Regional Transformation地域創生
2023.12.05
【当麻町長インタビュー】強い信念を持ち、自ら率先して行動する
みらいコンサルティンググループは、2023年12月、北海道の2拠点目となる旭川サテライトオフィスを開設いたしました。そこで今回は、地域創生の「リアル」と「今」を知るべく、旭川市の隣町である当麻町(とうまちょう)の村椿哲朗町長にお話を伺いました。
▲中央 村椿町長 まちづくりの推進目標「食育 木育 花育からつながる心育」の書とともに
1.当麻町について
当麻町は、北海道のほぼ中央に位置する町です。大雪山連峰を望み、豊かな森林と大地に恵まれています。基幹産業は農林業。米どころでもあります。真っ黒なブランドスイカ「でんすけすいか」の生産地としても有名です。
▲当麻町のシンボル 2頭の龍
当麻町にある北海道天然記念物である当麻鐘乳洞の形が、2頭の龍が寄り添うように横たわって見えたことから、蝦夷蟠竜洞[えぞばんりゅうどう]とも呼ばれている
2.人口自然減を鈍化させ、社会増を実現した当麻町の取り組み
多くの市町村と同様に、当麻町でも高齢化が進んでいます。しかし、当麻町は、人口の自然減を鈍化させ、社会増を実現したことで、いま全国から注目を集めています。その背景には、町が10年以上前から取り組み続けてきた施策の数々があります。
① 林業の復権と移住促進
当麻町でかつて盛んだった林業を復興させるべく、以下のような取り組みを行ってきたそうです。
・町の公営住宅や公共施設に当麻町の木材を使用
・木育の拠点施設「くるみなの木遊館」の開設
・住宅を新築する場合に町産材を使用すると250万円を限度に補助(当麻町産材活用促進事業)
これらを可能にしているのが、当麻町森林組合による木材の管理、施業、製材までを担える体制です。この体制により、木材の地産地消と森林整備、山林の活性化を実現しています。
また、当麻町産材活用促進事業を使って建てられた戸建ては、2013年の制度制定以降、2023年3月31日時点で151件にも達し、町外・道外からファミリー層が多く移住しているそうです。子育て支援も、高校生までの医療費全額助成など、充実しています。
② 起業のチャレンジを後押し
起業する人をサポートする制度もあります。店舗新築費の半分(上限300万円)などを補助する制度「当麻町商工業振興補助事業」。この制度を活用して新築した当麻町にあるアパレルショップ「MOONLOID(ムーンロイド)」では、アウトドア用品メーカーの「ナンガ(NANGA)」と共同開発したダウンジャケット「ナンガホワイトレーベル」を開発販売しており、全国区の人気を集めています。起業支援は、今後もより柔軟に使いやすい制度にブラッシュアップしていくそうで、小売、宿泊、飲食、生活関連サービス業などの店舗型の事業を始めたい方におすすめです。手続きなどを簡素化し、利用のハードルを低くしているそうです。
3.今後の取り組み ~町の資源を活用し、循環させる仕組みへ~
さらに直近では、台湾の製薬会社など3社でつくる合弁会社を立ち上げ、町内でエゾシカの角を使った機能性食品の原料製造を始めると発表したばかり。その他にも、空き家・中古住宅の流動化や、これまでの当麻町の先進的な取り組みを「当麻モデル」として外部に展開していくなど、今後も地域の資源を活用し、循環させる仕組みを進めていきたいということでした。
4.インタビューを終えて
村椿町長は、菊川健一前町長の意志を引き継ぎ、役場職員から町長になられたご経歴とのこと。職員時代から「当麻町を次世代に残したい」という熱い想いと信念から、行動をしてきたそうです。町のブランディングとマーケティングを戦略的に考え、さらに、自らも営業やポスティングを行ってきたというお話には、驚きました。また、大事にしてこられたのは、民間の事業者、町民、町外の人々など、さまざまな人に積極的に会って意見交換し、ネットワークを広げることと「発信」とのこと。官民連携を推進し、行政職員の意識改革にも取り組まれてきたそうです。村椿町長の使命感と行動力には、圧倒的なパワーを感じ、すっかり当麻町のファンになりました。
お話を伺い、私たちも、道北地区に根付いた中小企業のパートナーとして、地域の魅力や資源を次世代に残していきたいと、決意を新たにしました。
村椿町長、当麻町の皆さん、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
▲「道の駅とうま」で購入した特産品 トマトジュース と でんすけすいかサイダー
<執筆者>
北海道地域創生プラットフォーム株式会社(HPR2)
武田 真希子