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脱・働き方改革:「働く価値観」を再定義する時代?

脱・働き方改革:「働く価値観」を再定義する時代?

近年、「働き方改革」という言葉が社会に浸透し、残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務化など、法整備による労働環境の改善が進められてきました。ただ、これらの取り組みは、「働く時間」や「働く場所」といったどちらかというと形式的な多様化に留まっているのが現実ではないでしょうか。

形式的な多様化の限界と「働く意識」への問い

社会全体で価値観の多様化が進むなか、「働く」という行為に対する考え方や意義、つまり「働く価値観」の多様化は、法整備を含めた公的な議論のなかで置き去りにされているように感じます。

たとえば、ある政治家の「働く意識」に関する発言が物議を醸したように、長時間労働へのさまざまな意見や、「残業規制の緩和」といった議論の浮上は、形式的な多様化の裏側で、働くことの本質的な意義や個人の幸福度が軽視されかねない状況を示唆しているのではないでしょうか。

本来、働き方改革が目指すべきは、単に労働時間を減らすことではなく、個々人が「自分にとって最も価値ある働き方」を実現できるようにすることです。しかし、現行の改革は、多くの企業において「法律を守るための手段」として受け止められがちであり、「働くことの意義」を根本から問い直す動きには繋がっていません。

現代は、人生100年時代、副業・兼業の一般化、AI・テクノロジーの進化などにより、「働く」という行為が、「生活の糧を得る手段」だけでなく、「自己実現の場」や「社会との繋がりを保つ場」といった、より多面的な意味を持つようになっています。にもかかわらず、企業側や社会の意識は、依然として「一律の労働観」に縛られているのではないでしょうか。

企業が「働く価値観」を社会に提示する時代へ

そのようななか、私たちが必要とするのは、「脱・働き方改革」、すなわち形式的な多様化を超えた、働くことの「価値観」の多様化です。この転換の主役は、法や政治ではなく、企業や団体、そして個人であるべきです。

企業は、単に法律や規制に従うだけでなく、「私たちの組織にとって『働く』とは何か」という、きわめて根源的な問いに向き合う必要があります。そして、その答えを具体的なメッセージや制度として社会に提示していくべきです。

たとえば、

  • 「私たちは、社会貢献を通じて自己成長を追求する人々が集う場である」
  • 「私たちは、成果への貢献を最優先し、働く時間や場所は完全に個人の裁量に委ねる」
  • 「私たちは、安定とチームワークを重んじ、長期的なキャリア形成を支援する」

といった、その組織独自の「働く価値観」を明確に打ち出すのです。これは、企業が人材を獲得し、維持するための強力なブランド戦略となります。

 「パーパス」と「人的資本経営」の核となる価値観

この「働く価値観の提示」は、現代のビジネス潮流とも深く結びついています。

近年、企業が「何のために存在するのか」というパーパス(存在意義)を明確にすることが求められています。働くことの価値観は、まさにこのパーパスを、組織で働く個人レベルにまで落とし込む「行動の哲学」となります。パーパスが「企業の羅針盤」なら、働く価値観は「個人の航海図」と言えるでしょう。

また、人的資本経営が重視される今、従業員を「コスト」ではなく「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことが企業の成長に不可欠です。従業員が企業の提示する「働く価値観」に共感し、「ここで働くことは自分にとって意味がある」と感じられれば、エンゲージメント(組織への愛着や貢献意欲)は飛躍的に向上し、結果として企業の競争力強化に繋がります。

企業や団体が、自らのパーパスに根ざした「働く価値観」を明確に社会に対して提示し、それを実現するための制度を設計する。「国や法律が定めた最小限のルール」に従う受動的な姿勢ではなく、多様な価値観を持つ人々が、自分らしく、そして最大限に力を発揮できる社会を創る。

もちろん、そんな社会を実現するためには高いレベルでの「倫理観」も必要ですが、個々の企業が主体的に取り組むことで小さな変化を起こしていくことは、決して非現実的な話ではないように思います。何か気になることがありましたら、ぜひみらいコンサルティンググループにご相談ください。

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