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2020.05.29
リスクに備える経営

「電子申告義務化」事前準備の進め方

「電子申告義務化」事前準備の進め方…

(写真=画像素材:PIXTA)

平成30年度税制改正により、資本金1億円超の法人等が行う法人税等の申告は、電子申告により提出しなければならないこととされました。令和2年4月1日以後開始事業年度よりスタートする大法人の電子申告義務化に向けて、以下の手順で事前準備を進めましょう。

 

1.義務化対象法人の判定

 電子申告義務化は、事業年度開始の時において資本金の額が1億円を超える法人が対象となります。期中に増減資を行った場合、義務化の判定への影響は翌期からとなります。

 

2.対象となる税務申告と開始時期の把握

 ⑴対象税目
  国 税:法人税及び地方法人税並びに消費税及び地方消費税

  地方税:法人住民税及び法人事業税

 ⑵対象となる税務申告

  確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書

 ⑶開始時期

  令和2年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から適用

 

3.届出書の提出

 電子申告義務化対象法人は、令和2年4月1日以後開始する事業年度開始の日から1ヶ月以内に「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を所轄税務署長に提出する必要があります。

 なお、従来から電子申告を行っている大法人についても、電子申告義務化対象法人となる場合は、この届出書を提出する必要があります。まだ提出されていない場合は、速やかに提出しましょう。

 

4.電子証明書の検討

 電子申告を行うためには、電子証明書による電子署名を付与して送信する必要があります。電子申告において利用可能な電子証明書は限られているため、その電子申告で利用可能な電子証明書を事前に準備しておく必要があります。

 ⑴自社で準備する方法

  法人の方が利用可能な電子証明書には、以下のものがあります。

  ①法人代表者に係る電子証明書(代表者のマイナンバーカード)

  ②商業登記認証局の発行する電子証明書

  ③その他民間認証局等が発行する電子証明書

 ⑵税理士による代理送信

 税理士に申告書作成と電子申告を依頼しており、今後も税理士に代理送信を依頼する場合は、自社において電子証明書を準備する必要はありません。電子申告義務化を契機に税理士に代理送信を依頼する場合、電子申告の代理送信のみ依頼することはできません。従来自社で税務書類を作成しており、今後も自社で作成する場合は、自社による電子申告の実施を検討する必要があります。

 

5.電子申告ソフトの検討

 電子申告によって提出する税務申告書のファイル形式は、原則としてXML形式(財務諸表部分はXBRL形式)となっています。このデータを作成するためには、国税庁が無料で提供する電子申告ソフト「e-Tax」(地方税の場合は、地方税共同機構が無料で提供している「PCdesk」)又は民間ベンダー提供の電子申告ソフトを利用して作成する必要があります。

 

6.電子申告しなかったらどうなる?

 電子申告の義務化は、申告方法をe-Taxに限定するもので、書面による申告書の提出は認められません。このため、電子申告の義務化の対象となる法人が、e-Taxにより法定申告期限までに申告書を提出せず、書面により提出した場合、その申告書は無効なものとして取り扱われることとなり、無申告加算税の対象となりますので、ご注意ください。

 

 電子申告義務化への対応については、まずは税務書類の作成状況・税理士への依頼状況など、自社の現状把握が必要です。電子申告義務化へスムーズに対応できるようにぜひ準備を進めてください。

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