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2022.09.16
世界を駆ける経営

【深圳レポート】RCEP発効 – 日中間で初めて二国間関税減免を実施 –

【深圳レポート】RCEP発効  - 日中間で初めて二国間関税減免を実施 -…

※本記事は、深圳イノベーションセンター(MICS)会員に限定配信している「MICS NEWS(vol.59)」に掲載されたものです。なお、掲載内容は2022年1月時点の情報です

 

RCEPの正式名称はRegional Comprehensive Economic Partnership(地域的な包括的経済連携)である。内部貿易障壁を取り除くこと、自由な投資環境をつくること、サービス貿易を拡大することを目標とし、また知的財産保護、貿易保護主義などの多くの分野にも関わることになる。

 

対象地域の経済規模は約25.6兆米ドルであり、世界の経済規模の約29.3%を占めている。地域内貿易額は10.4兆米ドルに達し、世界貿易総額の約27.4%を占めている。影響を与える人口は約22.6億人で、世界人口の約30%を占めている。

 

RCEPの構想は、2011年にASEANの10ヵ国(シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、ベトナム)によって最初に提案された。2012年に中国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを含む6ヵ国に参加を呼びかけ、交渉を開始した。8年間で31回の正式な交渉(その間、インドは2019年11月に交渉から撤退することを決定した)により、最終的に2020年11月15日に署名された。2022年1月1日に正式に発効し、世界最大の自由貿易圏が実質的な運営段階に入り、アジア太平洋地域の経済統合に新たな推進力を注入することを示している。

 

RCEPは、前書き、全20章、4つの付属書(関税承諾表、サービス詳細承諾表、投資保持と不適合措置承諾表、自然人一時的移動詳細承諾表を含む)で構成されている。そのなかで最も注目を集めているのは関税減免である。RCEPが発効した後、地域内の貨物貿易の90%以上が最終的にゼロ関税を実現することになる。協定が発効した直後のゼロ税率もあれば、10年以内の段階的な減税によって最終的にゼロにするのもある。

 

関税減免承諾

貨物貿易に関して、RCEPの各締約国が使用する関税承諾表は2種類に分けられる。

1つは「統一減免」であり、ほかの締約国の同じ製品に同じ減税措置を適用することである。オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマーの8つの加盟国はこのモデルを採用している。

もう1つは「国別減免」であり、他の締約国の同じ製品に異なる減税措置を適用することである。中国、韓国、日本、インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイの7つの加盟国はこのモデルを採用している。

減税モデル

RCEP減税モデルには、主に4種類がある。協定が発効した直後のゼロ税率、移行期間中のゼロ税率、部分減税、および例外製品である。移行期間は主に10年、15年、20年などである。

 

日中関税減免承諾

RCEPの15加盟国のうち、これまで中国と自由貿易協定を締結したことがないのは日本だけであるため、今回は日中および日韓の間がRCEPを通じて自由貿易協定(FTA)を締結したことに相当する。

 

RCEPによって、日中が初めて二国間自由貿易関係を確立することは、歴史的な意義を持つ出来事である。中国と日本で、即時ゼロ関税率になるのはそれぞれ25%と57%で、最終的に中国に輸出される日本の製品の86%がゼロ関税を実現することになる。同時に、中国から日本に輸出される製品の88%はゼロ関税の扱いを受け、RCEPの発効後、日中貿易の自由度は大幅に改善されると期待される。

 

日本の対中国への輸出製品のなかで、半導体や自動車関連製品が注目を受けている。RCEPによると、中国に輸出される自動車部品の87%が関税撤廃の対象となっている。間違いなく日本の自動車部品メーカーにとって大きなチャンスである。

 

また、成長し続けている日本の電気自動車産業も恩恵を受けることになる。中国向けの一部の純電気自動車モーターの関税率は交渉時12%だったが、16年目または21年目までに段階的に関税が撤廃される。純電気自動車に使用される一部のリチウムイオン電池は、16年目までに段階的に6%の関税が撤廃される。

 

日本から中国に輸出される家電製品のなかで、一部の洗濯機と電子レンジは、11年目から10%と15%の関税が撤廃される。

 

農林水産物について、中国はこれまで日本から輸入された袋詰め米および米菓に10%、日本酒に40%の関税を課していたが、21年目にはこれらの関税がすべて撤廃される。

 

2020年には、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、貿易保護主義と一国主義が世界中に蔓延し、世界の貿易環境は非常に厳しいものになっているが、日中貿易はこの情勢とは逆に成長を遂げていた。

 

中国税関の統計によると、2020年の日中貨物貿易総額は3175.3億米ドルで、前年比0.8%増となり、中国の対外貿易総額の6.8%を占めた。そのなかで、中国の日本への輸出額は、1426.6億米ドルで、前年同期比0.4%減となった。中国の日本からの輸入額は、1748.7億米ドルで、前年同期比1.8%増となった。

 

ASEAN、欧州連合、米国に次ぐ日本は、中国で4番目に大きな貿易パートナー、2番目に大きな輸出対象国、および最大の輸入相手国である。中国は輸出市場、輸入市場ともに日本最大の貿易パートナー国である。

 

2021年には新型コロナウイルス感染症の影響が縮小し、日中両国の経済が回復するにつれ、日中貿易は更に拡大した。中国税関の統計によると、2021年1月から9月までの日中貿易額は2750.6億米ドルに達し、前年同期比20.2%増となった。そのなか、中国対日本輸出額は、1216.6億米ドルで、前年同期比17.7%増となった。中国の日本からの輸入額は1534.0億米ドルで、前年同期比22.2%増となった。

 

データからも見られるように、日中間の貿易はそもそも規模が大きく、かつここ数年は安定した成長傾向を示しており、さらにRCEPの恩恵を受けることにより、日中間の貿易は更なる飛躍を迎えることになる。

 

このほか、協定のもう1つの大きな目玉は、地域累積原産地規則である。この規則は、加盟国企業の生産プロセスで使用される他の加盟国の原産材料を現地の原産材料として認められることを明確にした。これは商品の原産地価値割合が15ヵ国で構成される地域内に累積できることを意味する。累積が規定の40%の比率に達すると、RCEP地域原産のものとして認められ、加盟国間の輸出製品が特恵関税を受ける基準を満たしやすくなる。

 

地域累積原産地規則により地域内企業の協力チェーン関係が円滑になり、関税減免により企業のコストが軽減される。また、RCEPはより最適化されたビジネス環境をもたらすため、地域での商品の流通時間はさらに短縮されることが期待される。

 

今後、日中経済協力の新しい道のりは、より高いレベルでの産業チェーンとサプライチェーンにおける関係をどのように促進するかにある。

 

RCEPの発効・実施により、日本と中国の両国が本国の経済発展および地域内で真の供給統合が実現できることを願う。

 

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