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2008年4月号 コア・コンピタンス経営~いかに会社のコア・コンピタンスを構築するか~

1.はじめに

「御社の強みは何ですか?」この質問に「当社の強みは○○です」と即答できる経営者は何人いるでしょうか?経済が右肩上がりに拡大し続けた高度経済成長期から、人口減少や少子高齢化といった成熟期に入った日本経済、消費全体のパイが縮小する中で「コア・コンピタンス」を意識しないで企業が生き残ることは困難な時代になりました。

しかしながら、「コア・コンピタンス」を新たに構築することは単なる「強み」を更に強化するといったものではなく、抜本的な改革を必要とするものであり、この実現にはかなりの困難を伴うものであることは確かです。

「コア・コンピタンス」とは、企業の中核(コア)となる競争力(コンピタンス)であり「他社には真似できない利益を顧客にもたらすことのできる、企業内部に秘められた独自の技術やノウハウの集合体」と定義されます。

従来は「コア・コンピタンス」を特に意識することなく、経営を行ってきた会社が多いと思いますが、ここでは「コア・コンピタンス」を真正面に受け止めて、その構築の手順とポイントについて検討します。

「コア・コンピタンス」の構築手順の設計を行った後、全社員でその手順を共有します。自社が戦略上、どのような「コア・コンピタンス」の構築を目指し、そのために何に対して経営資源を投入していくのかを全社員で共有するのです。

「コア・コンピタンス」となる技術やノウハウはそれぞれの社員が生み出し、体系化していくものです。そのためには全社員の「コア・コンピタンス」構築手順に対する共通認識が不可欠になります。

2.中小企業こそ「コア・コンピタンス」が不可欠

中小企業を取り巻く経営環境は極めて厳しく、経営者は将来を見据えた「コア・コンピタンス」の構築よりも、明日の生き残りをかけたリストラなどに躍起になっているのが実情です。

しかし、リストラのみによって将来の持続的な成長を維持することができるのでしょうか。リストラはあくまでも足元の利益追求の手段であり、将来の成長を手に入れる手段ではありません。短期的な収益の改善を狙った人件費の削減や事業の切り売りは、長期的には有能な人材やこれまで培ってきた経営ノウハウを失う危険もはらんでいるのです。

中小企業は大企業のように豊富な経営資源(ヒト・モノ・カネ)を有していません。中小企業の「コア・コンピタンス」の構築のためには、どの事業に、どの経営資源を、どれだけ投入するのかという「選択と集中」が欠かせないのです。極論すれば「コア・コンピタンス」以外は全てアウトソーシング(外部委託)で補う戦略も考えられます。

原材料や人件費が高騰しているにもかかわらず、価格に転嫁することができない実情が多くの中小企業にはあります。「コア・コンピタンス」を有する企業ならば価格競争に巻き込まれる心配は少なくなります。単なる下請けにとどまらないためにも長期的な視野で「コア・コンピタンス」を構築していくことが必要なのです。

3.事業計画書の作成

「コア・コンピタンス」を構築していく前に、まず自社がこれまで培ってきた技術やノウハウの棚卸を行うことが重要です。

競合他社が多数ひしめき合う中で、「なぜ我社はこれまで存続しえたのか」という自社の存在意義を見つめなおす必要があるのです。

自社の強みは、具体的にどの事業活動にあるのかを分析する手法として、バリューチェーンを作成することをお勧めします。バリューチェーンとはアメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱した経営分析手法です。

たとえば下図のように自社の事業活動を「設計開発」「調達」「生産」「物流」「販売」などに細分化して、自社のどの事業活動に競争優位性があるのかを明らかにします。そして、どの部分に経営資源を集中して差別化し、どの部分はアウトソーシングするのかを判断するのです。

次に、市場の将来動向をうけて、自社の「強み」あるいは現在の「コア・コンピタンス」と目指すべき将来の「コア・コンピタンス」とのギャップを確認します。そして、そのギャップを埋めるために何をしなければならないのかという具体的な構築手順を設計します。

4.「コア・コンピタンス」の構築

しばしば企業は環境への適応が必要だと言われますが、環境へのキャッチアップをするだけで企業は厳しい競争に勝ち残ることができるのでしょうか。

他社に対して競争優位を維持するためには、環境の変化を先読みして、自社の強みを環境の変化にどのように活用できるのか、自社の強みを活用するためには、新たにどのような能力が必要になるのかを考え、実行する必要があります。

以下では、「コア・コンピタンス」を構築し、実践するためのガイドラインを4つのステップに分けてまとめてみました。

(1)市場の将来動向の予測

まず、中長期的(5~10年)な市場の将来動向を予測します。技術・人口構成・政府規制・ライフスタイルの変化などを考慮して将来何が市場を支配する決定的な要素になっているのか、顧客が何を求めるようになっているのかを予測します。そして、その市場環境や顧客の欲求を満たすための、自社が目指すべき「コア・コンピタンス」を設定します。

(2)「コア・コンピタンス」構築手順の設計

次に、市場の将来動向をうけて、自社の「強み」あるいは現在の「コア・コンピタンス」と目指すべき将来の「コア・コンピタンス」とのギャップを確認します。そして、そのギャップを埋めるために何をしなければならないのかという具体的な構築手順を設計します。

(3)「コア・コンピタンス」構築手順の共有

以下では、「コア・コンピタンス」を構築し、実践するためのガイドラインを4つのステップに分けてまとめてみました。

(4)「コア・コンピタンス」の継続的な見直し

真の「コア・コンピタンス」は中長期的なスパンで培われるものです。市場環境の変化や技術の進化などにより、当初構築した「コア・コンピタンス」が時代にそぐわなくなる可能性も十分に考えられます。このため、現状を注意深く観察し、適宜「コア・コンピタンス」の見直しや修正を行うことが必要です。他社を凌駕するような「コア・コンピタンス」は決して一朝一夕に生まれるようなものではありません。

「コア・コンピタンス」を確立している企業は、たえず市場における自社の存在意義を問い続けているのです。

5.おわりに

経済のグローバル化・ボーダレス化が進展し、企業を取り巻く環境は、日本国内だけではなく、世界各国の企業も巻き込んだ大競争時代を迎えました。また、技術の進歩や経営環境が複雑化したことにより、一企業がすべてにおいて優位性を保つということは、もはやありえません。よって、他社を寄せ付けない「コア・コンピタンス」がひとつでも自社にあるならば市場で競争力をもつことができますし、有利な戦略的提携も可能になるのです。

中小企業の目指すべき道はナンバーワン企業ではなく、経営資源を集中し、「コア・コンピタンス」を生かした、特定の市場でのオンリーワン企業を目指すべきであると思います。

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