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タックスヘイブン税制について

UFJ CHINA NEWS 2005年9月7日号(第110号)掲載

最近、ある日系大手電機メーカーが日本の国税局より400億円近い申告漏れを指摘され、約165億円の追徴を受けるというケースがあった。 香港の関係会社を経由した取引でタックスヘイブン税制の適用の有無が争点であった(現在不服申し立てを行っている)。

中国の企業所得税法には現在タックスヘイブンの規定はなく、また中国自体も日本の法人税法に規定するタックスヘイブンの対象となることがない (今後、中国の企業所得税法改正では税率が下がる方向にあるので、対象になる可能性はある)。 一方、香港は企業の所得に対する税率が低くタックスヘイブンの対象となることがあるために香港に子会社を設立していて中国との取引がある場合には注意が必要である。

今回は、このタックスヘイブン税制について説明する。

1.趣旨

日本の企業(内国法人)が、日本と比して著しく税負担の低い国又は地域に実体のない子会社を設立し、 その子会社との取引を通じて利益をその子会社に移転することにより日本における租税回避行為を行うということを防止するために設けられた制度である。

外国法人で、日本の居住者及び内国法人により直接及び間接に発行済株式(又は出資金額)の50%超を保有されているものについては、 その留保所得を、居住者又は内国法人で当該外国法人の株式(又は出資金額)の5%以上を直接及び間接に保有する者の所得に合算して法人税の課税を行う。

( 算式 )
外国子会社等の一定の留保金額 × 株式等の持株割合(直接及び間接) =課税対象留保金額(内国法人益金算入)

2.内容

1.適用対象

適用対象となる外国法人及び適用を受ける内国法人は次の通りである。

i.適用対象となる外国法人

外国関係会社のうち、特定外国子会社等に該当する法人。

イ)外国関係会社

発行済株式の総数又は出資金額(外国法人の有する自己株式等を除く)の50%超を直接又は間接に居住者、内国法人等に所有されている外国法人。

ロ)特定外国子会社等

外国関係会社のうち、次に該当するもの。

  • 法人の所得に対する税がない国に本店等を有する外国関係会社
  • 法人の所得に対する税率が所得の25%以下(※)となる外国関係会社
特定外国子会社等の所得金額のうち外国法人税額の占める割合に一定の調整を加えた率

→ 中国の企業所得税率は原則国税30%であり、優遇税率の適用を受けている場合(24%、15%等)においても、 原則である30%との差額分は一定の調整により外国法人税等に加算されることとなる(実質的に優遇税率はないものとみなされる)。

香港においては税率が17.5%のため、タックスヘイブンの適用可能性あり。

ii.適用対象となる内国法人

特定外国子会社等の発行済株式総数(議決権ない株式及び自己株式除く)及び出資金額のうち、 直接又は間接に5%以上所有する居住者あるいは内国法人並びに全体として直接又は間接に5%以上保有する同族株主グループに属する居住者 あるいは内国法人(非居住者役員の株式加算)。

2.外国関係会社の判定時期

外国法人の各事業年度終了のときの現況により判定を行う

3.日本における課税時期

特定外国子会社等の決算日以後2ヶ月を経過する日を含む親会社等の事業年度の所得に合算する。

例)子会社:12月決算、親会社:3月決算の場合

親会社の2005年3月期の所得に合算

4.合算課税の方法(益金算入額の算定)

合算課税額(益金算入額)の算定は次の流れになる。

i.特定外国子会社等の決算上の所得金額

ii.1.に一定の調整(※)を加えて未処分所得金額(※※)を算出

日本の法令に準拠するか、本店所在地国(地域)の法令に準拠するか選択。変更時は所轄税務署長の承認必要。
※※ 前7年以内の繰越欠損金控除後の金額

iii.適用対象留保金額を算出

1.未処分所得金額 - 法人所得税(還付がある場合は加算)- 配当、剰余金分配額

iv.課税対象留保金額

3.適用対象留保金額 × 直接、間接の持株割合

この課税対象留保金額が所得金額に合算する金額(益金算入額)となる。

5.適用除外

下記の要件をすべて満たしている場合には、その満たした事業年度についてはタックスヘイブンの適用を受けず、所得金額の合算は行われない。

i.事業基準

主たる事業が次のものでないこと。

  • 株式(出資含む)、債権の保有
  • 工業所有権、著作権、出版権等の提供
  • 船舶、航空機の貸付

→ 上記事業活動をタックスヘイブン国、地域で行う必然性なし

ii.実体基準

特定外国子会社等の本店所在地国(または地域)に主たる事業に必要な事務所、店舗、工場等を有すること
→ 実体を持って事業活動を行っていること

iii.管理支配基準

特定外国子会社等の本店所在地国において主たる事業の管理、支配及び運営を外国子会社等が自ら行っていること
→ 形式だけでなく実際に自らが管理等を行っていること

iv.非関連者基準及び所在地国基準

  • イ)非関連者基準
    卸売(商社)、銀行、信託、証券、保険、水運、航空運送業の場合
    上記の対象業種のいずれかの事業(主たる事業)を、主として(50%超)非関連者と行っていること
  • ロ)所在地国基準
    上記イ)以外の業種の場合
    主としてその事業活動を特定外国子会社等の本店所在地で行っていること

当初、香港に製造子会社を設立しその後製造拠点を中国に移した場合において、香港を経由した形で取引を行っている場合には、 「当該製造子会社が製造業者と判断された際に、本店所在地で主たる事業を行うことが要件(所在地国基準)とされるが、香港には工場がないのでこの基準を満たさない」 ということでタックスヘイブン税制の適用を受けるリスクが生じる。

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