8tipsリスクに備える経営
コロナ対策:税務における資金繰り対策~欠損金の繰戻し還付の適用拡大など
先日、政府・与党は新型コロナウイルスの影響で売上が急減して赤字となった中堅企業について、前期の法人税の還付を受けられる制度(欠損金の繰戻し還付)の適用対象を拡大する方針であるとの報道がありました。
欠損金の繰戻し還付とは、資本金が1億円以下の中小企業について前期に法人税を納税していて当期に欠損金が生じた場合、前期に納税した法人税の一部の還付を受けることができる制度をいいます。
従来は資本金が1億円超の企業は解散等の場合を除いてこの制度の適用はありませんでしたが、4月にまとめられる予定の緊急経済対策において、資本金10億円以下の中堅企業についてもこの制度の適用が受けられるようになる見込みです。
前期に法人税を納税していて当期に赤字となった企業が、欠損金が生じた事業年度の法人税の申告で還付の請求をすると、原則として税務調査が入って還付の請求の内容を確認されます。確認して問題がない場合に法人税が還付されますが、還付の請求をしてから実際に還付されるまでには通常数か月かかるため、資金繰りを検討する場合には注意が必要です。
ところで、欠損金の繰戻し還付により還付されるのは法人税だけで、地方税(法人事業税や法人住民税)については還付されません。ただし、2月以降の3カ月平均売上高が大きく減少した中小企業については固定資産税をゼロか半減させる方針との報道もあり、同じく緊急経済対策に盛り込まれる予定です。
なお、前期に法人税を納税している場合には、原則として当期に法人税や地方税について前期の年税額の1/2の中間納付が必要となりますが、中間期の業績が悪い場合には仮決算により中間納付額を減らすことができるので、併せて検討する必要があります。
欠損金の繰戻し還付は、新型コロナウイルスの影響で売上が激減した飲食店やイベント関連企業、観光関連企業などでは特に資金繰りの面で有効なため、是非適用を検討してみてください。
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