日系企業が中国でビジネスを行う際の、労務上の主な留意点を全6回の連載にて解説いたします。
【第4回】
中国の労働法④
社会保険
中国の社会保険には下記の6種類(通称「五険一金」)がある。納付比率は地域によって異なり、例えば上海の場合は下記となっている。
・社会保険の種類および料率(上海の場合)
※納付基数とは、
・従業員新規採用の場合:入社後最初の月の給与全額。
・従業員継続雇用の場合:本人前年度月平均給与
(下限:前年度上海市平均給与の60%、上限:前年度上海市平均給与の300%)
・日本人(外国人)加入の要否など
従来より外国人の加入は任意であったが、2011年7月1日施行の「社会保険法」第97条にて「外国人が中国国内で就業する場合、本法の規定を準用して社会保険に加入する」とされた。これにより、現状、北京等の都市では外国人に対し加入を求めているが、上海のように加入を強く求めていない都市もある。
また、2019年5月16日日中社会保障協定第19条に基づく外交上の公文の交換が行われ、同年9月1日から「日中社会保障協定」が発行されることとなった。本協定により、保険料の二重負担の問題は解消される一方で、上述の上海のように、外国人の社会保険加入を強制していない都市への影響に注意する必要がある。