8tipsリスクに備える経営
- 2020.03.10
- リスクに備える経営
コロナ対策:「分散出社」のススメ
コロナウイルスへの罹患を避ける有効策の一つとして「なるべく他人と接触しない」ことが挙げられます。そのため、「会社に出社しない」テレワーク(在宅勤務)を一時的に義務化または奨励する動きが一気に進んでいます。
業務特性上、社員全員が原則出社しない完全テレワークが困難な場合は「分散出社」という方法が考えられます。
1)「分散出社」とは
「分散出社」とは、「出社する必要がある社員が出社する」発想からさらに一歩踏み込んで、業務遂行上必要な最低限の機能をイメージして「班・チーム」を複数編成し、曜日を指定して交代で出勤(それ以外は在宅勤務)とする方法のことです。
社内感染リスクは完全テレワークに比べ高まるため(程度は方法論によって差異がありますが)、現状としては分散出社よりも完全テレワークのほうが望ましいでしょう。しかし、「会社に誰かがいないと業務遂行に重大な支障が出る」場合や、今般のコロナウイルスが落ち着いた後、テレワークの大きな弊害のひとつである「コミュニケーション不足」を解決するためのひとつの解決策として分散出社は有効であると考えます。万が一、社内に感染者が発生した場合でも、濃厚接触者の範囲はチームという最小単位にとどまり、かつ、他のチームが業務をカバーできるというメリットもあります。
その他、分散出社を効果的に活用することで、業務の属人化からの脱却、意思決定の迅速化・スリム化、組織における役割責任の明確化、あるいはリーダー育成などの副次的効果も期待することができます。
2)分散出社のイメージ
分散出社の運用イメージは以下のようなものです。
ある部署をいくつかのチームに分ける
意思決定の責任者または他チームとの情報共有者としてチームリーダーをおく
チームリーダーが話し合い、各チームの勤務日・勤務形態を決定(出社、在宅等)
誰が、いつ、どこで業務をしているかはスケジュールアプリなどで共有
各チームで共通の役割を担当しているメンバーは随時情報を共有
なお、ウイルス感染対策としては望ましくはないものの、本来は上記に加えて、たとえば1週間に1度など、全員が集まるべき場を定期的に設け、組織全体の意思統一をはかることも重要でしょう。
3)分散出社のポイント
分散出社を実際に導入・運用する際は、以下のポイントに注意します。
チーム編成
「誰が」必要かではなく、「どんな機能(役割)が」必要か、という観点で組織を小さな単位(チーム)に分ける。
役割の明確化
チームメンバーひとりひとりの役割を明確化する。業務内容のみならず、誰がどの程度「意思決定」の役割を持つか、の認識合わせが重要。
役割の周知
各人の役割について、本人とチームメンバーのみならず、他のチームメンバーも知っている状態にする
過剰なコミュニケーション
電話やチャット、メールといったツールを活用することになりますが、普段会社で顔を合わせている以上に、意識的、意図的にコミュニケーションをとる。
なお、短期的にはなかなか難しいですが、分散出社にかかわらず、テレワークをはじめとした「自由な働き方」を推し進めていく上では、企業の存在価値、経営理念の浸透は迅速な意思決定に不可欠です。
4)誰一人取り残さない
コロナウイルス対策は、組織内外問わず、社員や家族、罹患者や疑いのある者、観光客、外国人など、誰もが協力しあって乗り越えていくべき事案です。「誰一人取り残さない」、SDGsに真の意味で取り組んでいるか、その意志があるのかを企業や個人は試されています。
その中の喫緊の課題として感染拡大をどれだけ未然に防げるか、ですが、分散出社などあらゆる「できること」を実施して、より社会に貢献し、社会に必要とされる企業へ、適時適策を実行していきましょう。
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