みらいコンサルティンググループ

担当者が知っておくべき!労務ポイント⑥【マレーシア】

日系企業がマレーシアでビジネスを行う際の、労務上の主な留意点を全6回の連載にて解説いたします。

【第6回 最終回】

マレーシアの労働法規制の特徴など

今回は、最後にマレーシアの労働法の特徴と、多くの会社が頭を悩ませる解雇について記載する。

◆雇用法(Employment Act 1955)

雇用法は、原則として、給与が2,000リンギット(約53,000円)以下の労働者が適用対象となる。2,000リンギは、新卒の最低基本給の程度であるため、実務上、多くの労働者は本雇用法の適用をうけないことになる。非対象者の場合、会社が独自に規定する雇用契約や就業規則が優先される。多くの企業は本雇用法をベースに就業規則や雇用契約を作成しているため、結果として雇用法を理解する事は非常に重要といえる。

◆「成文法」と「慣習法」

マレーシアでは、雇用法に明記されている「成文法」と、判例などにより判断する「慣習法」により構成されている。労働裁判の判決は慣習法に則して下されることが多いため、実務上労働問題に対応する際には、慣習法(判例)を確認することが重要となる。

◆解雇について

解雇はその原因によって、(1)普通解雇、(2)懲戒解雇、(3)整理解雇に区分される。

(1)普通解雇: 整理解雇、懲戒解雇以外の解雇をいい、勤務態度が悪いといった一般的な解雇事由による解雇も含まれる。
(2)懲戒解雇:重大な不正行為などが原因となり、会社が従業員に対する懲戒の手段として解雇する場合をさす。紛争になるケースも多いため、不正行為の内部調査による証拠の確保等、会社は事前に十分は対応をしておくことが重要といえる。
(3)整理解雇:会社都合による余剰人員の削減等がこれに該当する。法令上は、比較的会社主導で実行できるように記載されているが実務上は紛争になることがあり、判例などの慣習を参考にして、どのように対応すれば正当な理由に基づく整理解雇とみなされるかをしっかり検討した上で実行することが重要となる。