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民法改正で「相続」が変わる重要ポイント

2020年4月1日、改正民法が施行されました。

民法は、事業を行ううえでの基本的な法律ですが、明治29年(1896年)に制定されて以降、ほとんど改正は行われてきませんでした。

しかし、昨今の急激な経済環境の変化に伴い、現在の法律では実情にそぐわない部分が出てきたため、今回大幅に改正されることになりました。

今回は、そのうちの「相続」に関係する部分で特に重要と思われる2点について解説します。

 

1.配偶者居住権の創設

今回の改正により、配偶者に「配偶者居住権」が認められることになりました。「配偶者居住権」とは、配偶者が自宅に居住できる権利のことです。

改正前までは、配偶者が自宅に住むためには、自宅の「所有権」を相続する必要があったのですが、所有権は財産としての評価額が大きいため、配偶者が自宅の所有権を相続すると他の相続人との財産のバランスから現金が相続できず、老後資金に困窮するという状況が多くありました。

今回の改正により、配偶者は「配偶者居住権」を相続すれば自宅に住むことができ、また、配偶者居住権の評価額は所有権より小さいため、十分な老後資金も相続できるようになりました。

これにより、配偶者は安心した老後の生活ができるようになります。この改正は、2020年4月1日以降の相続から適用されます。

 

2.遺言の保管制度の変更

自分で作成した遺言(自筆証書遺言)を、法務局が保管してくれるようになります。

これにより、改正前は、紛失したり悪意ある相続人に破棄される可能性があった自筆証書遺言について、より遺言の執行が確実になるため、遺言の活用がしやすくなります。この改正は、2020年7月10日から適用されます。

なお、2020年4月20日には、先行して法務局サイトに専用ページが開設されました。イラスト付きで見やすさを意識した作りになっている点からも、政府がこの制度を普及させたいという意思が伺えます。

 

上記のほか、既に「遺留分制度の見直し」や「預貯金の払い戻し制度の創設」は先行して施行されています。いずれも、相続に大きく影響する部分ですので、併せてご確認されることをお勧めします。