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8tipsリスクに備える経営

2020.05.22
リスクに備える経営

収益認識に関する会計基準がいよいよ強制適用

収益認識に関する会計基準がいよいよ強制適用…

(写真=画像素材:PIXTA)

強制適用が近づいてきた「収益認識に関する会計基準」(以下、収益認識基準)について、経理担当者として知らないでは済まされない最低限の内容を解説します。

 

うちの会社にも適用?

まず、収益認識基準は2021年4月以降に開始する事業年度から公認会計士の会計監査を受ける会社、つまり会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社)や上場会社を対象にして適用されます。また、これらに該当しなくとも公認会計士の会計監査を任意で受ける会社も適用対象となり、上場を検討している会社にも関係してきます。

言い換えると、未上場の中小企業であれば従来通り企業会計原則に則った会計処理が可能です。ただ、収益認識基準の考え方は、企業会計の大きな流れですから、いま押さえておくべき重要な論点であり、これまでの実現主義の一言では済まされない時代になっています。

 

収益認識について

収益認識基準は世界中の会計基準を統一しようという流れの中(コンバージェンス)、IFRS15号を取り入れるために収益を認識する5つのステップを適用しています。その新しい考え方である5つのステップについて簡単に説明します。

 

STEP1 契約の識別

収益を認識するためには以下の要件をすべて満たすような契約を識別する必要があります。つまり、顧客との契約がこれらの要件を満たさない場合で、顧客から対価を受領した場合には、収益を認識せずに負債を認識します。

1.当事者で契約を承認し、それぞれの義務を果たすことを約束していること

2.当事者の権利や支払条件が明らかであること

3.取引に経済的な実態があること

4.対価を回収できる可能性が高いこと

 

STEP2 履行義務の識別

契約における財またはサービスで個別に区別できる約束のことを履行義務といい、どのような約束が含まれているか個別に識別する必要があります。

 

STEP3 取引価格の算定

取引価格は財またはサービスの移転により企業が受け取る対価ですが、その算定には変動対価、現金以外の対価、金利相当分を考慮して算定する必要があります。

 

STEP4 取引価格を履行義務に配分

取引価格に複数の財またはサービスに関する履行義務が含まれている場合には、それぞれが独立した場合の取引価格の比率で履行義務ごとに配分し、履行義務に応じた会計処理をします。

 

STEP5 履行義務の充足による収益認識

契約における個々の約束が充足した時点で収益を計上します。その約束が一時点で充足される場合には、一時点で売上を計上し、一定期間に渡って充足される場合には、進捗に応じて売上を計上します。

 

以上をまとめると、①一定の要件を満たした契約に基づき、②契約に含まれる約束および③取引金額の構成に応じた④会計処理で⑤売上金額を一時点か進捗に応じて計上することになります。

 

収益認識基準による身近な会計処理への影響は?

出荷基準について

商品等に関する支配が顧客に移転していない出荷時点での売上計上は原則として認められないと考えられますが、例外として数日間程度で顧客に支配が移転する場合は、代替的な取り扱いとして出荷基準が認められています。

 

・消化仕入契約について

商品の販売を本人として行っているのか代理で行っているのかの判断が必要となり、スーパーや百貨店における取引において代理でおこなっている取引とされる場合は、販売価格と原価の差額が売上として計上されます。

 

・IT業界の一式契約について

ソフトウェアの受託開発の場合、ソフト自体の開発、インストール、ハードウェア販売及び保守サービスといった複数の要素が含まれており、それぞれの履行義務に応じて会計処理を検討することが求められますので、その検討過程を整備して運用していく必要があります。 

  法人税や消費税への影響は?

法人税

「収益認識会計基準」の公表によって、法人税では基本的に「収益認識会計基準」に対応する改正(平成30年税制改正)がなされ、会計と税務の統一が図られました。ただし、一部例外がありますので留意が必要です。

・消費税

消費税では、「収益認識会計基準」に対応する改正はなされず、これまでと同様の取扱いとなります。その結果、会計上の収益計上金額と消費税法の対価の額に相違が生じることが想定され、会計システムの改修や会計システムへの入力方法の変更など留意が必要です。

 

法人税等の改正の詳細については国税庁HPをご参照ください。

ご参考:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/02.htm

 

 

最後に

収益認識基準は、難解な面がありますので、「収益認識に関する会計基準の適用指針」の設例のなかで関係のある設例を参考にしながら理解を深めていただくことをお勧めします。

ご参考:https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/shueki20200331_06.pdf

 

また、解説中にもありました通り収益認識基準の導入・適用には会計処理、消費税の対応についてシステムの変更・改修が必要になる場合があります。これに失敗すると会計監査や税務申告に重大な影響を及ぼすことが想定されますので、十分な事前の検討と準備が必要となることにご留意ください。

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