8tips右肩上がりの経営
製品ラインナップの見直しをブランディングの視点で!
皆さまは自社の製品ラインナップをどのようにコントロールしているでしょうか。
特に、一般消費者向けの製品をつくっている製造業のお客さまからよく伺うお悩みとして、「製品ラインナップが多すぎる」という課題があります。卸業者や小売店の要望に懸命に応えるうちに、マイナーチェンジを含め新しい製品がどんどん増えてしまう。一方で、既存の製品を廃止するのは勇気がいるためなかなかできない。。。結果として製品ラインナップが膨大になってしまうという悪循環です。
製品ラインナップが多すぎると、小ロット生産に伴う生産性の低下、在庫滞留リスクの増加、運転資金増加による資金繰り圧迫、事務管理コストの増加など、ボディブローのように経営を圧迫しかねません。
では製品ラインナップを整理する場合、どのような点に留意すべきでしょうか。ここでは食品製造業のお客さまへのコンサルティング事例をもとに、1つの考え方をご紹介しましょう。
①製品のマッピング
まず、自社の製品を意識している要素軸でマッピングしてみます。例えば、価格帯、味の性質、使用シーン(日常か特別か)などを要素軸とし、2つの軸を縦横に製品をプロット(点でおく)します。すると、同じ性質の製品が重複していたり、ブランド(銘柄)ごとの特長が明確でなかったりすることに気づくことがよくあります。
②ありたい製品ラインナップ像を描く
次に、「こうありたい」という製品ラインナップを①のマップにプロットします。このとき、製品のブランディングを意識することが大切です。自社の強みが表れている核となる製品はどれか、ブランドごとの特長は明確か、価格などランク違いのラインは整理されているか、顧客ターゲットは誰かなど、各製品のポジションが消費者から見てわかりやすいものになっているか意識しましょう。
③売上・採算分析
製品ごとの売上やその推移、採算(利益率)といったデータも検討時には大きな要素となります。売上がごく少額の製品が多く存在するケースもよく見られます。また、①のマッピングと採算データを重ねて見た場合、想定より利益がとれていないことに気づくこともよくあることです。
④統廃合・新製品開発の検討
これらをもとに、製品の統廃合を検討していきます。ここで大切なのは、②のありたい製品ラインナップ像から逆算して考える点です。単に売上が少ないから、採算が悪いからといったことだけで整理していくと、各製品のポジショニングが曖昧となり、ブランディングの観点から効果的でないものになるおそれがあります。マーケットから求められている製品、売りたい製品が明らかになったら、その製品の売上をどう伸ばすか、利益率をどう高めるかを考えます。また、ありたい製品ラインナップに対し、現在ないポジションの製品は新規開発することになります。
⑤経営への影響の検討・スケジューリング
統廃合案を考えたら、売上や利益など経営面への影響をシミュレーションすることが必要です。得意先との関係、原材料や包装原料の在庫残など、すぐには実行できないことも多いため、スケジュールを決めることも重要となってきます。
このようにして新しい製品ラインナップが決まったら、製品ごとのパッケージやプロモーションなどマーケティングを併せて検討すると効果的です。例えば、同じブランドはベースのデザインを統一する、ブランドが異なればデザインを変えるといったことがあげられます。
製品ラインナップの整理は、既存顧客の売上を失うおそれがあることからなかなか踏み出せないものです。しかし、多すぎることで経営に悪影響を及ぼしている可能性もあります。ぜひ一度、ブランディングを意識した攻めの姿勢で自社の製品ラインナップを見直してみてはいかがでしょうか。
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