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「城」を守らず「港」を創る~人手不足の時代に、選ばれる組織の「求心力」とは

「城」を守らず「港」を創る~人手不足の時代に、選ばれる組織の「求心力」とは

飲食や物流、小売の現場において、面接や履歴書なしで、空いた時間にすぐ働ける「スポットワーク」という働き方が急速に広がっています。経営者の皆さまとお話ししていても、「急な欠員が出た際に助けられた」「繁忙期の調整に役立つ」といった声を耳にする機会が増えました。
テクノロジーの進化により、スマホ一つで労働力の需給がリアルタイムでマッチングされる。これは人手不足に悩む企業にとって、まさに「干天の慈雨」とも言える現象です。しかし、この便利さを享受する一方で、「組織のあり方」そのものが根本から変わろうとしている点に目を向ける必要があります。

「遠心力」がもたらす組織の空洞化リスク

いつでも組織を離れられる自由、そしてより条件のよい場所へ移動できる環境 。これは、組織に対して外へ向かう強力な「遠心力」が働いている状態といえます。 業務を細かい作業(タスク)に分解し、外部の力に頼ることは、目先の効率化にはつながります。しかし、それがいき過ぎると、社内にノウハウや文化が蓄積されず、組織が「空洞化」してしまうリスクがあるのです。
シリコンバレーの著名な投資家ジョン・ドーアは、お金のためだけに動く人材を「傭兵(ようへい)」、ミッションを信じて困難に立ち向かう人材を「宣教師」と呼びました 。便利さだけに頼り、組織が「傭兵」ばかりになれば、わずかな賃金の差で人が離れてしまう脆さを抱えることになります。

「城」を守るのではなく、「港」のような組織へ

では、これからの経営はどうあるべきでしょうか。私は、従来の「城」のような閉じた組織から、多様な人材が行き交う「港」のような組織への転換が必要だと考えています。「城」は高い壁で囲い込み、終身雇用で内部を守ろうとしますが、変化の激しい現代では動きが鈍くなりがちです。一方、「港」は常に開かれており、スポットワーカーを含めた多様な船(人材)が出入りします。しかし、そこには確固たる「港湾局(コア機能)」が存在し、強い文化とインフラが整っています。

人々を惹きつける「アンカー(碇)」としてのパーパス

この「港」の中心に必要なものこそが、人々を惹きつける「求心力」、すなわち企業の「パーパス(存在意義)」です。
哲学者のハンナ・アーレントは、人間の営みを、生きるための「労働」、形あるものを築く「仕事」、そして人と言葉を交わし関係を築く「活動」に分類しました。AIやスポットワークに「労働」を任せることは決して悪いことではありません。重要なのは、それによって生まれた余白を、社員が人間同士の関わりや創造的な「活動」に充て、企業のパーパスを体現することに注力できるかです。

「人間らしさ」が最高の戦略になる 

「うちは効率だけのドライな組織ではない。人間らしい『絆』や『成長』を約束する」。そうした熱量ある言葉こそが、人が離れやすい時代において、心をつなぎ止める唯一のアンカー(碇)になるはずです 。
私たちみらいコンサルティンググループでは、こうした時代の変化を見据えた組織づくりや、パーパスの言語化をご支援しています 。自社の「求心力」を再確認したい経営者の皆さま、ぜひ一度ご相談ください。

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