Regional Transformation地域創生
2023.09.25
地域における保護猫活動とペットとの暮らし
最近、北海道、道南地域にあるせたな町を拠点に保護猫の活動をおこなっているボランティア団体『ソラネコせたな』から貴重なお話を聞く機会がありました。彼らの活動をうかがう中で、保護猫活動の実情やペットがもたらす影響について、新たな気づきを得ることができました。
ソラネコせたなは、「猫と人が共に幸せでいられる地域を目指す」というパーパスをかかげ、活動されています。彼らは屋外で捨てられた子猫の保護やTNR活動※をしながら、積極的に猫の適正飼育に関する情報発信をおこなっています。
※TNR活動…Trap・Neuter・Return(トラップ・ニューター・リターン)を略した言葉で、捕獲器などで野良猫を捕獲(Trap)し、不妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return)活動。
この活動のきっかけは、代表のご家族が仕事場でやせ細った子猫5匹を保護したことでした。その後、子猫たちは適切な治療を受け、インターネットで譲渡先を募集し、全ての子猫に新しい家族が見つかりました。この経験から、猫の保護活動を本格化し、現在では年間約100頭の猫を保護し、50~80頭の猫を新しい家族に繋げています。
ただ、道南地域においては、札幌市での活動と比べて譲渡先が見つかりづらい状況に直面しています。私自身は札幌市で開催された譲渡会で2匹の子猫を迎え入れましたが、道南地域では譲渡会を実施しても、トライアルや譲渡が決まらないケースもあるそうです。
一般社団法人ペットフード協会の調査によれば、犬や猫を飼育することで得られる効果の第1位は、心穏やかに過ごせる日が増えることです。現代社会ではストレスがつきものですが、ペットとのふれあいは私たちにとってより一層重要な存在となっています。地方部や都市部に関わらず、ペットとの共存を模索することは、ウェルビーイングに満ちた社会の実現を目指すうえで重要なテーマなのではないでしょうか。
また、興味深いデータとして2022年のネコノミクス(ネコの経済効果)は約1兆9,690億円というレポートも発表されています(関西大学プレスリリースより)。ペットの関連グッズ市場は拡大し、国内の経済活動においてもその存在は拡大の一途をたどっています。コロナ禍前と比較し、無添加ペットフードやペットの健康管理グッズの広告を目にする機会も増えたと感じます。
私はこの体験を通じて、地域社会に貢献する活動やペットとの共存について真剣に考える機会を得ることができました。ペットと人が共に幸せに暮らせる社会の実現に向けて、いち企業として何ができるのか、模索を続けていきたいと思います。
ソラネコせたな Facebook
<執筆者>
北海道地域創生プラットフォーム株式会社(HPR2)
山下雅子