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8tips右肩上がりの経営

2019.10.20
右肩上がりの経営

感動を超えた顧客体験とは

感動を超えた顧客体験とは…

(写真=画像素材:PIXTA)

先日、不思議な体験をしました。

家族が交通事故にあい、長期入院を余儀なくされてしまったのですが、一番の問題は、長年一緒にいる猫の世話を、不在中どうするか、ということでした。手を尽くしたものの、近くで頼める方が見つからず、途方に暮れていたところ、以前なんの気なしに登録しておいた猫の交流サイトを思い出し、藁をも掴む気持ちで連絡すると、その交流サイトを運営する、株式会社nyansの代表である谷口さん自ら、すぐに入院病棟まで駆けつけてくれ、その日からすぐ猫の世話をしていただけたのです。

事実だけ並べても、すごさが伝わらないので、少し解説を加えさせていただきます。

まず、猫を飼ったことがある人は分かると思いますが、猫にとっての最大のストレス(もちろん、個体差はありますが)は、「知らないところで過ごすこと」です。「猫は家になつく」といいますが、それは真実です。

なので、世話ができないからペットホテルに連れて行けばいい、という発想に、飼い主はならず、「誰もいないときは、家に来て、泊まって世話をしてほしい。」というワガママな欲求が生じます。特に、私のように、高齢の猫を自分の子供のように考えていた飼い主はそう思うでしょうし、それが実現するならお金に糸目は付けない、くらいの感覚です。少なくとも私はそういう感覚でした。

そういった「八方塞がりで目の前が真っ暗になっていた」状況を救ってくれたのがnyansの谷口さんで、まったく面識もなく、どんな人かもわからない人たちの無茶な要請に笑顔で応えてくれたのです。

そのときの家族全員の気持ちは今でも鮮明に思い出せます。

感謝とか感動といったレベルではなく、自然と口に出た言葉が、「神が降臨した」ということでした。大きな安心感、何かあたたかい空気に包まれた気持ち、とにかく、あまり経験したことのない不思議な感覚でした。

株式会社nyansのビジョンにはこうあります。

「街中が家族のように助け合う、を当たり前に」

感動の先、人智を超えた顧客体験を生み出すのは、企業、そして、人としての確固たる理念とビジョン、そして、それを実践する行動力ではないでしょうか。

企業経営の現場で、「本気」という言葉を使うと情緒的な印象をもたれるかもしれませんが、企業活動で本質的な価値を生み出す根源は、決して仕組み(システム)といったロジカルなものではないのだと体感しました。

株式会社nyans(本社:福岡市中央区・https://nyans.co.jp/)は、2018年起業のいわゆるスタートアップ企業。代表取締役の谷口紗喜子さんは、大真面目に語ります。「地球上のすべての命が共存する世界にしたい。私はそれを大好きな猫をテーマに取り組みます!」

大きな目標に向かう過程で、どんな感動を超えた世界を見せてくれるのか、楽しみです。

 

(執筆:下阪安勝 みらいコンサルティング株式会社 上席執行役員)

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