みらいコンサルティングHOME> 企業情報> 書籍・雑誌掲載> その他の雑誌> 中国との関連における外国税額控除
中国との関連における外国税額控除
UFJ CHINA NEWS 2005年10月26日号(第116号)掲載
日本の親会社が中国の現地法人から配当や技術指導料などを受取った場合には、日本の法人税額計算において外国税額控除を行うこととなる。 また、中国においては外国税額控除の計算を行う際にみなし税額控除の適用も受けることができる。 今回は、中国との関連における外国税額控除について簡単に説明する。
I.外国税額控除の概要
日本の法人税法では、日本国内に本店を有する企業(以下内国法人)はその全世界所得(日本国内源泉所得+国外源泉所得(中国))が課税対象とされる。 一方で、国外源泉所得(中国での所得)については、その所得の源泉国(中国)でも課税が行われている。 ここで国際的二重課税防止の観点から国外源泉所得に係る外国税額(中国の企業所得税等)については日本の法人税等から控除できるという外国税額控除の制度(※)が設けられている。
| ※ | 日本では国際的二重課税排除の方法として外国税額控除方式のほか外国税額損金算入方式も選択できるが、 ほとんどのケースで外国税額控除方式が有利になるので、ここでは損金算入方式の説明は割愛する。 |
|---|
外国税額控除の対象となる外国法人税額等
- 法人の所得を課税標準として課される税(中国では企業所得税)
- 収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課される税(利子、配当、使用料等について収入金額を課税標準として源泉徴収される所得税)等
また、外国法人税額等のうち、所得に対する負担が高率な部分(課税所得×50%相当額を超える金額等)の金額は外国法人税額等から除かれる。
なお、中国における営業税は外国税額控除の対象にはならない(損金計上のみ)。 - 外国税額控除適用時期
原則 外国法人税(企業所得税等)納付確定日の属する事業年度
直接外国税額控除
内国法人が中国で直接納付した税額を外国税額として控除することをいう。具体的には次の通りである。
| i. | 日本法人の国外支店が支店の利益につき、外国で課税を受け、その税額を直接その国へ納付する場合 (中国では駐在員事務所に係る企業所得税額が該当するがこれについては後述する) |
|---|---|
| ii. | 中国現地法人からの受取配当、利子、技術指導料等を受領する際に、中国で源泉徴収される場合 |
間接外国税額控除
中国現地法人から日本法人が配当を受けた場合に、その配当の原資である中国現地法人の所得に対して課税された企業所得税額のうち、 日本法人が受ける配当に対応する部分の金額について税額控除を受けることをいう。
なお、間接外国税額控除の適用が認められる中国現地法人の要件は、親会社である日本法人が、
| i. | 中国現地法人の発行済株式総数もしくは出資金額の25%以上を |
|---|---|
| ii. | その配当の支払確定の日以前から6ヶ月以上引き続き所有している |
ことである。
また、間接外国税額控除については、一定の要件のもとで外国孫会社に対しても適用がある。
控除限度額計算(日本親会社が外国税額控除できる金額の限度額)
i.控除限度額計算
内国法人が控除できる外国税額等の限度額は次のイ)とロ)のいずれか少ない額。
- イ)当期に納付することとなった外国法人税額等
- ロ)控除限度額
全世界所得に対する法人税 × 国外所得金額(※)/全世界所得金額 (法人税に占める国外源泉所得の割合)
| ※ | 国法人税が課されない国外源泉所得がある場合 国外所得金額 = 国外所得金額 - 非課税国外源泉所得×2/3 |
|---|---|
| ※ | 全世界所得に占める国外所得の割合は原則として90%が限度 |
ii.控除余裕額および控除限度超過額の繰越
- イ)控除余裕額が生じた場合
3年間繰越し可能。3年内に生じた控除超過額に充当。
例)当期控除対象外国法人税額 70 控除限度額 100
控除余裕額 30(100-70) → 3年以内発生控除超過額に充当可能 - ロ)控除超過額が生じた場合
3年間繰越し可能。3年内に生じた控除余裕額と相殺。
例)当期控除対象外国法人税額 100 控除限度額 70
控除超過額 30(100-70) → 3年以内発生控除余裕額と相殺可能
II.みなし外国税額控除(タックススペアリングクレジット)
日中租税条約において中国で減免された企業所得税について、 通常の税率での課税がなされたものとみなして日本で外国税額控除を行うことを認めている。
下記例で考えると、減免の適用を受け源泉徴収税額が△50(減免適用後税額)であっても、 通常の税額を適用した場合と同額 100が外国税額控除の適用を受けることができる金額となる。
みなし外国税額控除の例:控除限度額は無視
|
なお、中国においてみなし税額控除の適用を受けるのは配当と使用料に係る企業所得税および配当があった場合の間接外国税額控除部分である。 また、みなし外国税額控除の適用を受けることができる期間は現在のところ、配当、使用料については無期限、間接税額控除については、 最初に中国の租税の免除等が行われたときから10年目の課税年度までとなっている。
租税条約におけるみなし税率と実際の適用税率
|
上記みなし税率と適用税率の差額部分がみなし外国税額控除によりメリットを享受できる金額である。 ただし、このみなし外国税額控除の制度も、韓国では2003年12月31日で廃止、マレーシアやベトナムなども廃止予定となっており、 中国においてもいつまでこの制度が認められるかは不透明な部分がある。
III.駐在員事務所と外国税額控除
本来、駐在員事務所は収益活動を行っていない(行うことができない)ため所得がなく、企業所得税の対象となることがないはずではあるが、 実務上は多くの駐在員事務所に対して企業所得税の課税が行われている。
この場合、納付した企業所得税額は直接外国税額控除の対象となると考えられる。 ただし、駐在員事務所に対する課税方式によっては外国税額控除の控除限度額計算になじまないこと等の理由により、 実際には駐在員事務所に係る直接外国税額は外国税額控除の計算に含めることができないのが現状である。
ビジネスニュースレター
税務・労務・法務関連ニュース
株式上場(IPO)の現場から






