みらい経営者 ONLINE

経営課題の発見・解決に役立つ情報サイト

みらい経営者 ONLINE

  1. 社会貢献活動がブランド力向上の鍵 ~藤久株式会社の取り組みから学ぶ持続的な価値創造~

Regional Transformation地域創生

2023.06.14

社会貢献活動がブランド力向上の鍵 ~藤久株式会社の取り組みから学ぶ持続的な価値創造~

コロナ禍や地球の環境変化のなかで、企業の成功には商品やサービスの価値だけでなく、ESGやSDGsといった取り組みが重要です。ただ、企業の実際の取り組みについてはあまり知られていません。

今回、愛知県名古屋市に本社を構える藤久株式会社を訪問し、地域とどのようなつながりを築いてきたのか、その取り組みがどのような価値を生み出しているのかについてインタビューさせていただきました。

 

手づくりの喜びと社会貢献活動の結びつき

藤久株式会社は、『「手づくり」を通して豊かな心を育み、幸せを紡ぐ企業グループへ』を理念とし、手づくりの喜びと幸せを広げる取り組みをおこなう、創業60年を超える歴史ある企業であり、手芸専門店チェーン「クラフトハートトーカイ」を主力とし、全国に350以上の店舗があります。

この企業は、地域に根ざした事業展開を続けるなかで、20年以上にわたって社会貢献活動に取り組んでいます。

具体的には、役目を終えた商品や見本品を全国の店舗から集め、『社会福祉法人さふらん会』と協力し、愛知県内の社会福祉施設などに無償で提供しています。

 

廃棄品の再利用で障がいのある方と社会のつながりを創出

私たちは「社会福祉法人さふらん会 さふらん生活園」の施設長である水上さんから廃棄品の活用についてお話を伺い、実際の活用方法を視察する機会を得ました。

さふらん会は、『障がいの有無に関係なく共存できる世界へ』を目指し、障害のある方の好きなこと、関心があること、こだわりを含めたモノづくりやアート活動を通して、社会とつながる場づくりを支援されています。

利用者やスタッフの方々にはモノづくりが好きな方が多く、優れた技術をお持ちで、端材やビーズなどを使って、アート作品や新たな商品を積極的につくっています。

また、端材を使ってつくられた商品は、地域の方々との貴重な交流の場であるバザーなどで販売され、その売り上げは施設の運営資金として活用されています。

毛糸やビーズ、絵の具などの廃棄品は、色や素材ごとに丁寧に整理され、とてもきれいに保管され、作業場から手仕事への愛情をたっぷりと感じました。

また、施設として生み出す商品のブランディングに積極的に取り組んでおり、手間暇をかけたモノづくりがマーケットで高い評価を得て、販売価格が数百円から数万円へ価値が高まっているものもあるそうです。

そのような熱意と技術力を持った利用者やスタッフたちの手によって生み出された商品は、ひとつひとつがユニークで、世界にひとつだけの価値あるものばかりでした。

 

持続可能な社会への貢献と私たちの役割

現代は、モノがあふれ、なんでも簡単に手に入れることができます。企業がどれほど優れた商品やサービスを開発しても、それだけで高い企業価値を維持し続けるのが難しい時代です。マスク不足が問題となったとき、手作りされる方が多くいたように、必要なものを自分でつくったり、愛着が持てるモノ選びをするようになり、消費者が求めるのは「モノからコト」「物質から意識(体験)」へと変わってきています。

 

これは、持続可能な世界に向けたSDGsの取り組みにもつながり、SDGsのなかで『つかう責任つくる責任』『すべての人に健康と福祉を』という目標がありますが、この藤久株式会社とさふらん会の取り組みは、まさにこの目標に向けたものです。

今後、企業は事業活動だけにとどまらず、地域とともに成長する企業づくりの姿勢を示すことが、企業価値向上に大きく貢献すると期待できます。

 

インタビューを終えて

今回のインタビューを通して、藤久株式会社の『廃棄品』は新たな『価値』あるものとして有効活用されていることを知るとともに、手づくりのあたたかさや優しさを感じました。

藤久株式会社と福祉施設は「手づくり」の喜びや楽しさを提供する点で親和性が高く、全国にある藤久株式会社の販売店と各地の福祉施設が直接つながる関係が実現できたら、さらに大きな価値を生み出すことができ、またそれを広く発信することはブランド力の向上にもつながると感じました。

私たちトモニツクル東海は、この取り組みを知り、お話を伺ったことで、その価値と意義に感銘を受け、広く皆さんに知っていただきたいと思いました。地域社会の発展と福祉向上に向けて、このような社会貢献活動を継続しておこなうことは、私たち一人ひとりの参加が不可欠です。一緒に手を取り合い、よりよい社会を築いていくために、私たちもできることを考えていきましょう。

<執筆者>
株式会社トモニツクル東海
尾崎こころ

 

▼【動画】藤久株式会社の社会貢献活動

 

お問い合わせはこちら

株式会社トモニツクル東海

株式会社トモニツクル東海

【株式会社トモニツクル東海の取り組み】
・東海エリアの魅力ある人や企業に「価値共創の機会」を提供し、新たな事業創出を支援することで、地域の持続的成長と活力あふれる社会の実現に貢献する。
・共創事業について地域企業に広く啓蒙することで、地域企業の課題解決力の向上をめざす。
・地域企業の経営者や働く人々の活躍に資する知識や情報、技術を提供する仕組みをつくる。
・企業と人をつなぐことで、地域企業の成長に貢献する。
・地域経済の成長、発展の基盤をつくり、人を呼び込み、新しい事業が生み出される好循環をつくりあげる。

PREV
札幌の「これから」を創るビジネスがここから生まれ…
NEXT
北海道の夏 YOSAKOIソーラン祭り

ページトップへ