8tipsリスクに備える経営
- 2020.10.08
- リスクに備える経営
先が読めない時代の事業計画づくりのポイント
3月決算の企業では半期が経過し、そろそろ来期の事業計画について検討を開始される頃かもしれません。いつもならもう少し先、年明け頃から検討を始める、というところも、もしかしたらここ最近の未曾有の危機に直面し、早めに検討を開始されていることもあるのではないでしょうか。
そこで、なかなか先行きが読みづらいこの時代における、「事業計画策定のポイント」を整理してみました。
ポイント①:あくまでもフォーキャスティング思考で
ここ数年、パンデミック以前より、デジタル技術の革新や経済のグローバル化にともない、不透明・不確実な時代といわれ続けています。そのような時代においては、現状の延長線上に将来があるかどうかわからない、ということから、将来予測からいまの施策を洗い出す、いわゆる「バックキャスティング思考」で事業計画を立案することも流行っています。
ただ、それは足元現状に十分な余裕があることが前提ですので、いまの環境で来期の予測をすることには向いていません。
いま、検討すべきは、あくまでも「来年どうなるのか?」ということでしょうから、無理にバックキャスティングを使う必要はなく、むしろ、フォーキャスティング思考で現在から先を予測する思考回路でよいのではないでしょうか。
ポイント②:売上・収入は元通りにはならない前提で予測する
ニューノーマル(新常態)、といわれているように、パンデミック前とまったく同じ状態にすべてが戻ることはありません。もちろん、それは売上が下がることだけを意味するのではなく、ニューノーマルにおけるニーズと合致して売上を伸ばすことだってあるでしょう。
いずれにしても、売上や収入の予測の立て方は刷新する必要があります。前年比◯%というようなことではなく、ゼロから積み上げるくらいの手間をかけることが大切ではないでしょうか。
この部分の予測が難しい、とのご意見はごもっともです。しかしながら、無理矢理にでも予測を立てるしか進む道はなく、立てた予測の根拠をしっかりと記録しておくことで近い将来の振り返りに備えておくしかありません。
ポイント③:確実な経費は可能な限り抑える
逆に予測が可能なのは支出される経費です。賃料などの物件費、給与などの人件費といったいわゆる固定費と呼ばれるものは、確実に支出されるものです。パンデミック下でも実感されたとおりですから、対策もおわかりいただいていると思います。
すなわち。可能な限り、経費支出、特にキャッシュアウトを伴うものについては抑えておく、ということです。
ただし、特に人件費については、事業計画立案の目線では簡単にいえますが、社員の目線に立つとそんなに簡単なことではありません。事実に基づく数字を使った丁寧な説明はもちろん欠かせませんし、業績回復したあかつきには上乗せして報酬を支給する、といった固定費の変動費化のような施策も検討しておくべきかもしれません。
ポイント④:あくまで「暫定計画」と割り切る
策定した事業計画は、平常時とは当然性格が異なりますので、「これは暫定的な計画」、という割り切りも大切です。融資を受けている金融機関へ提出する、といった機会もあるでしょうが、特にいま何が適切なのかを判断する基準は誰にもありませんので、堂々と「暫定計画」と説明すればいいのだと思います。ただし、1年間暫定のままにしておくのではなく、途中適切なタイミングで見直すことも合わせて覚悟しておくことが必要です。
これから1年後はどんな世界になっているでしょうか。先が見えない不安は誰もが感じることです。事業計画づくりを通じてその不安要因と向き合い、むしろ変化を楽しむことができるようになれば、と思います。
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