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2019.10.11
最大効率の経営

事業が厳しいときは「雇用調整助成金」で社員とともに再起を図ろう【20.4.8更新】

事業が厳しいときは「雇用調整助成金」で社員とともに再起を図ろう【20.4.8更新】…

(写真=画像素材:PIXTA)

企業の業績には波があります。どのような事業であっても、長い目で見て右肩上がり一辺倒などという分野は存在しません。そして、時には不況のあおりや思わぬアクシデントによって事業の存続が危ぶまれることもあるかもしれません。そのような際に役に立つのが厚生労働省による「雇用調整助成金」です。

本稿では、従業員を一時的に休業させた場合、賃金の一部を助成する雇用調整助成金について解説します。

 

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金は厚生労働省による雇用を守るための助成金制度です。たとえば、産業構造の変化など経済上の理由によって事業を縮小せざるを得ない状況に企業が陥った場合、従業員を解雇することなく、休業させることによって賃金の一部を補助する役割を担っています。この制度は、過去には東日本大震災など事業活動が壊滅的な状況に陥った際、おおいに活躍しました。

具体的には、事業所や設備の損壊、風評被害、交通手段の途絶など、あらゆる場面で事業が縮小した多くの企業を救済した実績があります。

中小企業と大企業の区分

上述のような制度として、元来、雇用調整助成金は活用されてきましたが、実際の助成金の額については、中小企業と大企業によって助成率などに違いがあるため、その点については留意が必要です。

なお、厚生労働省による中小企業の定義は、下記のようになっています。

製造業・その他の業種:従業員300人以下または資本金3億円以下
卸売業:従業員100人以下または資本金1億円以下
小売業:従業員50人以下または資本金5,000万円以下
サービス業:従業員100人以下または資本金5,000万円以下

上記以外の企業は大企業に分類されます。

支給要件と支給額

雇用調整助成金の主な受給要件は以下のようになっています。

①雇用保険に加入していること
②半年以上、雇用保険の被保険者として継続雇用を受けていること
③売上や生産量などが1年前と比較して1割以上落ちていること
④雇用保険被保険者の人数が1年前よりも一定数以上増加していないこと

この上記4点の上で、従業員を解雇せず、休業・教育訓練・出向を行う場合、助成金が支給されます。この中で特筆すべきは出向です。これは、たとえば売上が落ちた大企業がグループ会社に出向させるなど、解雇以外の手段を用いることを奨励し、助成金を支給するという面があるためです。また、雇用調整助成金の支給額は以下となっています。

申請について

雇用調整助成金を申し込むには、最初に計画を立てることが必要です。具体的には、「どれくらいの間、何人を休業させるのか」「どのように選ぶのか」などについて考える必要が出てきます。また、教育訓練の場合は従業員に受講についてのレポートを作成させることも重要です。これらをクリアし計画書をハローワークに提出することで、制度を申請することができるようになります。

雇用調整助成金の留意点

一見すると企業の大きな助けとなる雇用調整助成金ですが、留意点もあります。従業員を休業させる場合、企業は労基法で定める平均賃金の60%以上の「休業手当」を支払う必要が出てきます。一方で本制度の助成金はあくまでも企業に支給されるものであり、従業員そのものへの直接的な休業手当の補助にはならないためです。

また、休業手当をもらっている間は当然従業員の生活は苦しくなり、かつ労働せずに手当を受けるため、当然労働意欲も大幅に低下してしまいます。これらは、法律的な面というよりも人間としての自然な生理現象でもありますが、この留意点を考慮に入れておかないと休業期間を終えた従業員が再び就業した際、経営陣に反発したり、やる気を失ったりするおそれも出てきかねないのです。

社員一人ひとりの人生を大切に

事業が苦しくなった際、従業員を解雇することは決して難しいことではありません。それにも関わらず、従業員一人ひとりの生活にまで配慮をすることはすばらしいことでもあります。万一事業が悪化した際には、本制度の活用も考慮に入れてみてはいかがでしょうか。

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