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2009年2月号 建設業における事業継続計画の策定のポイント
1.事業活動を止めない計画
近年、大規模地震や台風、また降雨の範囲が極めて局所的であり、短い降雨時間、単位時間当たり大規模な集中豪雨(以下、「ゲリラ豪雨」といいます)などの大規模な自然災害の発生や大規模な情報システムの障害(以下、「大規模災害」といいます)により、事業が中断されることが多くあります。“事業活動を止めない計画”を策定し、その計画を経営者がマネジメントしていくことは重要な経営課題となってきました。
“事業活動を止めない計画”と聞いて、
- 会社の事業活動で使用している主要な販売管理システムや会計システム
(以下、「基幹システム」といいます)を止めないこと - 基幹システムが止まっても速やかに復旧できる体制を整えること
を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
基幹システムを止めないために、バックアップを定期的に取得し遠隔地に保管するなどといった対策を行うことだけが、“事業活動を止めない”ことになるわけではありません。
もし基幹システムだけが復旧したとしても、“人”、“建物”、“機材”、“資金”をそろえ、事業活動を短期間に稼働させ再開させなければ、企業にとって意味がないからです。
2.緊急対応計画と事業継続計画
基幹システムの障害による停止に備え、“人”や“機材”をあらかじめ準備し、復旧を迅速に行うことで障害の影響を最小にするための計画は『緊急対応計画(コンティンジェンシープラン)』と呼ばれます。
“事業活動を止めない計画”すなわち『事業継続計画(Business Continuity Plan)』(以下、「BCP」といいます)は、この『緊急対応計画(コンティンジェンシープラン)』と混同されている場合が多く見受けられます。
BCPとは、大規模災害などの不測の事態が発生し、通常の事業活動が継続できなくなるリスクが顕在化した場合の企業への影響を最小限にするため、速やかに業務を復旧させるためにあらかじめ定められた手続き、計画を指します。BCPとコンティンジェンシープランとの大きな相違点は、BCPが“業務”に着目しており、コンティンジェンシープランは“情報システム”に着目している点です。
BCPでは、会社が存続するために必要な“業務レベル”や“業務の中断から復旧までに必要な時間”についてあらかじめ定めておき、それらを満たすための対策を講じます。主要事業の中断が大規模損失や競争力低下を招き、会社の存続が危うくなるリスクを適切に管理するための一つの手段です。
3.過去の大規模災害における被害と建設業の役割
BCPを策定する上で考えなければならないリスクシナリオの一例として、過去に発生した大規模災害の例を基に考えてみましょう。
2007年以降、マグニチュード5以上の大規模な地震(表1参照)が日本各地で発生しており、住宅にも甚大な被害が出ています。(表2参照)。
表1 2007年以降の大規模地震の例
| 地震名 | 発生時 | 震源の深さ | マグニチュード | 震度 |
|---|---|---|---|---|
| 能登半島地震 | 2007年3月25日 | 11 Km | 6.9 | 5弱 |
| 三重県中部地震 | 2007年4月15日 | 16 Km | 5.4 | 4弱 |
| 新潟県中越沖地震 | 2007年7月16日 | 17 Km | 6.8 | 5強 |
| 岩手・宮城内陸地震 | 2008年6月14日 | 8 Km | 7.2 | 5強 |
| 岩手県沿岸北部地震 | 2008年7月24日 | 108 Km | 6.8 | 5強 |
表2 最近の大規模災害における住宅被害の例
| 全壊 | 半壊 | 一部破損 | 火災 | 床上浸水 | 床下浸水 | |
| 能登半島地震 | 686 | 1,740 | 26,958 | - | - | - |
| 三重県中部地震 | - | 122 | - | - | - | - |
| 新潟県中越沖地震 | 1,331 | 5,704 | 36,565 | 3 | - | - |
| 岩手・宮城内陸地震 | 30 | 143 | 2,380 | 4 | - | - |
| 岩手県沿岸北部地震 | 1 | 0 | 379 | 2 | - | - |
| 2008年7月28日大雨 | 6 | 16 | 61 | - | 536 | 2464 |
| 2008年8月末豪雨 | 5 | 1 | 18 | - | 1,678 | 8,071 |
| 被害総数 | 2,059 | 7,604 | 66,483 | 9 | 2,214 | 10,535 |
出所:「消防庁 災害情報詳報(2009年1月13日)」より抜粋
大規模災害発生時に、建設業においても仮設住宅の建設、被災した建物の復旧、道路の復旧工事といった重要な役割を担うことになるでしょう。自らの会社が被害を受けた場合、人や機材を確保しその役割を果たすことが可能でしょうか。また、それらは何時から提供することが可能でしょうか。
一定の公共性を持つ建設業においては、災害発生時に自らの会社が果たさなければならない役割の明確化と、会社が受ける被害を想定し、速やかに復旧に向けた活動に貢献するための準備をあらかじめしておくことが重要となります。
4.建設業に期待されるBCP
大規模災害だけではなく、経済環境の急激な変化や大流行が予想されている新型インフルエンザ、企業の海外進出など、企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化し、それに伴いリスクも変化し続け、多岐に渡るようになりました。
リスクの顕在化によるサービス停止を最小化するため、リスクの分析及びBCPの策定を行い、同一地域の同業他社や業界団体と連携することで速やかな復旧への道筋をつけなければなりません。
大規模災害の発生で被害を受ける住宅や道路などの公共施設を、速やかに復旧させることも、建設業として果たすべき重要な役割なのです。
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