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  1. 「私たちの町らしさ」が心の豊かさを育む 東川町

Regional Transformation地域創生

2024.01.24

「私たちの町らしさ」が心の豊かさを育む 東川町

みらいコンサルティンググループは、2023年12月北海道で2拠点目となる旭川サテライトオフィスを開設いたしました。そこで今回は、地域創生の「リアル」と「今」を知るべく、旭川市の隣町である東川町(ひがしかわちょう)を訪問し、菊地伸 町長にお話を伺いました。

 

「見るものすべてが絵になる町」東川町

東川町は、北海道最高峰である旭岳のふもと、雄大な自然と美しい景観が特徴の町であり、全国一を目指して高校生たちが写真の腕を競う「写真甲子園」も開催される「写真の町」としても知られています。

▲東川町「写真甲子園」ホームページより(https://syakou.jp/

人をひきつける「東川らしさ」

東川町はここ30年間で人口がなんと約2割も増加していますが、その理由は、同町にしかない独自の魅力に引き込まれた道内外の方々の移住が後を絶たないためです。

 

東川町のなにがここまで人をひきつけるのでしょうか。

まずは、まさに「写真映え」する豊かな自然環境が挙げられると思います。また、大雪山が供給する豊富な水資源(なんと、東川町には上水道がなく、すべての住宅が地下水を利用しています)や、その水でつくられるお米は、過去にゆめぴりかコンテスト(北海道内の産地ごとの「ゆめぴりか」のおいしさを競うコンテスト)で最高金賞を獲得しています。最近では東川町産のお米100%のお菓子も製造販売されるほど、「東川米」は高いブランド力を誇っています。さらに、日本三大家具のひとつとして数えられる旭川家具、その30%は東川町で製作されていることも、隠れた町の強みでしょう。

大雪山の豊富な水資源で育った東川米100%のおせんべい(岩塚製菓㈱)

 

そういった大自然からの恵み、水や食材、木材といった資源が東川町の魅力を支えていることは間違いないのですが、菊地町長によれば「文化や交流を大切にし、地域の豊かさに焦点を当てた地域住民の『人の営み』の中にこそ、人をひきつける『東川らしさ』がある」とのことです。

 

たとえば、東川町の子供たちは、町を訪れた観光客に会うと「おはようございます!」「こんにちは!」とすすんで挨拶をするそうです。決して大人が決めたルールではなく、自然とそのような文化が根付いているのです。のびやかに心豊かに育つ子供たちの明るい声は、町に住む大人たちや旅人を笑顔にします。山や森といった自然だけでなく、人々が互いに交わす自然な笑顔が「写真の町」という魅力にも繋がっているのだと思います。

 

また、東川町では、町で生まれた赤ちゃんに「君の椅子」と呼ばれる木製の椅子をプレゼントします。この椅子には「生まれてきてくれてありがとう」「君の居場所はここにあるよ」という想いと、手作りの椅子を通じて子供たちの成長を温かく見守りたいという願いが込められています。

毎年異なるデザインの椅子が子供たち一人ひとりに贈られ、プレゼントされた子は自分だけの椅子として、愛着を持っていつまでも使い続けるそうです。

▲2021年生まれの子のために制作された「君の椅子」

https://town.higashikawa.hokkaido.jp/special/chair/

 

このような東川らしい人の営みを支える町役場では、3つの“ない”の禁止を掲げています。1つ目が予算が“ない”、2つ目が前例が“ない”、3つ目が他の地域(行政)でも事例が“ない”です。この3つの“ない”を禁止することで、常に新しい取り組みが促進され、活気あふれる町民の豊かな暮らしを支えているのではないでしょうか。

 

インタビューを終えて

菊地町長は「『東川らしさ』の基準は人によって異なる。その価値観の違いが新たな『東川らしさ』を生み出す源となっている」とも教えてくださいました。一つひとつの、ひとりひとりの東川らしい行動、取り組みが掛けあわさり、相乗効果で新たな東川らしさを形成し、世界中探してもここにしかない東川町の魅力に繋がっているのだと感じます。

取材中、私自身も終始わくわくした気持ちでお話を伺うことができました。「志の強さ」と「強みを活かした取り組みを促進すること」、文化としてその地に、また住んでいる人たちの心に根付くことが、本当の地域創生に繋がることを教えていただきました。

 

今回インタビューにご協力いただいた菊地町長、東川町経済振興課吉原課長、東川町役場の皆さま、貴重な機会をいただきありがとうございました。

 

東川町公式ホームページ

https://higashikawa-town.jp/

 

<執筆者>

北海道地域創生プラットフォーム株式会社(HPR2)

山下 雅子

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