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2019.12.20
引き継げる経営

M&A時の新たな「障害要因」

M&A時の新たな「障害要因」…

(写真=画像素材:PIXTA)

M&Aが特別なものではなくなった昨今、会社売却を試みる企業オーナーが増えていますが、その一方で「会社の売却計画が全く進まない」というご相談も増えています。

会社の売却計画が進まない原因は様々ですが、「自社の価値を高く評価し過ぎているケース」が最も多く、次いで「会社運営の大部分をオーナー社長の資質や能力に依存しているケース」、「株式が広く分散し集約が難しいケース」、「従業員が高齢化しているケース」「会社資産の所有関係が複雑になっているケース」などが続きます。いずれもM&Aの障害としてよく知られたものばかりですが、最近、それらに混じって少し気になる事例が出てきました。

 

『買手企業側の人材不足』が障害となるケース

 

前述の「会社運営の大部分をオーナー社長の資質や能力に依存している」状態とまではいかなくとも、オーナー社長の代わりとなる人材が社内にいないという会社は数多く存在します。そして、そのような会社が売却された際、買手企業よりエース級の人材が投入され、経営・事業の引継ぎが行なわれます。

ところが、最近、「送り込む適切な人材がいないという理由で買手候補先が軒並み降りてしまった。どうしたらよいだろうか?」という相談を立て続けに受けました。いずれも、社長に代わる人材は不在ですが、中間管理職以下の組織は整っている会社です。しかし、買手側の人材不足が理由で話が頓挫したというのです。

 

確かに、買手企業のトップとM&A戦略について話をしていると、「優秀な幹部が足りない」という話題がよく出ますし、M&Aの目的に「幹部候補の確保」を盛り込んでいる方もいらっしゃいます。なかには「息子が成長するまで中継ぎとして社長職を任せられる人物」を被買収企業に求めるトップまでいらっしゃいます。

 

このように、買手となる企業、すなわち、財務的にも優良な成長企業でさえ人材不足に悩まされるようになったことを実感する場面が増えており、その影響がM&Aの現場に出てくるのは当然なのかもしれません。今後のこの傾向が強まることはあっても改善することはないように思います。

 

会社売却を考えている企業オーナーは、どう対応すれば良いのか?

 

自社の売却情報を広く発信するのも一つの手ですが、真因の解決ではありません。

結局は、社内の人材育成を先延ばしせず、まさに今日から取り組むしかないのではないでしょうか。急がば回れ、ということです。

 

「既にチャレンジしたが社内に適任者がいなかった」という経営者の方も多いと思います。

コストアップ覚悟で外部人材を招聘する、中間管理職から経営チームを選抜、集団指導体制の構築など、一度見送った施策もゼロから見直してみてはいかがでしょうか。人材開発や組織作りを専門とするコンサルタント等の助言を受けるのもひとつの考え方です。

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