みらいコンサルティンググループ

留萌市の取り組みからみる「道の駅」の新しい役割と地域創生への可能性

留萌(るもい)市は北海道の北西部(地図でいうと左側)、日本海オロロンラインの中継地点に位置するまちです。近海で獲れるウニ、ホタテなどの水産資源が豊富で、水産加工がまちの産業の基盤となっています。その留萌市に所在する「道の駅るもい」に「ちゃいるも」という施設が昨年オープンしたので立ち寄ってみました。

 

「ちゃいるも」は親子や家族で時間を過ごせるくつろぎの空間と地域特産品等の魅力を発信する新たな交流拠点として設立されました。施設内には、天候に左右されることなく子どもたちが安心して遊べる遊戯場があります。はねる・登る・滑るなど体を動かして遊ぶアクティブゾーン、ブロックなどその場にある材料を自由に使って遊ぶクリエイティブゾーンに分かれており、子どもたちの「体力づくり」と「想像力」を同時に養うことができる空間となっています。また、遊戯場内には遊ぶ子どもたちを見守ることができるスペースが設けられており保護者も安心できる構造です。

 

遊戯施設の他にも、地元の名産品を使ったカフェやアンテナショップで軽食やお買い物をすることができ、観光客が楽しめるだけでなく、家族連れや親子の交流の場となっています。それ以外にも、子育てを応援するという目的で、ちゃいるも内にて留萌市内に住む子育てをする保護者を対象にした「移動式子育て支援センター」を実施しており、子育てに悩む保護者が気軽に相談をすることができます。

 

このように、道の駅るもいには、訪れる人々が楽しむだけでなく、「地域の人々が安心して暮らせるための空間」という役割もあるように思います。

 

「ちゃいるも」のオープン後、わずか数か月で9万人以上の来場者を迎えたそうです。そのうち約7割が市外からの来場者となっているそうですが、留萌市が北海道の主要都市である札幌から2時間、旭川から1.5時間ほどの距離にあり、道の駅も高規格幹線道路「深川・留萌自動車道」のインターチェンジに近接している立地の良さが寄与しているのではないでしょうか。

 

実際に訪れた際にも、お土産や留萌の特産品を使ったグルメを楽しむ観光客、遊戯施設で遊ぶ子どもたち、それを見守りながら、交流を深めている親子連れなど、たくさんの人々でにぎわっていました。その様子から、この空間が地域経済に活気をもたらすだけでなく、地域の人々の交流を促進する拠点としての役割をしっかりと果たしている様子がうかがえました。道の駅は単なる休憩所ではなく、地域創生の重要な基盤として機能する可能性を感じました。

 

今後の道の駅るもいですが、雄大な自然資源だけではなく「稼ぐ観光」という考え方のもと、国内屈指のアウトドアメーカーのモンベル社と提携し、豊かな自然資源の魅力を伝える設備投資の構想案もあがっているようです。地域創生には市だけではなく「共創」の観点も必要だという思想があるのではないかと思います。

参考)留萌市ホームページ モンベルアウトドアヴィレッジるもい構想(素案)について

https://www.e-rumoi.jp/seisaku/page15_00333.html

また、この拠点施設では、アウトドアを通じて再生可能な自然エネルギーの活用、間伐材等の木質バイオマス資源の活用などを通じてエコでよりサステナブルな体験が可能になるとのこと。

カーボンニュートラルや環境保全意識の醸成など地域の資源を大切に守りながら、地域経済の活性化に臨んでいることがわかります。 

 

みなさまも留萌市を訪れる際は、道の駅るもいに寄ってみてはいかがでしょうか。

 

道の駅るもい:https://www.michinoeki-rumoi.info/

 

<執筆者>

北海道地域創生プラットフォーム株式会社(HPR2)

中窪 亜依