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2008年9月号 効果的な固定資産投資活動のポイント
平成19年及び平成20年の税制改正において、減価償却制度について抜本的な改正が行われました。これらの改正は国際競争力の強化を狙いとして行われたもので、効果的に利用することで、投資活動を効率的に行うことができる制度となっています。
今回は、改正減価償却制度利用のポイントについて述べていきます。
1.減価償却制度改正の概要
平成19年、平成20年における減価償却制度改正点のうち主なものは以下の2点です。
(1)償却可能限度額と残存価額の廃止
有形固定資産に設けられていた償却可能限度額及び残存価額が廃止となり、取得価額から1円の備忘価額を控除した残額まで減価償却が可能となりました。
| 1 | : | 平成19年4月以降に取得した減価償却資産については、耐用年数経過後には備忘価額控除後の取得価額相当額まで償却が可能となる償却割合に変更されております。なお、平成19年4月以降に取得した資産について旧償却方法を用いることも可能です。 |
|---|---|---|
| 2 | : | 「機械及び装置」を中心に実態に即した資産区分に整理され、合わせて法定耐用年数の見直しがなされました。この区分変更により設備ごとに390あった区分は業種ごとに55区分となるとともに、多くの場合で法定耐用年数が短縮されました。また、平成20年度の見直しにより、既存の機械及び装置に対しても適用されることになりましたので、注意が必要です。 |
(2)耐用年数の見直し
「機械及び装置」を中心に実態に即した資産区分に整理され、合わせて法定耐用年数の見直しがなされました。この区分変更により設備ごとに390あった区分は業種ごとに55区分となるとともに、多くの場合で法定耐用年数が短縮されました。また、平成20年度の見直しにより、既存の機械及び装置に対しても適用されることになりましたので、注意が必要です。
2.改正によるメリット・デメリット
(1) 投資当初の節税効果
平成19年に定められた新償却方法の利用、耐用年数の短縮のどちらにも共通する効果が、投資の初期における償却費が多額となることであります。以前の制度と比較すると投資初期の償却費は、耐用年数5年の定率法を例とすると、約1.35倍もの増額となるのです。
償却費が増加すればその分利益が圧縮され、節税効果が生まれます。耐用年数の短縮でも同様に、償却率が増加することで投資初期の償却額は大きくなります。
(2) 自己金融効果
償却費はキャッシュを伴わない費用であり、減価償却費を計上することは企業にとっては取換資金を回収する効果が生じることになります。新償却方法の利用、耐用年数の短縮では、投資初期に多額の取替資金の回収を実現することになるのです。
さらに、残存価額が撤廃されたことで投資額のほぼ全額の資金回収も可能となりました。建物のような高額な資産については、取得価額の5%相当額である残存価額も多額となります。
多額な投資金額を全て回収することは、次なる投資をも促進することとなり、企業の投資活動競争力を高める効果があるのです。
(3) 資産管理の簡便化と適用初年度の管理コストの増大
機械・装置について区分が見直され、その基準も設備ごとから業種ごとに変更されました。業種によってはすべての機械装置が、同じ耐用年数を用いることになり、設備ごとの管理が不要になります。ただし、複数の事業行っている場合は主たる事業の業種区分に応じた耐用年数をすべての機械装置に適用させるのではなく、その事業の業種区分ごとに耐用年数を管理する必要があります。
一方、多くの企業では固定資産の管理に市販のソフト等を用いていますが、償却方法や耐用年数を変更する場合、新基準に対応したソフトへの移行の必要が生じるというデメリットもあります。
また、全ての機械・装置について新区分による耐用年数を調べ、差異が生じている場合は新たな耐用年数へと修正しなければなりません。この作業には、資産の数が多ければ多いほど費用や時間といった多額のコストがかかります。決算等が間近に迫っている企業は、早急に対応をする必要があります。
3.注意すべき点
(1) 利益へのインパクト
2年間にわたる減価償却制度の改正により、投資当初の償却費が多額になることはこれまでに述べてきたとおりですが、償却費の増大は利益に対する大きなインパクトとなるのは留意していただきたい事項の一つです。
償却費が利益を圧迫することで財務内容が悪化し、利害関係者(とりわけ債権者である銀行等)の判断に影響を与え、資金調達計画が暗礁に乗り上げるケースも考えられます。
多額の投資には、今まで以上に利益へのインパクトを考慮する必要があります。
(2) 財務諸表への記載
財務諸表への対応としては、減価償却は一般的に税法基準が多く用いられていることに鑑み、税制改正に応じた償却方法の変更や耐用年数の変更は会計方針の変更には当たらないとされています。
しかし、注記事項として変更の内容やその影響額を記載しなければなりません。また、機械・装置の区分変更は既存資産にも適用されるため、税法基準を適用していたにも関わらず、旧区分による償却を続ける場合はその旨も記載する必要があります。
以上のように、企業会計においても税法改正に伴う諸々の対応は継続性の原則に反しないことから、税務会計を基礎とする中小企業はもちろんのこと、企業会計基準を基礎とする上場企業や大企業も(注記等の対応は必要となりますが)、減価償却制度改正に伴う耐用年数等の変更は問題ありません。
4.最後に
以上のとおり、平成19年、平成20年の改正は、企業が積極的な設備投資を行い、かつ、そのコストを早い時期に回収できるという面では非常に大きなメリットがあります。特に、建設業における減価償却資産は金額も大きいため、その効果は如実に現れます。
しかし、効果が大きい分、利益へのインパクトが大きいことも忘れてはいけません。多額の投資が予定されている時には、その投資による利益へのインパクトを事前にシミュレーションをすることが大切となります。
また、固定資産の管理を徹底することも重要な点の一つです。機械及び装置を多く保有する企業には、特に改正によって新区分に変更する手間が生じます。日頃から保有する資産を種類・細目等ごとに把握し、新基準に対応する準備を進めていくことが必要となります。
2年間にわたる減価償却制度の抜本的改正は、投資を積極的に行いたい企業にとっては大きなチャンスとなっています。本稿で挙げた留意点を考慮し、効果的な投資を行っていただければ幸いです
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