企業の復活ストーリーから学んだ「自律型組織」の本質

中小企業の経営者にとって、「事業承継」「後継者育成」「持続的な成長」は悩みの種です。売上が伸びている間は問題が見えにくいですが、市場の変化に対応できないと、いずれ「もう打つ手がない」と感じる状況に陥ることもあります。
このコラムでは、経営危機を乗り越えた企業の事例をもとに、これからの時代に必要な「自律型組織」の本質について考えてみます。
売上至上主義の落とし穴
ある企業は、売上を追求するあまり市場の変化に対応できず、経営が悪化しました。特に、複数の工場の固定費が重くのしかかり、生産体制の見直しが急務となりました。
改革を進めるなかで、工場長の高圧的な態度が問題となり、工場長との決別を余儀なくされました。その結果、現場は混乱し、社長が工場長を兼任する事態に。しかし、現場の統制はうまくいかず、暗中模索の日々が続きました。
混乱から生まれた「共通目的の自分ごと化」
混乱の中で、従業員たちは自分たちで考え、行動するようになりました。
- 「どうすればこの状況を改善できるのか?」
- 「自分たちに何ができるのか?」
従業員同士のコミュニケーションが活発化し、助け合いやおせっかいが自然と生まれました。「会社をよくしたい」という共通の目的が、従業員一人ひとりの「自分ごと」として意識されるようになったのです。
これが「自律型組織」の第一歩です。経営者だけが未来を語るのではなく、現場の人々が自分たちの手で会社をよくしようとする意識を持つことが重要です。
心理的安全性と改善サイクルの重要性
従業員同士の信頼が深まり、心理的安全性が確保されると、自由に意見を言える環境が生まれました。
- 「この作業は本当に必要?」
- 「もっと効率的な方法はない?」
こうした建設的な議論から改善策が次々と生まれ、生産性が大幅に向上しました。従業員が自ら考え、行動し、改善を積み重ねるサイクルが組織に根付いたのです。
中小企業が今すぐできること
この事例は、経営危機をきっかけに変化した企業の話ですが、どんな企業でも以下の4つを意識することで「自律型組織」を目指せます。
- 共通目的を明確にし、共有する
会社全体、組織全体で「何を目指すのか」をはっきりさせる。 - 心理的安全性の高い場をつくる
従業員が安心して意見を言える環境を整える。 - コミュニケーションの機会を増やす
部門の垣根を超えた交流を促進する。 - 権限委譲と見守る勇気を持つ
従業員に任せ、失敗を恐れず見守る。
「自律型組織」への変革は時間がかかりますが、変化の激しい時代に持続的な成長を実現するためには欠かせません。従業員一人ひとりが「自分ごと」として会社の未来を考え、行動することが鍵となります。
みなさまの会社は今どのような状態でしょうか?このコラムが「自律型組織」への一歩を踏み出すきっかけになれば幸いですし、何かございましたらいつでもみらいコンサルティンググループの担当者にご相談ください。
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