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2021.09.17
世界を駆ける経営

中国・上海で、高齢者でも手軽にタクシーを

中国・上海で、高齢者でも手軽にタクシーを…

現在、多くの高齢者が「タクシー予約アプリの操作がわからない」、「オンラインで決済できない」、「手を振ってもタクシーが止まらない」などの理由で、特に外出先でタクシーを拾うのが非常に難しいと嘆いています。

このような状況に対して、上海市統一タクシープラットフォーム「申城出行」は「ワンタッチでタクシーを呼ぶ」機能を導入し、この問題を解決しようという試みがスタートしています。

 

「申城出行」は上海市政府が主導、上汽グループが構築し、上海市内タクシー会社を統合するタクシー予約サービスプラットフォームです。 オンラインとオフラインを通じて、上海市内にある200以上のタクシー乗り場の「ワンタッチタクシー呼び出し」機能と合わせて、秩序あるタクシー予約に導き、タクシー乗車の安全性と利便性を高めています。

 

このプラットフォームには3つの特徴があります。

1つ目はタクシー乗り場における「ワンタッチ呼び出し」です。乗客はタクシーを呼びたいとき、最寄りのタクシー乗り場に行き、乗り場にある情報スクリーン内の「呼び出しボタン」で素早くタクシーを呼ぶことができます。呼び出しボタンが押されると、瞬時に周囲のタクシー連絡が入る仕組みです。

2つ目は目的地を入力する必要がないことです。これまでのように、最初に目的地を入力する必要がないため、操作がよりシンプルかつスピーディーになり、スマートフォンの操作が苦手な乗客も簡単にタクシーを呼ぶことができます。もちろん、アプリを開けば、携帯電話のGPS機能でタクシー運転手に現在地が通知されます。

3つ目は、安全なタクシーサービスを提供するためのサポートとして、ドライバーがより運転サービスに集中できるよう、アプリでトイレ、食事、充電などドライバー特有の悩みを解決します。

 

さらに、政府はタクシー乗り場や「申城出行」プラットフォームの試行などの取り組みを通じて、上海市民とタクシー会社を最適化する新しいモデルにしたいと考えています。最近では、4つの三級総合病院と提携し、院内に「ワンタッチで車を呼ぶスクリーン」が設置され、高齢者が診察を終えてから帰宅するときの利便性を高めています。

デジタル時代、人の日常生活は飛躍的に便利になりましたが、高齢者はその全てを享受できているわけではありません。モバイル決済の方法を知らないどころか、インターネットへのアクセスもできない高齢者が多いのも現実です。

 

2020年11月24日、国務院総局から「高齢者のスマートテクノロジー利用困難に対処する計画に関する通知」が公表されました。「申城出行」は高齢者の移動問題を解決するための試みであり、政府の心温まる動きといえます。うまくいけば、全国的に展開されていき、さらに、より多くの業界が高齢者の在宅生活を支援するための施策を導入していくでしょう。高齢者を尊重しながらスマート社会への適応を促進することで、社会全体のDXが加速されることになるのだと思います。

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