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世界のIT市場を牽引するインドの都市「バンガロール」
インドのカルナータカ州にあるバンガロールは、IT都市として発展を遂げています。近年、トヨタ、ソニー、ホンダなどの日本企業に加え、グーグルやマイクロソフト、インテル、サムスン、フェイスブックなど、350社を超える外国企業が拠点を置いています。現在では、中国深センと並び称され、「インドのシリコンバレー」と呼ばれるまでに成長しています。
本稿ではインドのIT発展の理由と、その代表都市「バンガロール」について説明します。
Y2K問題を機にIT国家として発展を遂げたインド
インドは1980年台中盤頃からソフトウェア開発などに注力してきました。中でもインドがIT企業のアウトソーシングとして優秀さを発揮するようになったのが2000年以降です。西暦が2000年になるとコンピュータが誤作動するとされた「Y2K問題」が生じた際、アメリカを中心とした海外の企業はこぞってインドのIT企業に対応を依頼しました。
インドの企業が頼られた理由は、「英語を話せるインド人が多いこと」「賃金が非常に安いこと」などでした。Y2K問題の収束以降も、海外企業は引き続きインドの企業にIT業務をアウトソーシングし続けました。困難な業務であったにも関わらず、問題の解決をきちんと果たしたことなどにより、インドはIT国家として世界に認知されるようになったのです。
インドのIT産業が急速に発展した3つの理由
上記以外にも、インドのIT産業が急速に発展した理由が3つあります。
①地理上の特性
インドとアメリカ西海岸では約12時間の時差があります。このため、アメリカ企業が終業時刻前にインドに業務を発注すると、アメリカでは翌朝の出社時刻には依頼内容が完成しているというわけです。
②数学を中心とした教育の充実
インドは「0(ゼロ)」を発見した国であり、数学への適正が高いと言われています。インドがイギリスから独立した後、インド政府は数学に力を入れて教育を施したため、数学能力の高い人が多いとされています。
③身分制度から逸脱した職業
インドでは独特の文化から厳しい身分制度が残っています。身分によって従事できる職業が異なるほどです。しかしITは新しい産業であり、従来の文化から逸脱したものとしてどのような身分の人であっても従事できるとされています。つまり、低い身分の人であっても安定した職に就ける大きなチャンスでもあるのです。
「インド・シフト」の中心都市バンガロール
現在、インドでIT企業の中心地として発展を遂げているのがバンガロールです。バンガロールはインド南部に位置し、気候は穏やかで過ごしやすく、外国企業で働く人々も快適に過ごせる風土が特徴です。
1947年のインド独立以降、バンガロールは航空産業や軍事・宇宙産業など、国内の主要な研究施設が集中していました。そして1981年にインド大手のソフトウェア企業がバンガロールでIT事業を開始したのに端を発して以降、アメリカを中心とする外資系IT企業を誘致するようになったのです。
初めのうちは賃金の安さが理由でアウトソーシングの一都市としての発展でしたが、「インド・シフト」によって、世界的なIT企業がバンガロールに拠点を置き始めるようになりました。インド・シフトとはインドで国際的なIT戦略や研究開発を行うことを通じて、イノベーションを生み出すことです(武鑓行雄氏著『インド・シフト』より)。
次世代のITトレンドを先取りできる都市
インドは世界第2位の人口を誇る国として、IT産業、とくにICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)分野で著しい進展を見せています。バンガロールはその代表都市で、「中国が世界の工場であれば、インドは世界のITサービスセンターである」という評価もあります。
バンガロールは穏やかな気候で治安が良く、高級ホテルやショッピングモールが並んでいる都市です。日本とは比較にならないほどキャッシュレス化が進んだバンガロールでは、外資系企業の誘致に注力した結果、先述した日米大手企業以外にも、アイビーエム、デル、インテル、レノボなどのICT関連企業が拠点を構えるようになりました。さらにそれに付随して小売業や金融業など、多くのビジネスが関わるようになりつつあります。
世界の先端企業が集うようになったため、バンガロールでビジネスを展開していると、自然と数年先のITトレンドを先取りできるようになると言われています。例えば、日本では仮想通貨の登場に伴って2~3年前から周知されるようになってきたブロックチェーン技術が、バンガロールではそれよりも数年早く、さまざまなプロジェクトに取り入れられていたのです。
新しいIT都市として進出を検討する価値も
インドのIT産業はさらに右肩上がりに成長を続けています。ビジネス展開はもちろんのこと、次世代のIT・ICTを先取りするという意味でも、バンガロールへの進出も選択肢に加え、企業発展の可能性を広げてみてはいかがでしょうか。
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