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「年金2,000万円」問題に対応? 会社が「iDeCo+」を導入するメリット
2018年9月から12回にわたって行われた金融審議会「市場ワーキング・グループ」の検討・審議内容は、2019年6月に発表された報告書「高齢社会における資産形成・管理」によって、広く社会に知れ渡ることとなりました。世間的な関心の高まりと拡大する国民の批判を考慮し異例ではあるものの、麻生太郎財務・金融担当大臣は報告書の受取を拒否。その経緯はメディアなどでも大きく報じられました。
なかでも注目されたのは、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20〜30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万〜2,000万円になる」という記述。これだけの不足額を補填するには、貯金だけでなく資産運用が必要です。そこで注目されている「iDeCo」ですが、現在は企業型の「iDeCo+」という新サービスも誕生しています。
「iDeCo+」の概要
そもそもiDeCoとは、「個人型確定拠出年金」のことです。あらかじめ自分で決めた額の掛け金を積み立て、運用し公的年金にプラスして受け取れるのが特徴。さらに掛け金は「全額所得控除になる」「運用益は非課税で再投資できる」「受け取る際にも控除がある」など、税制上の優遇を受けながらおトクに老後の備えをすることができます。年金を増やし、税制優遇も受けられるという、2つのメリットが魅力です。
一方でiDeCo+は、「中小事業主掛金納付制度」のことです。その名のとおり、対象となるのは中小企業となります。制度の導入によってもたらされる具体的な効果としては、iDeCoに加入している従業員を対象に、企業が掛け金を上乗せして拠出することで、社員の資産形成に貢献できるのが特徴です。また通常のiDeCoと同様に税制優遇を受けられるだけでなく事業主にもメリットがあります。
iDeCo+を導入することのメリット
老後の資産形成を実現しつつ、様々な税制優遇を受けられるiDeCo。そのiDeCoに上乗せするかたちで企業が掛け金を拠出するiDeCo+は、導入することで、従業員および企業に次のようなメリットがあります。
従業員の掛け金に「中小事業主掛金」が上乗せされる
「人生100年時代」といわれているように、私たちの老後は定年退職後も20〜30年と続きます。そのとき必要な資産は単純計算で2,000万円前後と試算されているように、貯金に加えて投資による資産形成が欠かせません。税制優遇を受けながらiDeCoで備え、かつiDeCo+による支援があれば、従業員の老後はより安心なものとなります。
事業主が拠出した掛け金は全額「損金」に算入される
またiDeCo+によって拠出した掛け金については、全額損金に算入することが可能です。従業員に対して魅力的な福利厚生を提示しつつ、税制面でも優遇されるため、まさに一石二鳥の施策といえるでしょう。負担が大きいことから企業年金を導入できていなかった企業でも、iDeCo+を導入することで、従業員の獲得や従業員満足の向上につなげることができます。
iDeCo+の導入には要件があるので注意しよう
ただしiDeCo+を導入するには、いくつかの要件にあてはまっている必要があります。国民年金基金によると、具体的には次の5項目です。
1 従業員(使用する第1号厚生年金被保険者)が 100 名以下であること
2 企業型確定拠出年金を実施していないこと
3 確定給付企業年金を実施していないこと
4 厚生年金基金(公的年金の厚生年金保険と異なる企業年金制度ですので、ご注意ください)を実施していないこと
5 従業員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、従業員の過半数 で組織する労働組合がないときは従業員の過半数を代表する者に、中小事業主掛 金を実施することについて同意を得る(労使合意をする)こと
通常の企業年金との違いは?
最後にiDeCo+と一般的な企業年金(確定拠出年金(企業型DC)、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金など)の違いについてふれておきましょう。一般的な企業年金は、会社が社員の資産を管理・運用しつつ、既存の年金に上乗せして支給される制度となります。一方でiDeCo+は、iDeCoに加入する従業員の掛け金に対し、会社が事業主掛金を追加で拠出できるのが特徴です。
これにより社員は、通常のiDeCoと同様に税制優遇を受けながら老後の資産形成をすることができます。まさに人生100年時代に最適化された企業の福利厚生として今後も注目されそうです。
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