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2008年10月号 最低賃金法改正のポイント!
平成20年7月1日より最低賃金法が改正されました。この改正により、最低賃金額の減額特例の新設や違反行為に対する罰則の見直し、派遣労働者への適用方法等、大幅な変更が行われています。
今回は、この最低賃金法の制度の概要と改正における留意すべきポイントを紹介します。
1.最低賃金制度とは
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき、賃金の最低限度の額(以下、最低賃金額)を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。賃金額の設定は、通常、使用者の判断に委ねられています。しかし、設定された賃金額が、最低賃金額を下回る場合には、たとえ労働者の合意のもとに支払われた賃金額であったとしても、最低賃金額により計算された賃金額を支払う必要があります。
この最低賃金額には大きく分けて、「地域別最低賃金」、「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。
「地域別最低賃金」とは、都道府県別に一定の金額が定められており、使用者は、その事業場の所在地ごとに、地域別最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
特定(産業別)最低賃金」とは、特定の産業ごとに、都道府県別に一定の金額が定められており、通常、地域別最低賃金より高い賃金額となっています。特定の産業に該当する使用者は、労働者に賃金を支払う場合、地域別最低賃金ではなく、特定(産業別)最低賃金により定められた最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
また、最低賃金額以上に支払う必要のある賃金とは、使用者が労働者に支払うすべての賃金を対象とすることはできません。この場合、対象となる賃金とは、労働者の通常の労働時間、労働日に応じて支払われる賃金となります。具体的には、実際に使用者が労働者に支払う賃金から下記の賃金を除外したものについて、最低賃金額以上の賃金額を支払う必要があります。
〈最低賃金の対象から除外される賃金〉
- 臨時に支払われる賃金(結婚祝金など)
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われている賃金(賞与など)
- 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
- 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
- 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
次に、実際に労働者に支払う賃金が、最低賃金額以上となっているかどうかを検証する方法について紹介します。
最低賃金の対象となる賃金額と、それぞれ適用される最低賃金額については、使用者が労働者に賃金を支払う方法(時間給、日給、月給等)によって下記のように分かれます。
(1)時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
(2)日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
| ※ | 日額によって定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給≧最低賃金額(日額)によって比較します。 |
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(3) (1),(2)外(週給、月給等)の場合
それぞれの賃金額を時間当たりの金額に換算して、最低賃金額(時間額)と比較します。
| ※ | 日額によって定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、賃金額と最低賃金額の日額のそれぞれを時間当たりの金額に換算して比較します。 |
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2.最低賃金額の減額特例
改正前については、下記のような対象労働者について都道府県労働局長の許可を受けたときは、最低賃金の「適用を除外できる」こととされていましたが、今回の改正により「減額特例」という考え方が導入されました。
〈減額特例の対象となる労働者〉
- 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者
- 試(こころみ)の使用期間中の者
- 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受ける者のうち省令で定める者
- 軽易な業務に従事する者
- 断続的労働に従事する者
「減額特例」では、これまで適用除外の対象となっていた上記のような労働者について、都道府県労働局長の許可を受けたときは、労働能力その他の事情を考慮して減額した額により最低賃金を適用することになります(それぞれの労働者について減額率の算定方法が決められています)。
例えば、試の使用期間中の者については減額率が20%と固定の率で決められていますので、東京都の最低賃金額が適用される労働者であれば、739円(平成19年10月1日時点)から20%減額することになります。したがって、592円(端数切り上げ)がこの労働者に適用される最低賃金額となります。
なお、今回の改正法が施行されるときに、既に都道府県労働局長の許可を受けて適用除外となっている労働者については、施行日(平成20年7月1日)から1年の間に、新たに最低賃金の減額特例許可を受ける必要があります。
3.派遣労働者の最低賃金
派遣労働者については、改正前は「派遣元」の事業場に適用される最低賃金が適用されていましたが、今回の改正により、「派遣先」の事業場に適用される地域別最低賃金(場合によっては、特定(産業別)最低賃金)が適用されることとなりました。
4.罰則の見直し
改正前においては、最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者に対しては、罰則として上限2万円の罰金を定めていましたが、経済状況の変化や貨幣価値の変動等により、これまでの罰則内容では使用者に対する制裁的効果が低下していきているとの観点から、今回の改正により大きく見直されることとなりました。
まず、「地域別最低賃金」において定められた最低賃金額以上の賃金を支払わない使用者に対しての罰金額の上限が、50万円に改正されています。
また、「特定(産業別)最低賃金」において定められた最低賃金額以上の賃金を支払わない使用者に対しては、最低賃金法における罰則はありませんが、この場合、労働基準法第24条における「賃金の全額払い」違反となるため、これに基づいた罰則(上限30万円の罰金)が適用されることになります。
また、「周知義務(使用者は、最低賃金の概要を、常時作業場の見易い場所に掲示する等の方法で、労働者に周知させるための措置をとる必要があります)」(地域別最低賃金及び船員に適用される最低賃金に係るものに限る)等の違反についてもその罰金額の上限が30万円に改正されています。
このように、今回の改正によって最低賃金法は大きく見直されています。また最低賃金額は、毎年、その金額自体についても見直しが行われており、ここ数年は近年の雇用環境等から上昇傾向にありますが、本年10月からは、更に大幅な引き上げも予定されており、東京都においては、現在の地域別最低賃金739円から766円への変更が検討されています。
現状、会社として支払っている賃金が、最低賃金法を遵守しているかどうか、再度見直しを図る必要もあるでしょう。
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