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2020.06.03
引き継げる経営

「事業承継の本質」は事業の永続

「事業承継の本質」は事業の永続…

(写真=画像素材:PIXTA)

「事業承継」という言葉を聞き、また目にするようになって随分と経ちますが、なかなかその本質は理解されていないように感じます。今でも「税金」の話か、「株式」に関する話か、そう理解されることが多い印象を受けます。

 また、事業承継という言葉は、同族経営の会社(非上場の会社)をどのように引き継ぐのかという視点で語られることも多いと感じます。事実、事業承継の大半は同族経営者の「親族内の承継」か「親族外への承継」かで議論されることが多く、さらに後者は「社内承継」か「社外承継」か「所有と経営の分離(上場)」に分類されることが多いのも、このことを裏付けています。

 

しかし、事業承継の本質は、あくまでも「事業の永続」です。

 

ですから、上場企業においても、事業承継はおこなわれているわけです。定期的な人事異動もそうですし、各種業務標準書、マニュアル、引継書の作成、内部統制やコンプライアンス順守も、利害関係者への説明(開示)も、すべて「事業の永続」のためにおこなわれていることに他なりません。何も同族経営の会社(非上場の会社)に限った話ではないわけです。

またこれらの活動は日々おこなわれています。何も経営陣の代替わりの時だけににおこなわれているわけでも、株式の移動のタイミングにだけ生じるものではありません。事業の永続のために、日々連続して取り組むべき内容こそが事業承継の活動でなければいけないわけです。

 

つまり事業承継の取組は、特別なタイミングだけを切り取って「一定の時点」で考えるものではなく、日々解決すべき事項に対し優先順をつけて「連続して解決する」ものと考えなくてはいけません。

毎日全国各地で事業承継の支援をさせている私たちは、常にその視点に立つことを徹底しています。

 

別の言い方をすると、事業承継の取組は、経営者として「今何が一番重要か」「それは人なのか、情報なのか、資金なのか、資源なのか」「変化に備えていざというときの選択肢を増やすにはどうすればいいか」という意思決定の繰り返し、ということになるのでしょうが、これらを意識するとき、最近特に重要と感じるものが2つあります。

 

重要な2つの視点

 一つは「中長期的視点、思考」に立つことです。事業承継の本質が「事業の永続」である以上、「永続」しなければ意味がありません。では永続するためにはどうすればいいのか、それは誤解を恐れずにいうなら「付加価値を稼ぐ力」に他なりません。それを図る力は事業年度という短期間の成果(=利益)だけでは表現できませんし、「勘定あって銭足らず」という言葉に表現されるように、キャッシュという裏付けのあるものでなくてはなりません。

もっと言えば、営む事業それぞれの一生涯の長さや成長、生涯で生み出すキャッシュの大きさで図る必要があります。

 

もう一つは「永続可能であることを証明し、責任を持ち、基本的に永く使わせていただく」という視点です。最近SDGsが注目されていることとも別次元の話ではなく、社会的責任のなかで永続を証明し責任を持つ必要があるのです。また、短期間的には所有をしていても、ずっと同じものを永遠に所有し占有し続けるということは不可能であり、長い目で見て「使わせていただく」という視点をもつことが重要です。

 

「この重要な2つの視点を意識し、行動を浸透し、責任を持つことが、事業承継の本質である。」これが当たり前になる時代はすぐそこに来ています!

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