての部門の活動がレピュテーションの形成に影響を及ぼすという認識を社内全体が持つことが欠かせません。そしてそのためには、広告宣伝やメセナ等の社内活動によりコーポレート・レピュテーション向上に貢献した事実についてはフィードバックを行い、社内のモチベーションを向上させることも必要です。

また、部門の評価にレピュテーション形成に係る項目を追加することも現実的でしょう。その時は、ともすればあいまいになりがちなレピュテーション低下に対する結果責任を明確にすることも重要です。レピュテーションの測定方法については、企業の経営方針によって各社様々であると思いますが、有名なものとしては、C.J.フォンブラン教授が米国ハリスインタラクティブ社と共同開発したRQスコアがあります。

さらに、各利害関係者からの評判というのは、各々が有する利害関係によってそれぞれ異なるものです。そのような中では、企業全体としての「全体最適」を意識することが非常に重要です。

3.コーポレート・レピュテーションと内部統制システムとの関連性

企業不祥事に端を発した制度としては、内部統制システムも同様です。
内部統制システムとは、企業が潜在するリスクを認識し、それに対処するための社内諸制度を構築・運用することによって、安全な企業体質を構築するものであり、最大の効果は利害関係者に対して「信頼」を与えることです。内部統制が優良な企業との評判が広がれば、様々な取引の面でも有利に進められることが期待され、副次的には企業の収益や社会的地位の向上も望めるということになります。これもコーポレート・レピュテーションの形成に大きな影響を与えるものです。

また、内部統制は、構成要素として「情報と伝達」という概念を含んでいます。すなわち、“有効な”内部統制システムを構築するためには、必要な情報を識別・処理し、組織内外の関係者に適切に伝達することを確保しなければならないのです。これは当にコーポレート・レピュテーションを形成する際に重要な観点と同様です。

したがって、最近よく取り上げられるコーポレート・レピュテーションと内部統制システムとは別個に考えるのではなく、非常に重要な同じ要素を含んだものとして、両者を関連付けて取り扱うことが効果的であると思われます。経営者としても、多大な時間的・金銭的コストを要して構築した内部統制システムをより積極的に企業に利益をもたらすためのシステムとして活用したいと考えるのが当然でしょう。

また、内部統制システムの構築にあたって必須となる社内制度、規程、ルールの再検討又は情報システムの整備にあたって、レビュテーションの視点も意識して議論することも有効であると考えられます。

コーポレート・レピュテーションとは、すべての企業活動の結果とも言えるのではないでしょうか。そうとらえるとコーポレート・レピュテーションは、企業の多面的な要因が統合されたもの、つまり企業価値そのものとも言えるのです。また内部統制システムの構築に直面している企業にとっては、まさにコーポレート・レピュテーションを高めるチャンスととらえ、積極的な行動とることが、企業の差別化に繋がってくると言えるでしょう。

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