みらいコンサルティンググループ

中途採用の面接ではココを観る

このコラムのポイント

1、昨今の中途採用者(特に若手)は、面接スキルが高くなっている

2、採用側は、好意的に応募者を見てしまう傾向があるので冷静に

3、直感を大切に

 

中途採用が非常に難しい時代になっています。長い時間をかけて、ようやく素晴らしいと感じた応募者と巡り合い、是非当社に来てもらいたいとオファーを出し、労働条件も少し上げて入社していただいたのに、「すぐに辞めた」「スキルが足りない」「勤務態度が悪い」などというケースが増えているようです。

このような不幸な事例は、「採用面接をしっかりやっていないからではないか?」と思われがちかもしれません。もちろんそのようなケースもあるのでしょうが、昨今の若手(特に20代30代)においては、面接をしっかりと実施しても(適性検査を行った上でも)相互に不幸な事例が増えているようです。

 

1 中途採用における「失敗していない状況(当たり前の状況)」とは

中途採用が成功した状況というのは、予想を大きく超えて活躍してくれることで、そのようなことが多くあれば問題はありません。しかし、それは一般的には稀だと思いますので、ここではハードルを下げ、中途採用において「失敗していない状況(当たり前の状況)」を定義してみました。

・入社3年経過後に辞めていないこと

・素行不良がないこと

・求めていた職務ができること(あるいはできるようになること)

・社風に溶け込み、既存社員と良好な関係を築けていること

 

このような状況が期待できるかどうかという目線で面接を実施することになります。具体的には、自社において入社3年以内に退職した人材の傾向を分析し、その点をこの人材は乗り越えることができるかどうか?という観点で質問をするのが良いでしょう。

 

2 応募者に「のめり込みすぎない」こと

昨今の応募者は、「採用面接」について、しっかりと勉強してきていると考えてください。「何を話すと喜ばれるのか」「何を話すと落とされるのか」は、採用面接対策のサイトにいくらでも掲載されています。

そして、応募者からの素晴らしい回答が続き、ようやく理想の人に出会ったと、採用面接官はすっかりテンションが上がってしまい、性善説だけで人物評価を行なってしまったりします。そうなると、ちょっとできないことがあったとしても、「きちんと教育すれば大丈夫だろう」と前向きに考え、採用に進んでしまいます。

もちろん、それで良い人に出会えていれば全く問題はありませんが、もし、相当数「こんなはずではなかった」というような結果になっているとしたら、応募者は面接スキルが高く、こちらは乗せられているかもしれない、と考えてみることも必要です。対応策としては、相手の面接スキルが及ばない土俵で確認をすることも一計です。

例えば、雑談を「冷静に」行ってみてはどうでしょうか。最近気になっているニュースを話してもらい、自身の見解を述べてもらう。そして、それにあえて反論したり、深掘りしたりしてみるのもいいでしょう。回答に窮しても、決して助け舟は出さないように、冷静に行うことが大切です。ちなみに、政治や宗教の話は避けたほうが無難です。

 

3 直感を大切に

ファーストインプレッション(第一印象)は大切にすべきです。経営者の多くは、面接は最初の30秒で結果は出ているとおっしゃられる方が多いです。

第一印象時にNGであっても、面接を進めていく中で応募者は挽回していきます。その結果、採用したとしても、第一印象でNGと感じた部分が採用後にあらわれ、問題化することになりかねません。

また、履歴書での誤字脱字、履歴書写真の切り方や貼り方、応募書類が郵送されてきたならば封筒の丁寧さ、受付時の対応、部屋に案内する際の態度、名刺の受け取り方などで、「?」と感じる場所があれば、その感覚は大切にすべきだと思います。

そして、面接は複数人で複数回が理想です。できるだけ多くの人の直感を含めた意見を集約するのが良いです。

 

このようなことを記載すると、いつまでたっても採用できない。それでは事業が成り立たないという会社様もいらっしゃるでしょう。特に人手不足の業界であればなおさらのことです。その場合は、当然リスクとメリットのバランスで決定される話になりますので、リスクをマネジメントしながら採用を進めていくというのが適切な選択になるのでしょう。この部分については、また別の機会でお伝えしたいと思います。

 

いずれにしても、いい方に巡り会うためにはこれまで以上に真剣に採用活動に向き合う時代だと感じています。採用に関してお悩みがあればご相談ください。

 

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