本文へジャンプ

みらいコンサルティングHOME> 企業情報> 書籍・雑誌掲載> 建設業しんこう> 2008年5月号 建設業に迫る業界再編

2008年5月号 建設業に迫る業界再編

1.経営統合(M&A)増加の背景

企業がM&Aという手法により経営統合を実行するのは、この数年で本当に一般的となりました。
  このM&Aが増加する背景の一つはその企業を取り巻く業界環境の変化が急激で進んでいることがいえます。日本では人口減少が始まり、少子高齢化が進んでいます。このことは、どの業界においても大きな環境変化の始まりといえます。

食品業界では、今後の人口減少による需要の減少に備えM&Aを活発化しています。特にビールメーカーなどは新たな収益源の確保のため積極的にM&Aを実行しており、家電量販店やドラッグストア等の小売業界も規模の利益の追求のため買収や経営統合が日々進行しています。これは、今後の環境変化に備え生き残りをかけての経営戦略です。

もう一つには会社法などの法整備がなされたことです。2006年から商法に代わり会社法が施行されました。この会社法の施行前も商法は幾度となく改訂されM&Aが実行しやすくなりましたが、この会社法によりさらに柔軟にM&Aが実行できるようになったのがこのM&A増加の背景でもあります。

2.建設業界に淘汰の波

建設業界では公共事業の減少による市場規模の縮小が進み、多くの業者が厳しい試練に直面しています。このため民間建築へ流れ込む業者が増えていますが、安値受注競争(たたき合い)が激化し利益率の低下が深刻となっています。

また最近ではサブプライムローン問題による再開発件数の減少、改正建築基準法施工によるマンション需要の減退等々、建設業界を取り巻く環境はさらに厳しさが増すことが容易に予想されます。

このように市場規模の縮小に対して、事業者数の減少が少ないのは建設業界特有の現象です。業界大手も再編の波は避けられないとの認識ですが、中堅以下の企業でも再編の動きが活発になっています。最近の事例では、07年10月にオリエンタル建設が白石を吸収合併しましたし、08年4月に佐伯建設工業が国土総合建設と経営統合を発表しています。
このように中堅・中小層においても淘汰・再編の流れがはっきりとしてゆくのではないでしょうか。

3.経営統合の各手法

M&Aといっても様々な方法があります。ここで、各手法に関して少しふれてみます。

(1)株式買収

対象企業が発行する株式を買い取ることにより、対象企業を子会社化し経営統合を図る方法です。この方法がM&Aの手法のうち一番使われる方法です。
この方法のメリットは、迅速に対象企業をグループ化することができることです。株式を買い取るだけなので、煩雑な手続きもなく実行できるからです。この手法ではM&Aの対価が株主個人へ現金で渡されるので、中小企業の事業承継対策のM&Aでよく使われる手法です。

その他、株式取得の別の方法としては、第三者割当増資という方法もあります。これは対象企業の発行する新株を取得しその企業の経営に関与するもので、資金を必要とする企業のM&Aではよく使われる手法です。

デメリットとしては、株式買収により企業を丸ごと買い取るので、簿外負債も含め全てを引き継がなければならないということです。これを回避するためにも、買い手側はM&Aを実行する前に綿密な調査を入れる必要があります。

(2)事業譲渡

対象企業の必要な部門を買い取る手法です。具体的には複数の事業所を持つ企業から、自社が必要とする地域の事業所を買収し自社の事業所として営業を継続するといったものです。

この手法では、必要とする部分のみの買収なので対象企業に隠れた債務があっても法人格は引継ぎませんので、簿外負債等は回避できるというメリットがあります。

デメリットは手続きが煩雑ということがいえます。必要部門のみの買収であり言い換えれば資産の売買なので、移転資産の名義変更が必要です。建設業においてはその許認可の新規取得が必要な場合もあります。その他、受け入れる従業員も転籍となるので、給与も含めた待遇の協議も必要です。

(3)合併

2つ以上の会社が存続会社(新設会社)に包括的に引き継がれる会社法上行為のことです。会社法ではキャッシュアウトマージャーという合併の対価に現金を使うこともありますが、合併での対価は一般的には吸収される会社(消滅会社)の株主に存続会社の株式を渡すことで実行します。

この方法は、規模のメリットを享受できることが最大メリットといえます。その他では2つ以上の会社が強制的に1つの会社となるので、不採算部門の統合などM&Aの効果を発揮しやすい手法であることもメリットといえます。

デメリットとしては、株式買収と同様に消滅会社の債権債務全てを包括承継するので簿外負債のリスクが生じます。また、企業文化の融合に時間がかかり当初予想した統合効果があわれないことにも留意が必要です。

ただ、建設業においては建設従事職員を増やすことで経審アップが図れるので、この合併を選択する企業が他業種よりも比較的多いことがいえます。

持ち株会社制度は複数の企業が持ち株会社を頂点とするグループ構成へと移行しやすくするための制度です。これはある会社が完全親会社を創設(または完全子会社となる企業の創設)し、その親会社の下で事業会社が連なることにより効率的に企業集団を再編する手法です。

この持ち株会社化のメリットは複数の企業と持ち株会社へ移行しても、企業としての独立性を保ちながら合併と同様の規模のメリットを享受できることにあります。

ただ、今までの建設業界ではあまり使われる手法ではありませんでした。というのは、これまでは持ち株会社へ移行し経営統合を果たしても合併で説明した経審アップとはならないからです。しかし、平成20年度の改正により持ち株会社を連結グループで評価することとなりました。今後は、この方式による経営統合が建設業の経営統合の主流になるかも知れません。

4.今後の方針としての再編

以上の通り、M&Aといっても様々な手法やその手法の特徴があります。皆様の会社がM&Aを検討する際には、自社の得意な営業地域や事業分野を分析し、その結果どこの企業どの手法により経営統合を図るかの検討が非常に重要です。
今後の経営者はそういった自社の内部のみではなく、同業もしくは異業種も含め動向を注視する必要があるのではないでしょうか。

その他の記事はこちらから
お問い合わせ・資料請求
  • 見積が欲しい
  • 資料を請求したい
  • サービス詳細が知りたい
  • 相談にのって欲しい
インターネットでのお問い合わせ
お問い合わせ
お電話でのお問い合わせ
03-3519-3970

ホームページを見たとお伝えください
受付時間 平日:9:00~18:00
※土、日、祝日を除く