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【最終回】2009年3月号 中小企業における資金調達 ~銀行の融資判断と事業計画書~

1.中小企業の資金調達環境

昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻を契機として顕在化した世界的な金融危機は、中小企業の資金調達環境を急速に悪化させています。中小企業の主な資金調達先である銀行も、自行の財務状況の悪化から融資姿勢は消極的になっています。この金融環境の悪化を補完するため、政府は信用保証協会による緊急保証制度を設けましたが、保証金額・対象期間等が限定的であり、安定的・継続的な資金調達を要する中小企業の資金調達ニーズを十分にみたすものではありません

そこで今回は、このような金融環境下での資金調達を円滑に行うために、銀行が融資判断をする際、キーポイントとする点は何か、そしてその最大の判断材料となる事業計画書を作成する際の注意点は何かを説明します。

2.融資判断

金融環境が悪化している現在、銀行の融資判断姿勢は当然厳しいものとなっています。しかし銀行としても闇雲に貸し渋りや貸し剥がしを行っているわけではありません。厳格な審査の結果、優良な融資先であると判断されれば融資は受けられるのです。銀行が融資判断をする際のキーポイントは以下の通りです。

(1)安定した財務内容

銀行の最大の関心事は融資資金が確実に回収されるかどうかです。そのため銀行は、融資先の事業内容について、後述する事業計画書、経営者へのインタビュー、実地調査等により徹底的な融資審査を行い、融資判断を行います。
その際、金融機関が重要視する項目の一つは、言うまでもなく財務内容です。毎期安定した収益を確保しているか、借入過多ではないか、実質債務超過に陥ってないか等あらゆる角度から融資判断を行います。

(2)資金使途

銀行に融資の申し入れをした際に必ず確認されるのが、融資資金の使途です。この資金使途を明確に説明することができるか否かが、融資を受けられるかどうかの分かれ道と言っても過言ではありません。
例えば、「資金繰りに窮している。」という説明のみで銀行の理解を得ることは出来ません。銀行は資金繰りに窮した理由が突発的な事態なのか、それともその企業の事業構造自体に問題があるのかの判断がつかないからです。「取引先の○×社の回収期間が長期化したため、必要運転資金が増加した。」というように資金が必要となった理由まで明らかにして初めて、資金使途についての説明をしたことになるのです。

(3)保全状況と返済計画

繰返しになりますが、銀行の最大の関心事は融資資金の確実な回収です。そのため、返済計画の合理性については融資判断において最重要視される事項の一つとなります。後述する、事業計画書の内容とも矛盾しないように、実行可能性の高い返済計画を提示する必要があります。
銀行にとって返済計画を補完するものが担保です。銀行は財務基盤が脆弱な企業であるほど、返済計画が頓挫した場合の備えとして、担保提供を求めます。しかし、最近の傾向として、実行可能性の高い返済計画そのものを担保と考える銀行が増えています。つまり、それほど最近の銀行は返済計画(事業計画)を重視しているのです。

3.事業計画書の作成

上記のように、銀行は融資判断において様々な角度からの検証を行いますが、実際に融資判断をする決裁者は、融資先の事業に関して必ずしも深い知識を有しているわけではありません。従ってその判断材料として、経営者が提示する事業計画書が非常に大きな意味を持つことになるのです。
事業計画書作成の際のポイントは、以下の通りです。

(1)「ありのまま」を書く

事業計画書を作成する上で、最も重要なことは企業の「ありのまま」を書くことです。当たり前のことのようですが、資金調達を焦るあまり場当たり的かつバラ色の事業計画を作成してしまうことはよくあることです。
しかし、銀行は保守的な事業計画書を好みます。また、後日作成した計画書が「絵に描いた餅」であることが露呈し、銀行の信用を失った企業が資金調達できるはずもないのは言うまでもありません。

(2)わかりやすく客観的に

事業計画書作成のもう一つのポイントは、銀行の担当者が、融資について稟議を上げる際、決裁者に説明しやすいものを作成することです。例えば、説明もなしに専門用語を並べ立てるような事業計画書は、一見見栄えは良いのですが、決裁者に不親切な印象を与えてしまいます。
また、事業計画書は客観的である必要があります。この点、経営者だけで作成した場合、長年の経験に基づく経営判断の根拠を資料として表現することに慣れていないため、主観の部分が強くなってしまいがちです。例えば、社内で「事業計画策定プロジェクトチーム」をつくり社員の意見を取り入れることで、事業計画書の客観性は高まりますし、社員のモラルアップにも貢献します。

4.おわりに

最後に忘れてはならないことは、事業計画書を作成することが目的ではないということです。策定した事業計画を定期的にモニタリングし、その実行状況について銀行に報告を行うことで銀行の信頼は更に高まり、次回以降の円滑な資金調達につながるのです。

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