みらい経営者 ONLINE

経営課題の発見・解決に役立つ情報サイト

みらい経営者 ONLINE

  1. リスクに備える経営
  2. コロナ対策:資金繰り予測のポイント

8tipsリスクに備える経営

2020.03.02
リスクに備える経営

コロナ対策:資金繰り予測のポイント

コロナ対策:資金繰り予測のポイント…

新型コロナウイルスの感染拡大により、日本国内の企業活動にも影響がでてきています。
大手企業信用調査会社の(株)東京商工リサーチによる約1万2千社の国内企業を対象にしたアンケート調査によれば、約7割の企業が「影響が出ている・今後出てくる可能性がある」と回答しています。

業種別では、「製造業」「卸売業」「運輸業(観光バス含む)」の割合が高く、海外にサプライチェーンを構築している企業、中国から製品・部品を輸入している企業、訪日観光客に依存している企業において、「現地サプライヤーからの仕入れ困難」「売上の減少」「営業日数の減少」等、事業や業績に影響が出ているようです。

更に今後は、外出自粛、展示会・イベントの中止等により国内需要が縮小する可能性があり、幅広い業種において事業や業績に影響が拡がることが懸念されます。実際に報道されているとおり、2月に経営破綻した愛知県蒲郡市の旅館は、中国人観光客の予約キャンセルが相次ぎ、資金繰りが急速に悪化したことが引金になったと報道されています。

「我が社には影響はない、関係ない」と思い込んでいる場合は注意が必要です。直接の仕入先や販売先に表向きは影響がないように見えても、仕入先や販売先の「先」にある仕入先や販売先が影響を受けることで、間接的に事業や業績に影響を受ける可能性もあるのです。
特に影響を懸念されている経営者におかれましては、不測の事態を先回りして想定し、対応策を準備しておくために、まずは「資金繰りの見通し」について確認してみてはいかがでしょうか。

 

1.資金繰り見通しの確認ポイント

1)「損益予想」を立てる
・「売上予想」、「コスト増加」を想定した「月次損益予想」を策定し、「赤字になる月がないか」「どの程度の赤字額が見込まれるか」を確認します。
・「売上予想」は、作業や調整に時間を掛けずにスピードが最優先ですので、おおよその減少率(例えば、前年比▲10%、▲30%、▲50%の3パターン)を前提に置いた「ワーストシナリオ」をシミュレーションするといいでしょう。

 

2)「資金繰り予想」を立てる
・上記の「月次損益予想」に基づき、「月次資金繰り予想」を策定し、月末資金残高が「赤字になる月がないか」「必要手元資金に対してどれだけ不足資金が見込まれるか」を確認します。
・合わせて、貸借対照表の以下科目の「入金・支払」が、今回の影響により「変更」、「変化」が生じていないかを確認し、足元の資金繰り予想の精度を確認します。

①売上債権:期日どおりに回収できるか、キャンセルや数量変更が発生してないか
②棚卸資産:出荷が遅延してないか、欠品はないか、入荷が遅延していないか
③仕入債務:支払期日が前倒しになっていないか、変更依頼がきていないか
④固定資産:特に取得金額が高い資産の支払期日、金額が正しく反映されているか
⑤有利子負債:資金調達・返済予定にもとづき金額、時期が正しく反映されているか

 

3)資金不足の発生有無を確認し、予め対応策を準備しておく
・上記の「月次資金繰り予想」に基づき、パターンごとに資金不足(月末現金残高が赤字)になる時期と金額を確認します。
・不足資金の補填策を検討します。各パターンのいずれかになる見通しが高まった場合に「すぐに行動が起こせるように準備しておく」ことが重要です。特に金融機関からの資金調達を想定する場合には、会社の財務状況や見通しの共有等、予めコミュニケーションを取っておくことが大切です。

 

2.国による「資金繰り支援策」について

経済産業省では新型コロナウイルスにより影響を受けている中小企業者への各種「資金繰り支援措置」が用意されていますので、自社の状況に応じてご活用下さい。詳細は、その他支援施策を含めて経済産業省ホームページに紹介されていますのでご確認下さい。
以下に、資金繰りに関する一部施策をご紹介します。※
※下記内容は2020年2月28日現在の内容であり、変更される場合があります。

【経済産業省ホームページ】
https://www.meti.go.jp/covid-19/

 

1)セーフティネット保証4号、5号
①セーフティネット保証とは?
経営の安定に支障を生じている中小企業者を、一般保証(最大2.8億円)とは別枠の保証の対象とする資金繰り支援制度
②セーフティネット保証4号の内容
幅広い業種で影響が生じている地域について、一般枠とは別枠(最大2.8億円)で借入債務の100%を保証。(売上高が前年同月比▲20%以上減少等の場合)
③セーフティネット保証5号の内容
特に重大な影響が生じている業種について、一般枠とは別枠(最大2.8億円)で借入債務の80%を保証。(売上高が前年同月比▲5%以上減少等の場合)

【問い合わせ先】最寄りの信用保証協会
http://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/

 

2)セーフティネット貸付の要件緩和
①セーフティネット貸付とは?
社会的、経済的環境の変化などの外的要因により、一時的に売上の減少など業況悪化を来しているが、中期的には、その業績が回復し、かつ発展することが見込まれる中小企業者の経営基盤の強化を支援する融資制度
②新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置
2月14日(金)より、セーフティネット貸付の要件を緩和し、「売上高が5%以上減少」といった数値要件にかかわらず、今後の影響が見込まれる事業者も含めて融資対象に。

【資金の使いみち】
運転資金、設備資金

【融資限度額】
中小事業7.2億円、国民事業4,800万円

【問い合わせ先】
日本政策金融公庫:https://www.jfc.go.jp/
沖縄振興開発金融公庫:https://www.okinawakouko.go.jp/

PREV
新型コロナウイルス対策事例
NEXT
新型コロナウイルス対策の基本的考え方②

ページトップへ