Regional Transformation地域創生
2023.12.11
事業性と社会性の両立、「ソーシャルキャピタル」への挑戦!
温かな支援の手と強い絆を創出するシングルマザー支援の 認定NPO法人LivEQuality HUB(リブクオリティ ハブ)をご紹介します。
内閣府の調査によると、DV相談は2002年以降増加し、現在は12万件強で高止まり、その相談の多くは女性が占めています。
夫からのモラハラやDVなど、婚姻関係を続けることに困難を感じた女性がこのままでいいのか?そう思ったときに直面する壁があります。
物理的な距離をおくにしても、別れるという選択肢をするにしても、働いていない、経済力がない、頼れる友人や親戚もいない・・・.。
そんな悩みをひとりで抱える女性たちを放ってはおけない、と立ち上がり、『安心して暮らせる快適な住まい』と、『これから生きていくのに必要な助けあいのつながり』を届ける活動をおこなう、認定NPO法人LivEQuality HUBの代表、岡本拓也さんと、その支援メンバーである神さん、森さんにお話を伺いました。
代表の岡本さんは、学生時代にバックパッカーとして30カ国を旅して巡り、世界のリアルを目で見、体で感じたことで、その広さと深さを実感し、自分の常識だけでは物事をはかれないことを痛感させられたそうです。その経験から『この世に生を受けた人、皆が幸せに生きられるように、自分自身と周りの安心安全を互いにサポートしあって生きていくことができる平和な社会を創りたい』という強い想いを抱かれたとのこと。
最近では、世界の紛争地で起きている出来事に胸を痛め、何かできることはないかを考え、たとえ少しでも必要とする人に物資を届けたいと積極的な行動に移していらっしゃいます。この岡本さんの、「世界の出来事でも遠くのことではなく自分事として受け止め、そして、すぐに行動する姿勢」が共感を生み、人々を結びつける力となっているような気がしました。
『あなたがこの世で見たいと願う変化にあなた自身がなりなさい(マハトマ・ガンジー)』
オフィスの壁に掲げられた書を指し、「この言葉を日々実践している」「自分のビジョンを実現するために、やりたいからやっている」とお話しされていたことが強く心に響きました。
岡本さんはソーシャルな活動だけではなく、お父様の急逝により受け継いだ千年建設株式会社の代表取締役社長としても活躍されています。
労働人口の減少や温暖化、技術革新といった予測できる変化だけでなく、コロナショックや世界的な物価高騰、それに伴う人々の生活習慣の変化など、企業を取り巻く環境は常に激しく変化しており、会社経営をするだけでも簡単な時代ではありません。
岡本さんがLivEQualityを立ち上げたのは、2021年4月。コロナショックの真っ只中でした。「受け継いだ会社をどうしたらいいのか・・・」という悩みとともに、「世の中が困っているときに自分は何もしなくてよいのか、何のために自分は生きているんだろう・・・」など、湧き出る感情に向きあったとき、経営トップが自分自身の『願う変化』に対するチャレンジをしなければならないと考え、このプロジェクトをはじめる決心をされたそうです。
創業メンバーである神さんは、「本気で社会貢献を実践する仲間と関わることで、自分自身がイキイキと輝くことに気づけるんです。無理せず、今できることを精一杯やる。一人じゃなく、支えてくれるあたたかい仲間がいるから、私たちは頑張れる。心の栄養が豊富にあるから大変なことも乗り越えられる。そんな『支えあえる社会』が私たちの理想です」とお話ししてくださいました。
また、前職で大きな活躍をされていた森さんは、仕事をひとりで抱えこみ、体調を崩してしまった経験をお持ちでした。限界を迎えたときに岡本さんたちの存在を知り、まるで救命ボートのように感じたそうです。「ここでの活動は皆が社会課題を解決しなければならないという使命感を持っていて、とても居心地がよく、ピュアに取り組むことができている」と話してくださいました。
オフィスの壁には『早く行きたければ独りで行け、遠くへ行きたければ皆で行け』というアフリカの諺が掲げられており、このチームの存在が前進する原動力となっていると感じました。神さんと森さんは、非常にイキイキと輝いていて、「日々の活動は大変でも、人との関わりのなかで自分たちもエンパワーされ、自分らしく生きられている」という言葉に力強さを感じました。関わる人々の幸せを願い、『日々幸せでご機嫌に過ごす』。岡本さん自身の生き方が大きな力を生み出していると思います。
岡本さんは、建設会社の経営とLivEQualityでの活動を通じて、『企業が事業性を確保しながら、社会性をしっかりと目的に掲げ、その両方を追求するのがあたり前になる社会』を本気で目指していらっしゃいます。
「LivEQualityのスケールアップが、本業の千年建設の成長につながっています。社会貢献活動が本業の成長を促進するという新しいモデルをつくることで、社会に与えるインパクトを拡大したい。社会性を追求するなかで一時的に利益が減少することもありますが、それでも、自分が望む変化を実現するために事業性もあきらめず、『ソーシャルキャピタル』を育んでいきたい。これは難しいチャレンジだけれど、向きあっていきたい。」と力強くおっしゃいました。
「どうしたら地域に貢献できるのだろうか?」と大義を掲げ、より価値のある取り組みを探すのではなく、今、目の前で困っている人に対して、具体的な行動として手を差し伸べられている、その姿勢と行動力を前に、私たちのこれまでの取り組みや姿勢について大いに考えさせられる時間となりました。
LivEQuality HUBは、2023年12月1日付けで、名古屋市の認定を受けた「認定NPO法人」となりました。認定NPO法人へのご寄付は税制優遇の対象となります。「今すぐにできること」の1つとして支援を募られています。興味を持たれましたら、LivEQualityのホームページをご覧ください。
たくさんの想いをお話しいただきました岡本さん、神さん、森さんに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
<執筆者>
株式会社トモニツクル東海
代表取締役 和田 健裕