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8tips最大効率の経営

2020.05.08
最大効率の経営

本当にすごい営業マンは「売らない」?

本当にすごい営業マンは「売らない」?…

(写真=画像素材:PIXTA)

世間では「強引な営業」「過酷なノルマ」といったことが騒がれたりしていますが、ある意味、企業として存続していくために「営利」を求める以上は、どの企業でも多かれ少なかれ「営業目標」(表現の仕方はいろいろあるとしても)が存在し、それを「追いかけさせる」ことで実績をあげてきた営業マネージャーもいらっしゃるのではないでしょうか。

 

以前、コンサルタントの仕事をする前に、私は旅行会社で企業インセンティブツアーをアレンジする仕事をしていたことがあります。「インセンティブ」ですから営業成績の高いハイパフォーマーばかりが参加されるのですが、あるバリバリの営業会社の褒賞ツアーをさせていただいていたときに、ふと「この中で最高成績の方ってどんな方だろう」ということが気になり、それとなく探してみたことがあります。驚いたことに、そのAさんはいわゆる「できる」タイプと程遠く、とても控えめで奥手の方でした。でもその方は、実は毎年トップの成績をおさめている方でした。

 

また、ある金融機関でも、投資信託等金融商品の販売で、全国トップの成績をとった女性行員Bさんは、「全く外出しない」「電話営業も好きではない」と話ししていました。
さらに、別の金融機関で支店長をされていたCさんは、「自分で売り込みはしない」ことで複数年にわたって高成績をあげてきた、とおっしゃられていました。

 

では、これらの方の「共通項」は何でしょうか。少し掘り下げてみましょう。
Aさんは、ご本人ではなく周囲の方のお話なのですが、自身のお客様の話をとてもよく聞かれていて、どちらかというと「話し相手になっているだけ」なのですが、その姿勢がうけてお客様が新しいお客様を次々に紹介してくださっているそうです。そうやって、何年も連続してトップの成績を生み出していました。
Bさんは、ご本人曰く、「お客様がどんどん他行のお金を持って金融商品を買いに来てくださるのはありがたいのですが、『この商品は全体の資産ポートフォリオには合わないからダメ』と言っているのに。」と若干困惑していました。

 

勘のいい方はおわかりかと思いますが、AさんもBさんも「お客様の本当のニーズを満たしていた」のではないでしょうか。Aさんのお客様は「とにかく話し相手がほしい」(詳しくは申し上げられませんが、その会社のビジネスモデルを考えると納得感があります)、Bさんのお客様は「自分の立場になったアドバイスがほしい」というニーズです。

 

「そんなに営業は甘くない」「誰にでもできることではない」「綺麗事」といったご批判の声が聞こえてきそうですが、本当に相手の立場に立つ、もっというと、相手になりきることが、「売らない営業」の極意であることが浮かび上がります。

 

支店長のCさんはこう話されていました。
「最初の半年は、支店の成績が下がって大変でした。でも、そのうち、お客様の方からどんどん相談をしていただけるようになりました。信用していただけたんですね。結果、支店の成績もあがりましたし。もうそこからは転勤してしまいましたが、数年経った今でもそのときのお客様からご連絡をいただけて嬉しい限りです。」

 

確かに、誰もが急にこのようにはなれないかもしれません。ただ、「営業のありたい姿」を定め、それに向かって努力するのと、ただ単に目先の数値目標だけを追い求めるのでは、きっと将来が変わるのだと思います。

 

(執筆:下阪安勝 みらいコンサルティング株式会社 上席執行役員)

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